特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

ランダウの記号の演算

2019-05-21 13:07:54 | 解析

1.まえがき

 ランダウの記号があるがこれらの演算についてはあまり明確な説明が無い。あるQAがあったの
 で調べてみた。


2.定義

 lim[x→a,x≠a] f(x)/g(x)=0 のとき、f(x)=o(g(x)) (x→a) と書く。
 あるいは ∀ε>0,∃δ>0 , |x-a|<δ → |f(x)/g(x)|<ε

 ∃M>0 して、lim[x→a,x≠a] |f(x)/g(x)|<M のとき、f(x)=O(g(x)) (x→a) と書く。
 つまり、o(g(x))=O(g(x)) であるが、次のように等号の意味には注意が必要となる。

 たとえば、x²=o(x) , x³=o(x) であり、o(x)は何か一つの関数を示すものではなく、等号も本
 来の意味とは異なる便宜的な記号である。

 あるいは、o(x²)=o(x) は成り立つが o(x)=o(x²) は成り立たない。つまり、上の定義での
 書き方の順序が意味を持つ。

3.例題

 あるサイトの例などを紹介する。
 (1) a>b のとき、xa=o(xb) (x→0)
 (2) x²+y²=o(|x|+|y|) ((x,y)→0)
 (3) xno(xm)=o(xn+m) , o(xn)o(xm)=o(xn+m)
 (x→0)
 (4) sin x=x+o(x²) , (1-cos x)=x²/2+o(x²)  (x→0)    から
   sin x(1-cos x)=(x+o(x²)(x²/2+o(x²))=x³/2+o()(x²/2)+xo()+o()o()
          =x³/2+o(x⁴)+o()+o(x⁴)=x³/2+o()+o(x⁴)
          =x³/2+o()

4.公式

 (1) o(f(x))±o(f(x))=o(f(x))

   g(x),h(x)=o(f(x)) → |g(x)|,|h(x)|<(ε/2)|f(x)|

   k(x)=o(f(x))±o(f(x))=g(x)±h(x)
   |k(x)|≦|g(x)|+|h(x)|<ε|f(x)| ⇒ k(x)=o(f(x)) ⇒ o(f(x))±o(f(x))=o(f(x))

   [注意]o(f(x))-o(f(x))=0 とはできない。
       上の計算で |x|<δ は3つあるが、定石として最小のものを取る。以下の
       議論も同様である。

 (2) o(f(x))O(g(x))=o(f(x)g(x))

   h(x)=o(f(x)), k(x)=O(g(x)) → |h|<(ε/M)|f|, |k|<M|g| → |hk|<ε|fg|

    ⇒ hk=o(fg) ⇒ o(f))O(g)=o(fg)

 (3) |g(x)|≦Mのとき、g(x)o(f(x))=o(f(x))

   h(x)=o(f(x)) → |h(x)|<(ε/M)|f(x)| → |g(x)h(x)|<M(ε/M)|f(x)|=ε|f(x)|

    ⇒ g(x)h(x)=o(f(x)) ⇒ g(x)o(f(x))=o(f(x))

 (4) |g(x)|≦Mのとき、g o(f)+o(f)=o(f)
   わずらわしいので、略したが f,g,h,k,l はすべて xの関数。
   h,k=o(f) → |h|<(ε/2M)|f| , |k|<(ε/2)|f|

   l=g o(f)+o(f)=gh+k → |l|=|gh+k|≦(M(ε/2M)+(ε/2))|f|<ε|f|
    ⇒ l=o(f) ⇒ g o(f)+o(f)=o(f)

 (5) o(o(f(x))=o(f(x))

   ε=1 にとる。g=o(f) → |g|<ε|f|=|f|
   ∀ε>0 について(δを適当に取って)、
   h=o(o(f)=o(g) → |h|<ε|g|<ε|f| ⇒ h=o(f) ⇒ o(o(f))=o(f)
   
   これを利用すると、(4) から o(g o(f)+o(f))=o(f) が成り立つ。

 (6) |f(x)|≦M のとき、o(f(x)x+o(x))=o(x) (x→0)

   ε=1 にとって、g=o(x) → |g|<|x|
   h=o(f(x)x+o(x))=o(f(x)x+g(x)) →
   ∀ε>0 に対して ε/(M+1)をとり(δを適当に取って)、
   |h|<(ε/(M+1))|f(x)x+g(x)|≦(ε/(M+1))(|f(x)x|+|g(x)|)≦ε|x|
    ⇒ h=o(x) ⇒ o(f(x)x+o(x))=o(x)

5.あとがき

 ランダウの記号についてはやっぱり物理は杜撰だなぁ、と思っていたが、キッチリとした背景
 があるとは思っていなかった。さらに、ランダウとは、な、なんと数学者だった!! なんと
 いう思い込み。

文献
  解析入門Ⅰ、杉浦、東京大学出版会

以上


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