ふわゆき絵巻

ねこと船と手作りと旅

2010年12月09日 | 昔のはなし
私の通っていた小学校では、毎年文集を作っていました。
その中で思い出したのが、この詩。
多分1年生の時だと思う。


「ぼくは、ほうれんそうをうっちゃりました。

 どんどんうっちゃりました。

 そこへたけしくんがきたので、いっしょにあそびました。」


題は忘れました。作者はすーたん。
当時これを読んだ時、生意気ざかりの私は「何これ?」
と失笑したものです。
こんなに短くて、これじゃ作文じゃないじゃん。と

すーたんは、痩せていて小さくてひ弱な感じの男の子。
勉強も体育もあんまり・・の農家の子でした。

短いから覚えやすかったのか、どうしてかわからないけど、
最近何故かこの詩がよみがえってきた。

よく読むとこの詩、深い。


「ぼくは、ほうれんそうをうっちゃりました。」

うっちゃるというのは捨てるという、方言。
ちなみに小学校は千葉県北西部。
親の手伝いで畑に出て、ほうれんそうを捨てた。



「どんどんうっちゃりました。」

たくさん捨てた。
生産調整のためか?


「そこへたけしくんがきたので、いっしょにあそびました。」

近所のたけしくんと連絡を取りあうでもなく、遊ぶ。
電話は子供の使うものじゃなかった。
昔はよく外で遊びました。外にいけば誰かがいました。

そう、この3行の中に、地域、家の職業、経済状況、
当時の子供の様子などが読みとれるのです。
それに気付いた時は、うれしいようなびっくりのような。

すーたんは、そんなことを考えて書いたのではないでしょうが、
こどもの飾りのないストレートな表現。
かなりの名文だと感じいっているのです。

すーたん、当時は笑ってゴメンね。
やっと読めるようになったよ。