仮タイトル

『超時空要塞マクロス』(初代)輝×未沙中心だが
美味しい所はミンメイが持って行く二次創作(SS)ブログ。

道なき道

2008-04-13 | メガロード編
退院してきた未沙はリビングでミンメイのアルバムを聴いていた。
早番の勤務時間は過ぎた。何事も無ければもうすぐ輝は帰ってくる。
だが肺炎起こして退院して、家に戻るようになっても、何かとつけて帰りが遅かったり帰って来なかったりだったから、まっすぐ帰ってくるとは思えない。
思っていなかったのに。
「ただいま」
予想だにしなかった声に未沙は驚いた。
振り返るとドアの所に輝が立っていた。
「……」
返事も忘れ、目を見開いたまま、未沙は呆然としてしまった。
「なんだよ。俺の顔になんかついてるか?」
ぶっきらぼうに言うと輝はコートを着たまま未沙の斜向かいのソファに座った。
「ううん…」
まだ未沙は輝の態度の変化に頭の中が混乱している。
輝はテーブルの上にあるミンメイのアルバムジャケットに手を伸ばし、歌詞カードを取り出した。
今流れている曲の詩が書いてあるページを開いて手を止めた。
「…未沙」
「な、なあに?」
「…結局俺達、二人でクリスマスを過ごせなかったな」
「……」
---別れを告げに帰ってきたのだろうか…。
暗い予想が未沙の表情を曇らせた。
重苦しい空気の中でミンメイの歌声が響く。

 追い風吹かず 挑むよ向かい風

「…お腹の子に、クリスマスを過ごす相手が出来るまではお預けだ」
---え?
輝の言葉に再び唖然とする。
「そん時はじーさん、ばーさんになってるかもしれないけど、それでもいいか?」
それは別れる事無くいつまでも傍にいるという事を、未沙はやっと理解できた。

 胸を張るんだ 隠さなくていい
 花を束ねて踊るよに

顔をあげた輝と目が合った。
どきどきした。
初めて輝を異性として意識し始めた時のそれと似ている。
「…許して…くれるの?」
未沙の声は震えていた。
「許すとか、許さないとかじゃなくて…その…上手く言えないけど…」

 雨足速く 呑み込まれてふたり
 嵐の上におぼろな夜は行く

「…お前の言葉を、信じることは出来ると思う」
なんだか照れくさくなって輝は顔を赤くしてそっぽを向いた。
「どうして?」
昨日の今日だ。未沙は素直になれずにいた。
「あんなに疑ってたくせに、どうして…?」
「…思い出したんだ」
「なにを…?」
「…俺が…未沙の傍にいたいんだって事」

 誰もが胸をやきあう 古(いにしえ)の罠
 大丈夫まだわからない
 轍(わだち)をたよりに道無き道

「そう…思ってくれてるの?」
「思っている。…傍にいて、いいか?」
しばらく見つめあってから未沙の瞳から涙が零れ落ちた。

 もっと平たく考えて
 もっと深いところで
 もっと平たく考えて

「傍にいて…輝。もう、ひとりにしないで…っ」
輝は未沙の隣に移動して、泣きじゃくる肩を抱き締めた。
「ひとりになりたくてもなれないだろ?」
そしてそっと未沙のお腹に手を添える。
「ここに、もうひとりの俺がいるんだから」

 愛してる
 愛して 愛して 愛して

「この子はきっと甘えん坊になるわね」
輝の胸にしがみついて微笑んだ。
「言ったな!」
「きゃ!」
お仕置き、と未沙の頬をつまんだ。
その指はすぐに解き、未沙の顔を上げる。

