平成エンタメ研究所

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相棒10 「ラスト・ソング」~「ともかく歌いたかった。ただ歌いたかっただけ」

2011年11月24日 | 推理・サスペンスドラマ
★なぜ安城瑠里子(研ナオコ)は”WHEN LOVE KILLS YOU”を歌わなかったのか?
 ここがポイント。(以下、ネタバレ)
 ここで犯人が分かれる。
 つまり、もし瑠里子が犯人だとすると、歌わなかった理由は、歌の内容が<人を殺した瑠里子にとって生々しかったから>。
 しかし、歌わなかった理由は他にあった。
 それは”LOVE KILLS YOU”の演奏の時に使う<ミュート(弱音器)がなかったから><ミュートが犯行現場に残されていたから>。
 そして、これが犯人解明につながる。

★それにしても人間の心というのは深く不可解だ。
 作品では、瑠里子の動機が、伊丹(川原和久)が推理したはずれの動機も含めて3つ語られる。

 まず伊丹が推理した動機。
 それは金銭トラブル。
 瑠里子のギャラが<不当に低いギャラ>であったため、怒りで殺したという動機。

 しかし、右京(水谷豊)はそれで良しとしない。
 そこであがったのが、<真犯人である男を守るため>に瑠里子が偽装工作をしたという動機。
 <愛ゆえに>という動機だ。

 だが、それも違っていた。
 ここが「相棒」が他の刑事ドラマと違う所。
 普通の刑事ドラマなら、<愛ゆえの偽装工作>ということで終わってしまうだろう。
 しかし、「相棒」はさらにひねる、
 
 瑠里子は別に真犯人の男を愛していなかった。
 自分しか愛せない自己愛人間だと思っていた。
 それでも瑠里子が男を守ったのは、次のような理由からだった。

 「でもね、あいつじゃないとダメなのよ。あいつがいなければ、それまでのように歌えない。あの男のアレンジと演奏と、後ろにあいつがいる時だけ、自分の望むように歌えた。ともかく歌いたかった。少しでも長くあの場所に立っていたかった。ただ歌いたかっただけ」

 <歌手の業>である。
 「ただ歌いたかっただけ」という<歌手の業>が瑠里子に偽装工作をさせた。
 先日、亡くなった立川談志師匠は「落語とは人間の業の肯定である」と語ったそうだが、この作品もどうしても抑えることの出来ない<歌手の業>を描いている。
 これは普通の人間には理解しがたい動機。

 そしてラストの余韻。
 瑠里子は客のアンコールに応えようとしない。
 なぜなら、自分を最高の歌手にする男が逮捕されてステージにいないからだ。
 『その男がいなければ、自分は納得する歌を歌えない』瑠里子はそう考えたのだろう。
 それに瑠里子は既に最高のコンサートをしている。
 右京が”WHEN LOVE KILLS YOU”をリクエストし、男が逮捕される前に行ったコンサートだ。
 『このコンサートが終われば、男は逮捕される。だから、これが自分の最後のコンサート』
 こう考えたからこそ、瑠里子は、米澤さんが言う<最高のコンサート>が出来たのだろう。
 そして<最高のコンサート>の記憶を胸に、自分の歌手人生を終わらせたかったのだろう。
 これも<歌手の業>である。


 

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2 コメント

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良かったと思います (megumi)
2011-11-24 11:31:27
コウジさん こんにちは

久しぶりの「相棒」らしい「相棒」だったと思いました
先週の「消えた女」よりも共感できました
研ナオコさんが見事に歌手の業を見せてくれました

高所恐怖症の彼女が 
非常階段まで死体を運び
さらに落すなんて出来るんかいな?
という疑問は残りましたけれどね
残る疑問 (コウジ)
2011-11-25 09:04:31
megumiさん

いつもありがとうございます。

携帯電話を使ったアリバイ作りもシンプルですが、よかったですね。
現実で行われていそう。

高所恐怖症の件は、僕も引っ掛かりました。
それに真犯人の男の描写も足りない気が……。
人を殺したんですからもっと焦るはずですし、非常階段から転落死していたら、なぜだと思いますよね。
まさか被害者は頭を打ちつけただけで生きていて、ふらついていた脚で非常階段に出て転落したと考えていたとか?
このあたりがよくわかりませんでした。

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