平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

重版出来! 第7話~「お前、すごいな」 天才・中田伯に沼田は自分の才能の限界を知る

2016年05月25日 | 職業ドラマ
 天才・中田伯(永山絢斗)。
 彼の作品は、命を削って絞り出した魂の叫びだ。
 彼は自分の心の中の、怒りやもやもやしたもの、希望や理想をはき出すためにマンガを描いている。
 描くことで救われている。
 少し前に僕は、中田伯を『進撃の巨人』の諫山創さんに喩えましたが、尾崎豊と言ってもいいかもしれません。

 そんな中田だから大塚シュートのサッカー漫画をこき下ろす。
「くそゆるいマンガ」
「挫折したことがないやつが描いたマンガ」
「マンガがうまくいかなくても帰るところがあるやつ」

 マンガが魂の叫びであることについて、三蔵山龍(小日向文世)はこう語っている。
「作品を作るとは自分の心を見つめ続けること。
 どんなに醜くても、情けなくても見つめ続けなければならない」

 天才と凡人。
 凡人は当たり前の感性と思想しか持ち合わせていない。
 だから描く作品はフツー。
 薬にも毒にもならない。
 一方、中田伯にはドロドロとした怨念があり、その作品にはとんでもない毒があるようだ。
 その毒は「何だ? これは?」と他人を惹きつけ、感動させる。
 
 第3話ではネームをうまく描けない東江絹(高月彩良)に中田伯はこんなことを言っていた。
「自分の頭の中に浮かぶ情景をただ紙に描いているだけ」
 これが天才なんですね。
 モーツァルトもメロディがスラスラわいてきて、その譜面には修正がなかったそうだが、中田もそれをやっている。

 また中田は、本質を見抜く能力も持っていて、チーフアシスタントの沼田(ムロツヨシ)のネームを見て「自分自身の存在意義を問う物語」だと一発で見破った。
 同時に天才はどこか抜けている。
 沼田は中田の才能に嫉妬して、そのネームにインクをぶちまけて隠したのだが、中田は「俺の絵が下手だからムカついたんですか?」と見当はずれの見解。
 その前には、三蔵山の奥さんが自分のことが嫌いで、隠したのだと思っていた(笑)
 だから、こんな中田伯に対して、沼田は「お前、本当にすごいな!」

 天才と凡人。
 凡人・沼田は、サラリーマンなどにならずマンガを描いていることで自分が<特別な存在>だと思い込もうとしていたが、天才・中田を見て、自分の凡才に気づいてしまったようだ。
 そして、普通の人として生きていくことを決めた。
 天才・中田が自分のネームを読んで涙を流してくれたことを誇りにして。

 人間には天才と凡人がいる。
 凡人はいくら頑張っても天才にはかなわない。
 ああ、これって映画『アマデウス』のモーツァルトとサリエリだ。
『重版出来!』、今回もまたリアルな創作の世界を描きましたね。


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