JAZZ & BAR em's(ジャズバーエムズ)

 銀座6丁目に2003年末オープンしたジャズバーです。
「大人のくつろぎ空間」をお探しの皆様にご案内申し上げます。

大事なことは・・・

2013年02月10日 | ステージから


 Vocal Sessionにご参加の方々の歌を聴いて思うこと・・・
まず、一番気になることは、「何を歌いたいのか?」「どうしてその曲を選んだのか?」
ということです。 最初のきっかけは、もちろんいろいろだと思います。
「誰それのこの歌を聴いてカッコ良かったから」
「自分も人前でライトを浴びてみたい」
「カラオケとは違うステージで発散したい」
でも、究極の目的は、自分と聴いている人を癒すことなのであり、
「何を、どう歌えばそれに近づけるか」というのは、「上手い」と思われるかどうか、
ということよりも重要です。

 次に、陥りやすい間違いとして、「意味のないフェイク」があります。
フェイクというのは、オリジナルのメロディーやリズム、アクセントのポイントを
意識的に変えて、よりいい感じのスパイスを効かせる、とでもいうのかな、
そういう効果をねらって変化させることを言います。
どこかで聴いたようなフレーズやアクセントをむやみに入れて、もとのメロディーとは
かけ離れたものを作り上げてしまう場合があります。それが、より良い効果を
生んでいればいいのですが、かえって不自然になって、元よりも良くないことが
けっこう多いものです。

 昨日の袴塚さんのお言葉;
「この言葉、四分音符二つで書いてありますよね。その意味を感じてください。」
そう、まさにそういうことです。毎回同じように歌え、と言うのではありません。
ただ、作者がその音符、その休符、その長さでその言葉をあてはめた意図を
十分に感じてそれを生かすように、また、より良くなるように歌って行くことが
大事なことなんです。
 共演のミュージシャン(特に伴奏の要であるピアニスト)は、
「歌い手と一緒にその曲をいかに表現するか」に神経を集中しています。
何の曲を、どう歌いたいか、を強く感じさせるように歌う、それに向かって
練習したり工夫する、というのが、まず最初に意識していただきたいポイントなのです

レポートその2

2013年01月30日 | ステージから

 早い時間のクリニックで完成した曲目を1曲あるいは2曲ずつそれぞれ本番のつもりで
(しゃべりも入れて)披露した方々は「わあ、緊張した!」と興奮気味でしたが、
でも、アドバイザーの立場から見ると、練習中よりもかなり出来が良いのですね
もちろん、ちょっと歌詞を間違えたり、入るところを見失ったりはありましたが、
そこは上手くサポートして、ストップすることなくステージを進行させ、
全体的にはちゃんと収まりましたし、それぞれの個性も良く出ていました。
 何より、クリニックでアドバイスされたことを、自然にすぐに実践できていることに
ビックリ

 ルバート(テンポの縛りのない演奏)は通常バースの部分とエンディングに使われる
ことが多く、聴かせどころでもあり、言うに言われぬ効果も生まれるのですが、
これがシマラナイと、とっても聴きづらいものです。
生の演奏の中に入って歌う経験の少ない人にとって、どうしたらイメージするような
歌い方ができるのか?というのは関門であり、技術的に説明もしにくいのです。

 で、今回この歌い方を使った人、二人が二人とも小谷さんの
「エンディングに差し掛かったらボクのほうも視野に入れて」というアドバイスに
本番で自然に対応し、練習ではテレもあってなかなかうまくいかなかったのに
ちゃんと「共演ミュージシャン」としてのアイコンタクトができていたのです
真剣なあまり小谷さんに
「そんなに向き直って見つめなくてもいいんですよ」と苦笑されていましたが

 このように、「本番」として、でなければ経験できないことがあります。
ジャズを歌いたい人にとって、レパートリーを増やすことも大事ですが、
パフォーマンスで一番重要なのは、「共演している」感覚を磨く、ということなのですね

