独裁者の誕生のプロセスは独裁者たらんとする指導者自らが、国民への民族の誇りと未来への経済飛躍を饒舌に風潮し、敵対者を断続的に抹殺することである。経済の疲弊、貧困、有産階級への不満などが民衆の中に充満した時に、にわかにその民衆へのポピュリズムと民族の誇りを掲げ、強いメッセージを大衆に投げかける。独裁者(dictator)の登場は一時的な安定に向かうがその後、圧政へと変貌し、独裁者としての仮面を被り一党独裁へ突き進み、民衆をロボットの如く支配し奴隷化するのだ。彼ら独裁者は自らナルシシズムに酔いしれ、やがて栄光の座から奈落の底へ落ちてゆく運命にある。『独裁』の語源は古代ローマにおける元老院から任命された『独裁官』であり、独裁者という概念は近代までは曖昧であった。古代ローマにおいては英雄=独裁者の習わしがある。独裁者と国民は一体化し、正義と称して先制君主たる国民統合のヒーローであった。紀元前44年、カエサルは自らを終身独裁官に任命、個人支配たる元首政(帝政ローマ)が誕生する礎となる。ローマ帝国は形式上君主ではなく、共和国の守護神とされた。近代までは『独裁』は否定的なものではなかった。近代以降、独裁という現代的意味をもたらしたのはフランソワ・ノエル・バブーフとされている。資本主義から共産主義への変革期、マルクス・レーニン主義において多くの社会主義国がプロレタリア独裁を掲げ一党独裁制を誕生させた。そして20世紀の初頭、ファシズム(fascism/結束を意味するイタリア語)を掲げて登場したのがベニート・ムッソリーニである。彼は巧みに疲弊したイタリア経済の復興への生産力向上を大衆に鼓舞した。又、アドルフ・ヒトラーは『我が闘争』で民主主義は衆愚政治であり、国家社会主義(ナチズム)提唱し強靭なるドイツ民族主義を掲げ、人類史上最も類を見ない独裁者として世界を震撼させた。両者とも第二次世界大戦の敗北に、パルチザンに捕らえられたムッソリーニは愛人とともにミラノで民衆の前で逆さ吊りにされた。ヒトラーの最期は言うまでもなく愛人とともに自決。20世紀はこの独裁者たちに民衆が踊らされ、修羅場化した都市や戦場で近代兵器が炸裂した戦争の世紀であった。そして今日、人類はこの独裁者の歴史を封印し、核を温存しながら新たなる21世紀の独裁者を誕生させているのだ。きな臭い独裁的政権が軍事力と外貨で何かと世界を席巻している。歴史は繰り返すのか!?

An evil dictator responsible for the deaths of millions.









