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花燃ゆ 第35回「孤高の戦い」~その名は輝いて、後の人たちはもてはやす、長州一の英雄だと

2015年08月31日 | 大河ドラマ・時代劇
「言うてあげて下さい。あなたはやり遂げた、英雄だと。
 語り継ぐその名は輝いて、後の人たちはもてはやす、長州一の英雄だと」

 美和(井上真央)が雅(黒島結菜)に言った言葉だが、おそらく夫・久坂玄瑞(東出昌大)に対する言葉でもあるのだろう。
 美和は亡き夫に対して、こう語りかけたいと思っている。
「あなたはやり遂げた。長州一の英雄だ」
 美和にとっては、久坂は高杉晋作(高良健吾)と同様に、英雄なのだ。

 さて、いくさの中で動揺する毛利家・奥の中で、美和だけが聡明で冷静だったようだ。
 戦うことばかりに気を取られている都美姫(松坂慶子)らに対し、毛利家の世継ぎ・輿丸を守ることが第一だと説き、いざという時の脱出の策を披露する。
 銀姫(田中麗奈)らが不安になって浮き足だった時は「世話ぁない」と考えて、働くことを勧める。
 しっかり奥の中で存在感を獲得しつつある美和。
 その根本にあるのは、兄・松陰の教えと父・百合之助(長塚京三)ら、杉家の人々の生活の知恵だ。
 都美姫はそれを「しなやかで寛容」と評価した。

 この展開、作劇としては悪くないと思いますが、過去のエピソードで、もう少し「しなやかで寛容」な美和を描いていれば、もっと説得力があったような気がします。
 「しなやかで寛容」なんてコンセプトが出て来たのは、今回が初めてでしたし、第1話で描かれた「人を繋ぐ娘」というコンセプトはどこかに行ってしまいましたし。

 幕長戦争に関しては、「大義」という言葉がクローズアップされた。
 長州の民に対しては、『長防臣民合議書』で長州こそが帝に忠義を尽くす正しい藩であることを示し、幕府軍に加わった諸藩に対しては、帝の命令で攘夷をおこなった長州にこそ大義があることを示した。
 戦いにおいては大義が大事。
 大義の有無が戦う者の戦意を上げたり、下げたりする。

 もっとも大義なんて状況に拠って、くるくる変わるものなんですけどね。
 声の大きな者が幅をきかせ、劣勢にまわれば大義は失われる。勝てば官軍。
 このことは、『花燃ゆ』の対の作品である『八重の桜』でも立証済み。
 当初、大義を持っていた会津藩は、パワーバランスの変化の結果、いつのまにか逆賊になっていた。

 高杉に関しては、いい顔になりましたね。
 きりりとして目力がある。
 高良健吾さんも役を愉しんでいる感じ。
 最後の最後まで、垢抜けなかった久坂とは対照的です。


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2 コメント

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ドラマの娯楽性と歴史観 (TEPO)
2015-08-31 21:16:57
>しっかり奥の中で存在感を獲得しつつある美和。

史実はどうあれ、私は「奥御殿出世双六」の娯楽性を十分楽しみましたが、今回の中臈昇進でいよいよ本格的に「上がり」ですね。
来週からポスターにある「緑の打ち掛け」を羽織る身分にまで登り詰めました。
今回特に痛快だったのは、美和が輿丸脱出作戦の要(退き口)となる「女中の長局」の指揮官に日出を指名したこと。
かつての宿敵-と言っても実際には実害のある悪さはできなかったが-を配下に組み込んだ瞬間でした。

「四境戦争」というチャンバラファンが最も喜ぶ場面でも「男の世界」にメインをさらわれないために据えた「高杉晋作の愛人問題に直面した雅」のエピソードは、来週への伏線にもなっているようで上手いと思いました。
今回は「命を散らして闘う夫への思い」ということで美和が雅を先輩らしく慰めていましたが、来週美和自身を雅以上に大きな試練-「子供」-が襲うようです。
少なくとも雅は自分の子供を産んでいますが、美和は子供を産んでいない-生涯自分の子供は産まないようです-のですから。
戊辰戦争が始まる中、奥御殿でも登り詰めてしまった美和に、主人公として必要な次の課題が用意されているようです。

>美和にとっては、久坂は高杉晋作と同様に、英雄なのだ。
しかし
>最後の最後まで、垢抜けなかった久坂とは対照的です。

結局、現代人の後知恵に照らして「正解」の人(高杉)と「不正解」の人(久坂そして松陰)との違いだと思います。
今の時期を書いている宮村さんや金子さんは、この時期「正解」となり始めた高杉や美和・伊之助に素朴に肩入れして書けるので楽だろうと思います。
しかし、松陰や松下村塾について主として書いていた大島さんには「不正解」(攘夷テロリズム)を「不正解」としてありのまま描くリアリズムがありました。
明らかに大島さんと宮村さんたちとの間には歴史観の違いがあるように思います。
私は、宮村さんたちの「奥御殿出世双六」を完全に「娯楽」と割り切って楽しみましたが、歴史観については大島さんに共感します。
正解と不正解 (コウジ)
2015-09-01 09:22:24
TEPOさん

いつもありがとうございます。

僕も日出の指名は面白く見ました。
まさに「しなやかで寛容」な対応でしたね。
ガチガチに凝り固まっていたら、怨敵の日出を指名しない。
粗はありますが、人と人が信頼を築いていく様は、見ていて気持ちのいいものです。
「奥御殿出世双六」はもっと時間をかけて描いてもよかったですよね。

>結局、現代人の後知恵に照らして「正解」の人(高杉)と「不正解」の人(久坂そして松陰)との違いだと思います。

なるほど。
「正解」だと英雄になりますが、「不正解」だと反政府の過激派になる。
大島さんは、久坂を「不正解」だと考えているから、なかなか英雄として描けない。
あるいは、英雄として描こうとしても、現代的な価値観がそれを許さない。
これからは過去の部分を忘れてしまえば、安定して見ていられそうですね。

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