 「どうしたら演奏中にミュージシャンと上手くコミュニケーションができるのか?」
というところで不自由を感じている方には、小谷さんの[P.C.Clinic]&{A.C.Session]を、
本気でオススメいたします


A.C.セッション レポート

2013年01月30日 | ステージから

 昨日初めて開催した「A.C.セッション(アフター・クリニック・セッション)」は、
小谷クリニックの生徒さん数名を1stステージに出演させる、という形で行いました。
 まず2曲、小谷・大角ペアの演奏→私が一人一人を紹介→順番に歌う
→最後に私が一曲歌って終わり、というやり方です。

 通常「ボーカル・セッション」というと、ご自分の譜面をお持ちの経験者が集まり
(つまり、オーディエンスも歌うアマチュアばかり)それぞれの歌を数曲ずつ披露して
楽しむ、ミュージシャンはひたすら伴奏に徹する、というやり方です。

 ですが、この場合時間が1ステージ45~50分の中で限られていること、
それから、あくまでも「プロとアマのコラボのステージである」
というコンセプトを大事にしたいので、いつものエムズのステージの中に
アマチュアの方々を組み入れて構成し、たとえば普通のお客様がみえても、
それはそれでご納得いただいた上で聴いていただく、というスタイルが良いと考えました。

 そういう経過ですので、今後、月に一度の「A.C.セッション」ご参加希望の方には、
やはりご予約をいただき、ステージよりも前にいらしていただいて小谷さんと打ち合わせの上
出演者と同じやり方でステージを経験する、ということにしたいと思います。
参加料金:\3,000(1drink付き)
また、このステージに関しては、お聴きになるお客様も同じ料金です。
(2nd以降も居残っていただける場合には飲み物代の追加が発生しますが)

 近々[Information]のページにもアップいたしますが、練習中の方、どうぞご検討の上
奮ってご参加ください。 ある程度の経験のある方には、これはゼッタイためになります。
その理由は・・・・・続く・・・・。

 

ツアー・レポート

2012年11月26日 | ステージから
恒例のツアーの模様。
河辺楽団;河辺浩市(Tb)五十嵐明要(As)岩見淳三(G)小林洋(P)大津昌弘(B)八城邦義(Ds)
&影山ミキ(Vo)@高崎

 地元の有志の皆さんで何十年も続いている男性コーラスグループ、
河辺さんがこれも永年師匠を務めていらっしゃるビッグバンドの皆さんの
定例演奏会とディナーの後、ゲストプロ集団として登場。
なにしろお客様が全員音楽好きの仲間たちだけに、毎回大盛り上がりのステージになります。
 エムズでの影山しかご存知ない方々に、たまには歌手らしくドレス姿で、大人数のバンドで
歌っている場面をお見せしたいと思いまして。

 こういう先輩たちの音に包まれてよその舞台に出ると、ワケもなくうれしくて
「ああ、やっぱり私は由緒正しい(?)バンドシンガーでいたいんだな~~
とつくづく思う今日この頃。 駆け出しの頃には、こういう遠征や出前営業の
ステージもたくさんあって、ただ歌手として日々を生きていけるかな、となんとなく
信じていたところがありました。

 時代は変わってしまいましたが、ゴキゲンな時間と空間を演出するオーソドックスな
楽団の一員として、今後もできる限り活動していけたらと願っています

 『9周年Week』の始まりです
金曜日のスペシャル・トリオももちろん聴いていただきたいけれど、
いつにてもタイミングの合う日にご一緒に乾杯していただければ、
これ以上うれしいことはございません女将敬白

8/5 演奏曲目リスト

2012年08月09日 | ステージから
私の歌った曲目だけですが、ご参考までに・・・
1st Stage
1. Orange Coloered Sky
2. Blame It On My Youth
3.Straighten Up And Fly Right
4.Loss Of Love(『ひまわり』のテーマ)
5.The Frim Fram Sauce

2nd Stage
1.Stella By Starlight
2.Two For The Road
3.Lover,Come Back To Me
4.I'm Glad There Is You
5.Too Close For Comfort

