平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

南極大陸~この作品は現代日本に活力を与えることが出来るか?

2011年10月17日 | その他ドラマ
 前半は『プロジェクトX』
 南極観測を実現するための倉持岳志 (木村拓哉)と、白崎優(柴田恭兵)の奮闘話。
 ブリュッセルでは敗戦国として差別を受け、大蔵省では「成果の出せないものに予算は出せない」と突っぱねられる。
 おまけに日本に割り当てられた南極大陸の調査場所は<接岸不能>。
 困難がどんどん襲いかかり、それを地道な努力で実現していく。
 まさに『プロジェクトX』

 倉持たちを助ける人物が次々と出てくるのも『プロジェクトX』
 京大の南極研究者・星野英太郎(香川照之)。
 戦艦大和の設計者・牧野茂(加藤剛)。
 樺太犬の研究者・古館智大(山本學)。
 この辺はカッコイイ!
 本田宗一郎や井深大みたいな人物も登場して、<登場の美学>みたいなものがある。

 子供達が5円玉を持って、南極大陸に行ってくれというのは作り過ぎかな?
 飢えて明日の生活に困っていても、夢は必要なんだ。人はパンのみに生きるにあらず。を象徴的に表現するエピソード。
 少し鼻についた。

 しかし、宗谷を作るためにトラックを並べて職人たちが駆けつけた所は、定番の感動エピソードだけれども(←『華麗なる一族』で同じようなシーンを見た気もしたが)、心を動かされた。
 「職人の心意気を見せてやる」
 「俺の溶接を信じろ」
 やはり職人はカッコイイ。
 自分の技術への誇り、損得を抜きにした熱い心が彼らにはある。

 そして中盤は、映画『南極物語』
 太郎と次郎の話。
 芦田愛菜ちゃんも登場。
 動物と子供にはどんな名優もかなわないと言うが、ここで『プロジェクトX』から雰囲気が変わって、<動物もの>になった。
 そしてインパクトがあったのが樺太犬。
 たくましく、気が強い。
 簡単に人間に心を許さない。言うことをきかない。
 かわいい、簡単にしっぽを振ってくる犬よりも何か魅力的。
 倉持の腕を噛む太郎がその象徴。
 先導犬リキの話もよかった。

 そしてラストは、映画『宇宙戦艦ヤマト』
 木村拓哉さんだけでなく、緒形直人さんなどもいたので、『ヤマト』がオーバーラップした。
 <日本人の誇り><子供たちの夢>を乗せて旅立つ南極観測船・宗谷。
 この時代には、「敗戦国の劣等感を克服して、日本人の誇りを取り戻すんだ」「未来は無限の可能性を秘めて輝いているんだ」という共通の思いが日本人にあった。理想があった。
 目標を失い迷走している現代日本と比べると、何とも幸せな時代。
 豊かさ=幸せとは限らない。
 この<宗谷>を現代日本に当てはめてみると、<はやぶさ>かな。

 というわけで、『プロジェクトX』『南極物語』『宇宙戦艦ヤマト』と何でもあり、のこの作品。

 現代日本に勇気と力を与えることが出来るか?


 
コメント (4)
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江~姫たちの戦国~ 第40回「親の心」

2011年10月17日 | 大河ドラマ・時代劇
 物語はとことん、もつれさせると面白くなる。
 今回がそのいい例。

 深まる江(上野樹里)と竹千代(水原光太)の溝。
 大姥局(加賀まりこ)は江にこう諭す。
 「それでも母ですか? 母が子を諦めてはなりませぬ。何があっても自分を見つめていてくれる母。それで子は救われるのではありませんか?」
 江は大姥局の言葉を受けて「母と話をしよう」と竹千代に話しかける。
 しかし、竹千代は「福が呼んでおりまする」と心を閉ざしたまま。

 この様に物語がどんどん、もつれている。簡単に解決しない。
 今まで「江」には、これが足りなかったんですよね。
 このタメというか粘り腰というか。
 あまりにもあっさりと問題が解決して、実に淡泊な内容になっていた。
 結果、主人公がまったく闘わないドラマになっていた。深く悩まないドラマになっていた。

 問題が解決しないことについては、秀忠(向井理)と家康(北大路欣也)もそう。
 腹を割って話したが、ふたりは決裂。
 「豊臣と徳川が並び立つなどあり得ぬ」
 「やってみなければわかりませぬ」
 「知恵と力を尽くしてもどうしようもないことがある。そなたのようにきれいごとを並べただけでは物事は前に進まぬ」
 苦労人の現実主義者の家康と、お坊ちゃんで理想主義者の秀忠。
 まさに水と油だが、ここでも粘り腰で、ふたりが簡単に理解し合えなかったのがいい。
 今までは、二代将軍を引き受ける時だって、秀忠は熱海の温泉で簡単に決断していましたからね。

 ドラマは人と人とのぶつかり合い。
 その意味では、今回はいい感じ。

 いい感じと言えば、淀(宮沢りえ)と千(忽那汐里)の関係、これに絡む秀頼(太賀)と初(水川あさみ)もよかった。
 未熟者ゆえ秀頼との同衾を許さない淀。
 千はそれが口惜しく、つらい。
 「千は未熟者なので、秀頼様にふさわしくないとお考えなのでは」と初に語る。
 これを受けて行動する初。
 秀頼も「千は正室。徳川から預かった飾り物ではありませぬ」と母・淀に言う。
 実にいい感じのドラマになっている。

 大姥局も「親と子、それを結ぶのが乳母の役目」と、秀忠と家康、江と竹千代の間を繋ごうとして、魅力的なキャラになった。

 今回のような話を描き続けてくれたら、「江」はいい作品になっていたんですけどね。
 今まではあまりにもあっさりし過ぎていた。人と人のぶつかり合いが稚拙で、不十分だった。


コメント (2)
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