仮タイトル

『超時空要塞マクロス』(初代)輝×未沙中心だが
美味しい所はミンメイが持って行く二次創作(SS)ブログ。

駄犬

2008-01-18 | and more
叙位式が終わり、業務を終えた後、輝は航空部隊の仲間達に連れ去られた。
祝いの席は大いに盛り上がり、この分では簡単に帰してもらえないだろう。
未沙は自宅で明日のスケジュールを確認し、書類の不備が無いかチェックを終え、そろそろ眠ろうと立ち上がった。
同時に来客を告げるチャイムが鳴り、『こんな時間に誰だろう?』と思いつつ玄関に向かった。
「やっほ~!未沙~、ただいま~!」
べろんべろんに酔っ払った輝である。
「ただいまって、ここ私の家よ」
酔っ払っている輝は未沙の言葉など聞いてはいない。
勝手知ったる未沙の部屋に千鳥足で入っていく。
この状態で「帰れ」と言っても帰らないだろうし、途中道路の真ん中で倒れて眠られても仕方ない。未沙は諦めて玄関の鍵を閉め、輝を泊める事にした。
「いや、俺はもう帰るって言ったんだよ。そしたらイワンのヤツがさ~」
輝はちゃっかり寝室に入り込み、訊いてもいない事を話続けている。
「はいはい。わかったから。上着脱ぎなさい、シワになるわよ」
「ん~?」
ぼーっとした表情をして、未沙に上着を脱がせてもらった。
しかし未沙は上着をハンガーに掛ける事も出来なかった。
輝が飛びついてきたからだ。
「未沙~」
「きゃああ!」
身体を支えきれず、床に倒れこんだ。
輝は頬ずりをしながら、唇を重ねてくる。
「んっ、んん…っ」
声を出すのも許さない、と言うように押し付けてくる唇からなんとか逃れようと頭を横に振った。
「もう!お酒臭いわよっ…!」
嫌がる未沙にもお構い無しに、輝は首筋を強く吸った。
「あ…っ!」
躯がビクン、と跳ね、強張るのを感じた。
---まさか、このまま…?!
このまま”初めて”の夜を迎える事になってしまうのか。
こんな、酔った勢いの状況で迎えてしまっていいのだろうか。
---嫌…嫌、だけど…。
やっとひとつになれる時が来た。そんな男女の仲への進展がある事に嬉しさも感じて、未沙は本気で抵抗することもなかった。
「未沙」
名前を呼びながら未沙の胸を優しく撫で始める。
「…あ」
すでにパジャマに着替え、下着を外していた未沙は、上衣一枚を通していても、輝の手のひらの熱さを感じた。
乱れた襟元から匂いを嗅ぐように鼻先を滑らせて未沙の肌に唇を寄せる。鼓動が激しくなる。
「柔らかい…」
胸の谷間に頬を埋める。未沙は覚悟を決め、瞳を閉じた。
「ひかる…」
「……」
---……ん?
輝の動きが止まっているのに気がついた。
「ひか…」
「ぐぅ。」
「…!?」
なんと、輝は眠ってしまった。未沙の乳房を枕にして。
「~~~~っ!」
泣きたいのか、安堵すればいいのか、怒りたいのか。複雑な思いを胸に、未沙は顔を真っ赤にして眉をひそめた。
「ふざけないでよ!バカ!」
今はそれしか思い浮かばなかった。
肩を押し上げて、なんとか未沙は輝の下から這いずり出た。
「もう!知らない!」
ふてくされて未沙は、輝をそのままにしてベッドに入り、灯りを消した。
---人の気も知らないで!
頬はまだ熱かった。心臓もまだ早鐘を打っている。触れられた胸にそっと自分の手を当てる。
「…バカ」
小さい声でもう一度罵った。すると…。
「みさ…」
「!?」
彼女の名前を呼ぶ輝の声が聞こえた。
上体を起こし、ベッドの下に寝転んでる輝を見る。だけどやっぱり眠っていて、それは寝言だとわかった。
「未沙…置いてかないでくれ…」
さっきまでのご機嫌な顔とは打って変わり、悲しげな顔をして眠っていた。
「ひとりは…いやだ…」
その一言が未沙の胸をちくんと刺した。
---この間のショックがまだ残ってるのかしら…。
再びすぅ、すぅと寝息を立てる輝に「やれやれ」という風に溜息をつき、未沙は箪笥から毛布を出した。
それを輝の身体に被せてやり、クッションを頭の下において上げた。
短くなった前髪。おかげで彼の顔が良く見える。
その前髪を数回撫で、未沙は小さくつぶやいた。
「置いてったりしないわよ…」
そして未沙ももう一度ベッドに戻り、眠りに墜ちていった。