 解説等はまた別の機会に・・・

エムズ亭

2012年05月20日 | ステージから
18日(金)お当番は
『ギャグ・メッセンジャーズ』こと小林洋(P)酒井一郎(B)ペア
二人がセッティングしてから食事に出かけた間に、なんと4ヶ月ぶりの
光井彰夫さん(Cor,Vo)登場
「だいぶあったかくなったからねえこないだの新宿のフェティバルでみんなに会ったし
そこへスーパー・クラリネット:松平さんもご参加

 後半は初めてみえたお客様方もあり、みんなビックリしていらっしゃるよう
でも、4人は淡々と演奏を続けようとするので、カウンターから怒鳴りました。
(カクテルを作るので忙しかったんです
「どなたかMCをお願いします
顔を見合わせていましたが・・・おもむろに立ちあがる洋さん
「え~~、私はピアノ、小林洋です
おおっ!自己紹介だ新しいゾ!
「次にベースは酒井一郎!ここまでが本日の出演者です
良く理解できない客席
洋「光井さんはエライので、立って演奏をしません。ここに座っていて、気が向いた曲には参加してくれます
それから松平さんもエライので、バンドというのは失礼に当たります以上
ナルホド
 でもまあ、たまたまいらしたお客さま方はとっても得した気分なわけでした

 で、私が歌いに出るとなんとステージに5人
「スケジュールに『出演者は都合により、変更される場合があります』とは注意書きが
あるのですが、『断りなく増えることもあります』っていうのも加えなければいけないかも
 エムズのハコに管楽器(特に木管系)の音はとても良く合います。
和気あいあいとした盛り上がりでアンコールまで
終わってからのビールがウマイ楽しい週末の一夜でした

明日21日(月)ジャズバーエムズはお休みさせていただきます

テーマ曲?

2012年05月13日 | ステージから

 最近エムズでは、ほとんどのピアニストがMCをしてくださいます。
マイクを使う方と使わない方がいます。 むろん、この距離感なら、マイクがなくとも
十分聞こえるわけですが
ある日の袴塚さん、恥ずかしげに
「え~、ではお酒の歌です。"For Heaven's Sake"」
一同「???
袴「だって“お願いだからサケをくれ”って題名でしょ?」
私「違いますって
これは以前に私がこの曲を訳す時に
「"for Heaven's sake"はイディオム(常套句)で、“後生だから=お願いだから“と言う意味です」と話したのを、
sakeがサケと読めるのでダジャレってるわけで、もちろん本当の意味はわかっているのです。
困ったもんダ。そのうち本当の意味なんて忘れちゃうよ
だいたい演奏家って題名とか歌詞なんてあまり重きを置いてませんからね。
歌手としては、歌詞の歌ってる内容とか言い回しの美しさや調子の良さに惚れて歌う、
という場合もあります。でも、それにすごくとらわれる、というのも、
曲想をそれぞれに膨らませられなくなるから、ちょっと危険かもしれません。
音楽の味わい方は人それぞれ自由であるべきですね

私「んじゃ、この歌は淳さんのテーマってことで
袴「え~~オレだけ?

明日:14(月)ジャズバーエムズはお休みさせていただきます



ヤル曲やらない曲

2012年04月09日 | ステージから

 折に触れて書くことがありますが、
「何かリクエストはありませんか?」という場合、普通の方々にも耳馴染みがあったり、
想い出の曲だったりするものを、1ステージの中に何割か入れるほうがお互いに気楽だ、
という配慮があります。
 で、ほとんどの場合
「できる曲しかやれませんけど」などと付け足します。
私の場合は、ピアノとベースのほうを見て
「三人のうち二人が知っていれば、たぶんお届けできます
五十嵐さんの場合は
「といっても、やりたくない曲はやらないんですがね」と、澄まして言います。