 愛してる

CDから流れる曲が終わっても、二人の接吻は長く続いた。




Minmay's song:「秋雨前線」「道なき道」


7 コメント

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あとがき (作者)
2008-04-13 22:41:52
あれとかこれとかそれとか、本当はまだ書きたい歌があるんだけど、使いきれなかったー。
あとで何か書けるかなぁ?
と、いう事で今度こそ気まぐれ更新になりやす。
…多分。
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とりあえずここで区切り? (理沙)
2008-04-14 11:01:06
…とふんで感想ですが、歌との絡みがいいですなぁ。あいかわらず
ミンメイはかなり大人っぽく感じましたが、以前の様にはいられない、と言うのは共通の思いですね。
やっている事は同じでも、輝は結婚前で未沙は結婚後。全然環境が違うので正直「ダイジョウブかぁ!?」と思いましたが、ここの未沙はあんまり意地張らないな…。
わたしゃてっきり意固地になってしまうかと。
輝に「押しても駄目なら引いてみな」までやらせるかと思ったです。マジで。
(輪をかけて発想が鬼のわたし
原作の反対の発想っていうのも、中々面白かったですよ。まだまだ色々発想できるんだなぁと感心しました。
(って、まだあるか?やりそーだな…。)
また気力が出るまで、こちらに遊びにどうぞ。
週末には入れるつもりです。

輝君に「俺の子か」と言わせ、「鬼」にしたので、プレゼントに私からも愛のもんちゅたん5機あげます
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>理沙さん (作者)
2008-04-14 21:03:42
旦~旦~旦~旦~旦~⊂(゜∀゜*)冷めないウチにどぞー!
もんちゅたんにお茶あげて操縦士にはあげない私が一番の鬼(笑)

はい、一区切りです。
ミンメイの場合、振られたからって未沙みたいに顔合わせるのが恥ずかしいって事無く、さばさばしていけるんじゃないか?と。
振られたけど会いたい、お話したいってのがミンメイだと思ってね、ハイ。
そしたらすんげぇ大人になっちまっただわよ。
未沙が意固地にならなかったのは私が意気地無しだからです
本当は「引いてみな」までやろうかと思ったんですけどね。『ベビーベッド』使って(笑)
歌が先にあって書いたものと、書いたものに歌をあてたものとあります。
多分SS書きはまだやると思います。
いつかミンメイに『ジュゴン~』『Heaven's~』とか唄わせたいなってのがあるし、逆に書く予定だったのも別な角度で書きたいなってのもありますし。こっこ、ごめんよネタにして
週末楽しみにしています。うふ
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お疲れ様でした (もか)
2008-04-14 23:37:39
ハッピーエンドでほっとしたけど、これでしばらくお休みですか・・・
さみしいです~
妊娠中おろおろする輝も、出産のトラウマがよみがえる輝も、未沙を独り占めできなくて娘にやきもちやく輝もみてみたい・・・
もちろん、母として艦長として強くたくましくなっていく未沙も。
次を期待して、作者さまに神が下りることを祈ってます!
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Unknown (いろは)
2008-04-15 20:51:33
あれとかこれとかそれとか、待ってます!

区切りということで、イチから読み返してきましたよ。2ヶ月の長丁場だったんですねえ・・・しみじみ。
これで未来ちゃんをWelcomeして産休じゃなくてThankyouとなるのね。
(なんか頭悪い子の文章だ・・・)
でも、「俺の子か」などと鬼発言をした輝にはもっと反省していただかねば!!

 由⊂(^o^*)こりはワタシからもんすたの操縦士のみなさまへ差し入れの菓子折でございます。数が足りてるかは知らん。
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Unknown (作者)
2008-04-15 22:15:15
>もかさん
ネタが無いというワケではないのですが、すんげぃ短い話にしかならなそうです。
母として艦長として輝の妻として(←ポイント)強くたくましくなっていく未沙は書きたいかも…。
ネタ落ちてないかな~。ちょっと神様、ネタ拾ってきてくださらない?(笑)

>いろはさん
2ヶ月も書いてたんか、私。気がつかなかった(爆)
鬼輝にはワタクシめが月にかわってお仕置きしておきましょう(って、おい)

お菓子の数が足りなかったらジャンケンで奪いあっていただきましょう。
もしくは「一杯のかけそば」のように分け合って…(笑)
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ひひひ (敦賀屋バボ)
2010-12-14 14:06:15
輝君 未沙とした ブリタイ艦での 宇宙やどりを思い出しんさい(TV版ならね) 劇場版なら 地球やどり を思い出しんさいね
雨宿り@さだまさし より バボでした あの当時バボは 一桁だったのにorz コンチクショー 今じゃ 輝を追い越しちまったい
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