翌朝、輝はいつもと違う匂いを感じて目が覚めた。
「んあ?」
ピンクのカーテン、大きな鏡のついた化粧台。
ここは明らかに自宅ではない。
輝は頑張って昨夜の事を思い出そうとしていた。
---店を出たとこまでは覚えてんだけど…。
「目が覚めまして?一条少佐」
ドアの方から家主の声が聞こえた。
びくっとして恐るおそる視線を向けると、制服を着て腕を組み、仁王立ちになっている未沙がいた。
「みみみみ、未沙…はは、おはよう…」
笑って誤魔化そうと試みるが、未沙の怒りは目に見えて明らかだった。
「ちょっとそこに座りなさい、一条少佐」
「はははは、はいぃ」
朝から正座させられ、説教を受けながら輝はとある言葉を思い出した。
『酒は呑んでも呑まれるな』
くぅ~~~~~ん。





4 コメント

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あとがき&レス (作者)
2008-01-18 21:29:13
番外編その2。「Orgueil」の最終話の続きみたいなもん。
情けない輝を久々に書きたくなったもんだからつい(爆)
え?ウチの輝はいつも情けないって?
それを言っちゃあお終いよ!

そして遅レス。すんません。
>15日にweb拍手でメッセくれた匿名さん
 >もしかして完結してしまったりするんでしょうか?
 んー。もともと「Orgueil」で終わる筈だったんですけどね。
 エロ書きたくなったり、深く考えてみたり、TV版で思った矛盾を追及(捏造)してみたりしてる内にここまで来てしまった、ってのが正解でして…。
 書きたいものは書いたつもりたし、一区切りもついて、いつ更新が途絶えてもおかしくないとこなんですよ。ホントは(苦笑)

ただ、ここんとこ妄想の神様が良く来てくれているので、せっかくだから力貰ってます(^^;
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残念なお知らせ (kirisima)
2008-01-21 18:44:57
作者さんこんばんわ。かわいい二人に思わず少々笑ってしまいました。次はどんな話になるのか楽しみです。頑張ってください。ちなみにウーロン茶とクロレッツの組み合わせで出来るのはサロンパスです。(笑)それと兄の計画が失敗してしまったそうです。少し落ち込んでます。なんでも掲載を目前に控えてその友達のサイトが閉鎖してしまったそうです。兄は皆さんに謝りたいと言っています。兄に代わってすいませんでした。何だか放心状態なんです。作者さん、こういう時はどうすれば良いのでしょうか?
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>kirisimaさん (作者)
2008-01-21 19:39:49
サロンパスは貼るもので食うもんじゃないわな…。
ま、お兄さんには「無いなら作れば?」とでも申しましょうか?
実際、私も色んな方のSS読んだりして「でも、こういうのもいいよね」と自己満足妄想膨らませてこのブログ始めたワケですし。
SS掲載だけでもいいならウチみたいにレンタルブログサービスで充分だと思います。
今は便利だなー。ミラサイトやってた10年(以上)前はhtmlでこつこつ書いてftpで少しずつアップしてたのが懐かしー(苦笑)

さて、神様召還するか…。来るかな?(笑)
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ありがとうございました (yamato)
2008-01-25 10:33:07
どうもご迷惑おかけしました。やっと自分の整理がつきました。これを機会にもう一度一から考え、やり直すことにします。いろいろありがとうございました。これから仕事も忙しくなるのでまたしばらくはコメントを妹にまかせる事にますがよろしくお願いします。二次創作についてはいつになるかは分かりませんが、いつか晴れて自分の作品を色々な方に読んでいただく日が来ることを夢見ております。皆さん、本当にありがとうございました。
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