 ある日の五十嵐トリオに、最近いらした方が
「“セント・トーマス”お願いしますどうしても五十嵐さんのが聴きたい
と、熱心にリクエスト
かなり驚いてズッコケる五十嵐さん。
「え~と、この編成でねえ、う~~んと、どんな感じだったっけ?(しばし考え込む)
ちょっと待ってくださいよ。10分ばかり練習さしてもらって、と」今度は客席がズッコケる。
ピアノの森田さんが立ちあがって五十嵐さんに耳打ち
「じゃ、休憩中に打ち合わせて、次のステージにしていただいたらどうでしょう?」
五十嵐さんニッコリして
「あ~た、いいこと言うねえそれがいいや。
(客席に向かって)お急ぎですか?大丈夫?次のステージもいられますか?」
客「(喜々として)もちろんいます
五十嵐「うふふ、この手は使えるねお客さん引き留めるときにね

 そして次のステージ、別に打ち合わせも練習もしていないようでしたが・・・
森田さんがお約束のカリプソ的イントロを繰り出すと、五十嵐さんは事もなげに
アルトサックス一本で、あの曲を気持ち良く聴かせて下さったのでした
五十嵐「(涼しい顔で)何十年もやっていない曲だとか、他の人のスタイルであんまり有名な曲ってのは、
ちょっとは心の準備がいるんだね
・・・恐れ入りました


おとぼけトーク?

2012年03月17日 | ステージから

 昨夜のメンバーは、東西ギャグ横綱こと、小林洋(P)酒井一郎(B)ペア
洋「何かリクエストがあったら言ってください」
客席のご夫妻の奥様
「あの、“いつか王子様が”お願いします。」
洋「えっ??そうすると女性の気持ちで演奏するんですかね?
奥様「えへへ、隣は“いつのまにかおじい様が”ですけど
(心外そうなダンナサマ。でもにこにこ
洋「そうするとこういう感じですかね?(小指を立ててシナを作る)」
ステージの上も客席も勝手に話してるし。

私「小指を使わず演奏します
洋「で、できない・・・・
(気を取り直して演奏

洋「まあ、できないリクエストが来たら『明日のピアニストならやってくれます』って
ゲタ預ければいいんだよな(得意げ)」
私「もしもし、明日もアナタです
洋「ありゃ~~~シマッタ

 そんな洋さんも今日の「トワイライト・ライブ」では、しっかりサポート役に
徹しなければなりませんなぜなら、輪をかけたツワモノたちが、ステージにも
客席にもいらっしゃるからで・・・楽しみじゃ。

今年も会心の・・・・

2012年03月06日 | ステージから

 『ジャズひな祭り』でしたね
とても寒い午後でしたが、なんとか雨は降らずに持ちこたえました。
なんといっても、いろいろ移動するのを楽しみにお越しくださる方々の足元、
たくさんの傘を扱うお店のことなど考えると、お天気は一番の重要なファクターです。

 ジャズバーエムズのステージには、毎回定員以上のお客様がお運びくださいました。
そのこと以上にありがたかったのは、みなさんが要領を覚えてくださったのか、
満員立ち見の場合には、辛抱強く入口付近で見守ってくださり、その回が終わると、
今度は席を交代して、もう1ステージ楽しんでいただくという、とても効率の良い
入替えがスムーズに行われたこと、なんのトラブルもなく、安心してステージに
集中することができました。 心から感謝申し上げます。
 写真は1stの五十嵐トリオの演奏風景。

 特筆すべきは2ndの『Ayako Talkin'』細川綾子さんのステージです
「何をしゃべろうか考えて眠れなかったわ~~。しゃべりだすと止まれないしね」と
笑いをとったりしながら、「今日はボーカリストもたくさんいるから」と、
歌の基本について、歌い続ける姿勢についてなど、わかりやすく暖かいお話をちりばめて、
そしてたくさん歌ってくださいました。
一番大切なことは歌いたい歌を、歌いたいように歌い続けること、綾子さんの歌を聴いていると、
そのことは本当に当たり前のように納得できるのです。

 ジャズバーエムズに先輩とファンの方々をお招きできたことに、
もう一度深く感謝いたします
・・・・・to be continued.