平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

トパーズ

2009年05月22日 | 洋画
 キューバ危機を扱ったヒッチコックのスパイ映画。
 でもヒッチコックらしくない。
 ヒッチコックらしさとは何か?と定義するのは難しいが、敢えて言うと<美男美女の華麗なラブロマンス><サスペンスフルな映像>。
 この作品はそのどれもが中途半端。
 ヒロインでキューバの地下運動のファニタ(カリン・ドール)は途中で殺されてしまう。
 おまけに主人公・アンドレ(フレデリック・スタフォード)の妻は彼女が愛人だと知っていてしてドロドロの不倫関係。
 ヒッチコックのヒロインにドロドロは似合わない。
 またヒロイン・ファニタは十分にきれいだが、やはりヒッチコックのヒロインは豪華な金髪美人でないと。
 サスペンスについても同じ。
 主人公アンドレには危険らしい危険が降りかからない。
 唯一ヒッチコックらしい所はキューバの将軍のホテルからその秘書を買収して覚書のアタッシュケースを盗み出すシーン。
 だがそのシーンでも危険なのはアンドレに仕事を依頼された花屋。

 この様に「トパーズ」はヒッチコックがシェフとして十分に腕を振るえなかった映画。
 ただスパイ物としてはリアリティがある。
 キューバの共産主義体制下、それに反対する地下組織がある。
 スパイのアンドレは彼らの協力を得て情報収集する。
 かつて第二次世界大戦で英国のスパイはフランスのレジスタンスや一般市民のスパイ網を使って情報収集したが、アンドレも同じ。
 これこそスパイ。
 この作品が作られた69年ではかなりエキサイティングな素材であったはず。
 <トパーズ>がソ連のためにスパイ活動をしているフランス人の組織の暗号で、スパイは政府の官僚の中にいるというのもなかなかのリアリティ。
 このリアリティこそがヒッチコックの食指を動かしたものでなかったか?

 それにしてもこの作品のアンドレの様な<地味でリアルなスパイ>ですね。
 スパイの代表007、ジェイムス・ボンドとは大違い。
 何しろボンドは単独行動が多く派手なアクションをするスーパーヒーローですからね。
 この比較は面白い。

 スパイというのは世界で二番目に生まれた職業だそうですが、いずれにしてもエンタテインメントには欠かせない魅力的な設定ですね。



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