平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

真田丸 第19回「恋路」~あなたはいつかまた戻ってくる。そして私たちは同じ日に死ぬの

2016年05月16日 | 大河ドラマ・時代劇
 あまりにも多くの身内の無残な死を見てしまった茶々(竹内結子)。
 彼女の心はもはや活き活きと動くことはない。
 表面上は明るく無邪気に振る舞っているが、心の中は深い闇にとらわれている。

 そんな彼女の心にかすかな光を灯したふたりの男。

 まずは秀吉(小日向文世)。
「茶々には美しいものだけに囲まれて生きてほしいと思っておった」
「茶々には、この世を去る時こう言ってほしいのだ。
 『茶々は日の本一幸せな女子でした』
 わしがこう言わせてみせる」
 口達者な秀吉の口説きの側面もあっただろうが、このふたつの言葉は秀吉の本音だろう。
 秀吉は茶々のことを心から想い、愛している。
 これらの言葉が、茶々の心を動かしたのは確かだ。

 もうひとりは信繁(堺雅人)。
 からかうことから始まった関係だが、茶々は信繁に何かを感じている。
 まず信繁といっしょにいると、素直になれるし、悲惨を知らなかった子供時代に戻れる。
 それが信繁に語った山吹の花の押し花の話。
 次に茶々自身も気づいていないのだろうが、おそらくは恋の一歩手前みたいな感じ。
 茶々は自分の中にぽっかりと空いている心の穴を信繁が埋めてくれるのではないかと考えていた。
 そして三つ目は、はっきりとはわからないけれど、何か運命的で心の奥底で通じ合っている感じ。
 だから、このせりふ。
「私と源次郎は不思議な糸で結ばれている気がするのです。
 離れ離れになっても、あなたはいつかまた戻ってくる。
 そして私たちは同じ日に死ぬの」

 茶々は、さまざまな面を持っていて、複雑な女性ですね。
 虚無、無邪気、いたずら、奔放、忌まわしい記憶、ついてまわる死のイメージ、血、暗闇……。
 運命を感じる力もある。

 茶々のドラマは今回で確定しましたね。
 ひとつは、死ぬ時、『茶々は日の本一幸せな女子でした』と言うかどうか。
 もうひとつは、『同じ日に死ぬ』信繁に何を語るか?
 凄まじいラストになりそうです。

 山吹の花も象徴的。
 秀吉がこれから見せるであろうきらびやかな美しいものと、素朴な山吹の花。
 茶々はどちらを美しいと思うのか?
 茶々の心は蔵の中のように真っ暗なのだが、その中に山吹の黄色がわずかにある。
 山吹の黄色は、茶々にとって〝救い〟なのであろう。
 あとは、山吹の花の押し花を食べてしまうきり(長澤まさみ)ちゃん!
 この押し花は、茶々を語る、作劇上の重要な小道具になるのかと思いきや、きりに食べられてなくなってしまった(笑)
 三谷幸喜さんとしては、こういう小道具の使い方には<照れ>があるんだろうなぁ。
 前回、松(木村佳乃)が夫の匂い袋でなく、かかとのカサカサで記憶を取り戻したのと同じ。
 きりは三谷さんそのもので、自分が書いたものがベタすぎてツッコミを入れたい時はきりを使う。

 最後はこれ!
きり「源次郎様にも隙があったんだと思うな」
秀次「だとしたらお前に隙があったのだ」
三成「おぬしに隙があったからこういう事になったのだ」
〝隙があった〟の三連発ーーーーー!
 確かに信繁には隙があったと思う……(笑)


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4 コメント

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二組の男女 (TEPO)
2016-05-17 01:14:37
今回は二組の男女が結ばれる話でした。
一組は秀吉と茶々で、もう一組は信幸と稲。

秀吉と信繁は茶々の心にかすかな光を灯した……かもしれませんが、私はむしろ茶々の魔性を感じました。

>「私たちは同じ日に死ぬの」
という言葉にはぎょっとさせられました。
たしかに二人の運命を正確に予言しているのですが。

>虚無、無邪気、いたずら、奔放、忌まわしい記憶、ついてまわる死のイメージ、血、暗闇……。
秀吉にとっては最高に幸福な恋の成就。
しかし、この後茶々が秀吉の運命を狂わせてゆくことがナレーションで暗示されていました。
秀吉には「最高」から破滅へと向かう転落のはじまり。

他方、信幸と稲は現時点では二人とも互いに最悪の思い-いわば仇同士-でいることでしょう。
家康の命令ということで、二人とも不本意ながら、政略のため、と割り切っての縁組み。
しかし、おそらくいつかこの二人は心を通わせてゆくのだろうと思います。

片や「最高」からの転落、片や「最悪」からの上昇。
二組のカップルを対比させているように思いました。
茶々の復讐 (ミキコ)
2016-05-17 07:38:45
秀吉の側室になった後から茶々の復讐が始まったという説は以前からありました。大抵が“豊臣を乗っ取る”形の説ですが、もしかすると“豊臣を滅ぼす”が茶々の本懐だったのか…とも思いました。考えてみると武田勝頼の母も、武田信玄に親族を殺され、生まれた勝頼が武田家を滅ぼしてしまう。なんとも暗示的です。
魔性の女性 (コウジ)
2016-05-17 08:47:52
TEPOさん

いつもありがとうございます。

茶々の魔性。
そうなんですよね、作者が茶々をどう描こうとしているか、は現時点ではわからない感じですよね。
<魔性の女>なのか、<心の闇と葛藤しながら生きた女性>なのか。
側室になったことで豊臣家を滅亡に導いたことを考えると<魔性>なんですよね。
きりも「あの人は怖い」みたいなことを言っていましたし。

信幸と稲は今後、心を通わせて行きそうですよね。
この作品は密度が濃いので、信幸と稲のことを書くまでに至りませんでした。

茶々という難攻不落の城をどう攻めるかを考える秀吉と駿府城をどう攻めるかを考える昌幸も、対照的で面白い。
かたや女性、かたや城ですが、ふたりとも発想は同じで、戦国時代を生きてきた武将なんですよね。
秀吉も<茶々>という城を落とした後は、<明国>という新しい城攻めに取りかかろうとしているようですし。
破滅に向かう人 (コウジ)
2016-05-17 09:01:30
ミキコさん

いつもありがとうございます。

>“豊臣を滅ぼす”が茶々の本懐
こう考えると、茶々という人物は本当に複雑ですよね。
さまざまな人がそれぞれに彼女を解釈している。
複雑で作家の食指が動かされる人物でもある。
三谷さんがどのスタンスを取るのかが楽しみです。

それと、歴史を見ると、世の中には、破滅に向かう人物と創造に向かう人物がいるんですよね。
秀吉まわりで言えば、茶々が破滅で、寧が創造でしょうか。
そして、破滅を志向する人物は他も巻き込んでしまうんですよね。
破壊と創造は歴史の常ですが、破壊をした人物がどのような人物かを考証してみると面白いかもしれません。

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