2024/9/10
・刑事が殺人事件の捜査を続けていくうちに、ある音楽家の奇妙な半生が明らかになっていく話。
・脚本家橋本忍の代表作はたくさんあるが、その筆頭候補となる作品。
・映画史的な評価は高いが、地味で重そうという先入観もあったので、不安な気持ちで見始める。
・わざわざ東京から秋田に出張して捜査をしている様子から始まり、その前段となる殺人事件とその捜査の様子が描かれる。なぜか時系列を入れ替えている。
・そのあとは、その刑事が島根、大阪、伊勢、石川と事件に関係の在りそうなところをめぐっていき、じわりじわりと新しい事実が判明していく。
・刑事役の丹波哲郎が若い。自分の中では大霊界のイメージが強すぎて、普通にかっこいいことに戸惑う。
・部下と飯を食べるときの距離が妙に近い、個人情報の扱い方、食堂車、舗装されていない道、老朽化した駅の風情など、当時の日常描写がおもしろい。
・当時すでに大人だった人や、当時にかすりもしない若い世代が見たら、全く印象が変わりそう。
・愛人が気の毒すぎる。堕胎以外のやりようあっただろうに。
・本人は一人で育てるって言っているし、婚約者にも勘付かれている風だったし、お金で解決できる範囲だったと思うけど、やはり「父親不在の子供」に対する忌避感があったんだろうか。
・物語に引き込まれていくのは終盤40分くらい。ここから急に時間の流れが速くなったような気がする。
・オーケストラの演奏を背景に、丹波哲郎が事件の真相を犯人の半生とともに語る場面。
・音楽と語りと映像がきれいに調和していて心地よい。
・回想シーンの風景の美しさや、実の父親の鬼気迫る否認のシーンが見どころ。
・ただ、あの回想の子供と音楽家の彼がどうしても繋がっているように思えなくて、別の話が始まったような感じがしてしまう。
・極端な話、前半2/3がなくても面白さが目減りしないような気がする。
・曲で父親と向き合っていたというくだりはよくわからなかった。そんな描写あったっけ。
・後半一気に話を展開させる構成は真似したくなるし、実際真似している作品も多いと思う。
(U-NEXT)
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