英語講師の仕事の息抜き日記

教室や身の回りで起こる、ちょっとした出来事を書き綴ってみました。
あなたの仕事の息抜きにお寄り下さい。

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I love youの意味を本当に知ってる?

2005-05-31 20:33:29 | Love & English
Photo: Two Ducks in Paris

英文レポートの最後にI Love You.と書く学生がたまにいる。英語を母国語としない彼等にとって、その言葉の意味はあまりに軽いものなのかもしれない。もし彼等がその言葉がどんな状況でどんな深い感情を持って使われるのかを体験によって知ることがあれば、とても恥ずかしくて答案などには書けないだろう。

母国語を日本語とするわたしにはその言葉が彼等の軽~い冗談じみた挨拶とわかっても、これが英語を母国語とする人が相手となるとそうはいかない場合もある。踊るような字でかかれたI love youを見る度にある一連の出来事を思い出す。

カリフォルニアの大学で講師をしていた時のこと、向かいの机で答案の採点をしていたデビーという若い女性講師が急にペンを止め、「ちょっと聞いてよ」と興奮して話しかけてきた。

聞いてみると日本からの男子留学生が試験の答案の最後にI love youと書いたという。出来の悪い答案の最後になぐり書きの英語が確かに添えられていた。あーあこいつはまずいことをしたなと同情はするものの、デビーの怒りは簡単に収まりそうにない。白いほほを真っ赤に染めて、「わたしが女だからって、若いからってばかにしている」とまくしたてる。

若いことがいつでも賞賛される日本と違いアメリカの大学においては、年齢で見下されないよう若手の講師、特に女性講師は気を使っている。童顔のミシェルなどは「学生には買えないような高価なシャツをいつも着るようにしている」と言っていた。

デビーは「講師が女性であることにつけこんで、こんなことを書いて甘く採点してもらおうとでも思っているのではないか。これはセクハラに該当するのではないか」とますます興奮。セクハラという言葉が出てはわたしも放っておけなくなり、「彼はまだこちらに来て間もないから英語の意味が本当には実感できていないのよ。歌や映画でよく聞くから挨拶ぐらいの感覚しか持っていないのよ」とこの留学生をかばってあげることにした。

言語学を勉強し、言葉と意味の関係の複雑さを理解しているはずのデビーは理屈では納得したようであったが、まだ気分が収まらない感じ。わたしは以前あった同じような話を彼女に伝えた。

それは日本の英会話学校でわたしが働いていた時のこと。教えていた二十歳の女の子がアメリカに短期留学をすることになった。モデルをしていた長い黒髪の彼女は学校でも目立つ美人。でも勉強もしっかりする良い学生だった。アメリカの学校へ行ってもしっかり勉強していたらしいのだが、一つ余計なことをしてきてしまった。毎回出される宿題にI love youと書いて提出していたのだ。担当していた純朴なアメリカ人講師の男性はそれをまともに受け、彼女が帰国する直前にプロポーズをしてしまった。

もちろん彼女にそんな気持ちはなく、そのことは彼女にとって、初めて行ったアメリカでの単なるいい土産話になってしまった。「わたしプロポーズされちゃったんですー」と話す彼女は満面笑顔。国際結婚を彼女の両親が許すかどうかまで悩んでいたというそのアメリカ人男性にわたしは心から同情した。

この話を聞いたデビーもすっかり自分のことは忘れ、そのアメリカ人男性に同情していた。「よっぽどその日本人の女の子がきれいだったのね、かわいそうに。」

アメリカ人の友人男性いわく、I love youという言葉は家族ならともかく、恋人であっても結婚するくらいの気持ちがなければ言わないのだそうだ。

確かに語学学校の受付嬢をしていた女友達は1年以上つきあっている彼(アメリカ人)が一度もI love youと言ってくれないと嘆いていた。映画のように甘くささやいてくれると期待していたのに、ふと気付くと、ささやいていたのは自分だけだったそうだ。これはきっと結婚しないな、とは思っていたがやはり程なく二人は別れた。

言葉の意味は体験を伴って初めて理解するものなのかもしれない。でも気持ちの伴わない言葉も人の心に影響を与える。言葉って複雑で深い。


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コメント (4)
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