仮タイトル

『超時空要塞マクロス』(初代)輝×未沙中心だが
美味しい所はミンメイが持って行く二次創作(SS)ブログ。

UMUI(3)

2009-11-09 | メガロード編3
翌朝、輝と未沙は早くに家を出て、そろって施設内の保育所に未来を預けに行った。
「あら、今日はお早いのですね」
輝に抱っこされている未来も眠そうになんども眼を擦る。
「すいません、これから預ける時間が長くなりそうなんです」
軍施設内で母親の顔が出来るのはここだけの未沙。
「色々とおありでしょうし、ここは24時間体制にしてくださったから大丈夫ですよ艦長。私たちはそういう事も踏まえてここで働かせて貰ってます」
笑い皺の深い所長がニコニコしながら眠そうな未来を抱っこした。
「時間が出来たら様子を伺いに来てもよろしいでしょうか?」
「もちろんですよ」
夫婦ふたりは会釈をし、それぞれの執務室へと向った。

ベンジャミンは仕事を終え、白衣をランドリーボックスに突っ込んだ。
忘れ物はないか、とバッグの中身をざっと確認し、個人研究室を出る。
関係者出入り口へと向う途中、これから勤務なのであろうひとりの女医と出会う。
彼女もベンジャミンに気がつき「おはよう」と挨拶をする。
「おはようございます」
ベンジャミンも挨拶を返す。そのまますれ違って、二人共それぞれの場所へと歩いて行った。
病院を出て、ベンジャミンはバッグの中からごそごそと携帯を取り出す。
電源を入れて留守録とメールのチェックをする。
ミンメイから昨夜の返信が届いていた。
「そうか、アルバム録りが終わったんだな。と、いう事は今日はまだ寝てるかな…」
ベンジャミンの読み通り、ミンメイはベッドの中でスヤスヤと眠っていた。
---また後で連絡しよう。
クスリ、と笑って携帯のディスプレイを待ち受け画面に戻し、バッグの中に戻した。

「おはようございます!艦長!」
メインブリッジにいる全員が席を立ち、開いたドアの前に現れた未沙に向って敬礼を掲げる。
「おはようございます。…解析室からの連絡は?」
「まだ何もありません」
「そう。…ブレンダ、今日はもうあがっていいわよ。突然の宿直で疲れたでしょう。帰って身体を休めてちょうだい」
「ありがとうございます」
あれから未沙と同様にレーダーに引っ掛かったものを自分なりに解析してみようとブレンダは頑張っていた。
「それでは失礼します」
ブレンダはもう一度敬礼を掲げ、メインブリッジを後にした。
徹夜であるにも関わらず、疲れた表情を見せることはない。
彼女はゼントラーディ出身で、体力は地球人よりは多少強いようだ。
そして艦長である未沙への感謝もある。
ゼントラーディ出身であるにも関わらず、メガロードのメインブリッジメンバーに加えてもらった事も、任務への力となっていた。
未沙は艦長席に座り、ディスプレイを立ち上げる。
回線を解析室と繋ぎ、どこまで解析が進んだかを調べた。
解析が進むどころか、解析しようとすればするほど不可解になっているようにも見える。
オーバーテクノロジーを集約させた艦の設備であっても、これが限界のようだ。
「…」
未沙は考え込んでインターフォンを上げた。
「護衛航空隊の一条隊長に繋いでちょうだい」
少しの間を置いて『はい、一条です』と輝の声が聞こえた。
「これから偵察隊を出していただきたいのですが、VE-1は動かせて?」
『3機が整備済みですので、パイロット招集次第出られます』
「よろしい。ではその3機を発進させてください。目標ポイントなどはオペレーターに従うように」
『了解』
見えない所で二人同時にインターフォンの受話器を下ろす。
輝は待機隊員のメンバーを知る為に端末を立ち上げ、リストを出した。
そして棟内アナウンスのボタンを押し、航空偵察部隊第3小隊を格納庫へと召集した。

操縦に集中する者と探知に集中する者、バディシステムの偵察部隊は小隊でも6名いる。
格納庫の人口密度がたちまちに上がった。
「取れたデータは解析室へ直に送っていいんでしょうか?」
確認を取っているのは小隊長ジェイラス・マクローリン。
「いや、それもブリッジの指示を仰いでくれ。艦長経由になるかもしれないから」
輝は腕を組みながら出動準備を眺めている。
「了解!ビショップ・ワン、計器オールグリーン!行きます!」
キャノピーを閉め、ゆっくりとエアロックエレベーターへと入る。
『ビショップ隊、偵察ポイントは3G-E8、今回の目的はより鮮明な振動波を収集する事にあります。監察軍のものと思われる破船がありますが、こちらはまだ調査していないので近寄らないように。滑走路は3番を使用してください』
航空管制オペレーターのサラが淡々と任務を伝えてきた。
『了解。ビショップ隊、出るぞ』

ミンメイは夢を見ている。
ミュージシャンの仲間達と輝と未沙と未来、そしてベンジャミンと笑いながらケーキでお茶会を開いている。
みんな笑っている。楽しそうに。とても、楽しそうに。
ミンメイも笑っている。とても楽しく、そして、とても嬉しくて笑っている。
夢の中のミンメイは笑っている。
そして…とても気持ちよさそうな寝顔をしていた。
だがその夢は長く続かない。
周りの風景がフッと消え、ベンジャミンと二人きりで立っていた。
そしてベンジャミンが何かを言っている。
でも何かを言っている、という事がわかるだけで、何を言ってるのかはわからない。
わからないままミンメイは口を開く。歌を、歌う。

 「               」

地球でもゼントラーディの言葉でもない言葉で歌を歌っていた。
ベンジャミンはまだ何かを言いながら前に立っている。
そしてそのうち、ひとつの光の球体が二人の間に現れた。
それが眩しく光ると同時に、ミンメイは目が覚めた。
「………」
命より大切な髪の毛はボサボサ。
起きぬけのぼ~っとした顔でむっくりと起き上がる。
「…なに?今の夢…」
夢と言うものは、大抵意味不明な展開が多い。
だが、それを超えて考えさせる不思議さが、その夢にはあった。



つづく



2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あとがき (かりな)
2009-11-09 20:16:47
変な文法とかあっても気にしないでください。
薬のせいで頭がぼ~~~っとしてるんでつ。
返信する
拍手レス (かりな)
2009-11-10 20:18:36
>理沙さん
はい、何か出てくる予定です。
これ以上はネタバレになるのでお口にチャックします(・×・)
返信する