昨日、ポールの『Band on the Run』を聴いて、ポールの詩集『Blackbird Singing』をぱらぱらと読んでいた。そして、この人のあまりのタフさに思いを馳せ、改めて胸を突かれたりした。
ビートルズ末期、4人の財産を守るためとはいえ、ポールは、これまで辛苦を共にしてきたメンバーを訴えた。このときポールは、ビートルズだけでなく、生涯の親友もいっぺんに失ったわけで、それがどれほどつらいことだったかは、想像に難くない。「人生で最悪の時期だった。僕は神経衰弱寸前で、いつ倒れてもおかしくない状態だった。なにもやる気になれず、髭もそらず、髪もぼさぼさで、起きればすぐにウイスキーに手をのばしていた」という。そんな状況でよく音楽をつづけられたなぁと思うのだけど、きっと音楽がポールを癒したのだろうし、なによりポール自身が心の強い人だったからだと思う。
きっと、派手なことはしたくなかったんじゃないかな。はじめはひとりでスタートし、次にふたりになり、それからグループを組んで、バスに乗り込んでツアーに出た。マスコミはそんなポールのことを嘲笑したけれど、ファンはちゃんと理解して、ついていった。あれだけの才能をもった人が、これだけ地道に、一歩一歩を踏み締めるようにして、前にすすんでいったなんて、僕にはちょっと信じられない。でも、それができたのは、ポールの音楽への愛情が、とても純粋なものだったからだと思う。
そして、名作『Band on the Run』に辿り着くわけでね。ビートルズ解散後、ポールは文字通り、なんの助けも借りず、音楽の力だけで周囲を黙らせたわけでね。結局、これがポール・マッカートニーのやり方なんだよなぁ、と思ったりする。
2002年に来日したときのことを思い出す。チケットは余っていると言われていた。でも、初日が終わった後の、観客の高揚した顔を僕は忘れない。ネット上をかけめぐった絶賛の声を僕は忘れない。そして、最終公演までつづいた当日券売場の長蛇の列を、僕はけっして忘れない。蓋を開けてみれば、全公演フルハウスだった。ポールは、たった1回のライヴで、自分を取りまくすべてをきれい変えてみせた。1度観に来た人をリピートさせ、「もう声が出ない」と決めてかかってた人達をライヴ会場まで引っ張り出した。すべては、たった1回のライヴでだった。
同時に、昔となにも変わってないんだなぁとも思った。ポールはずっとそんな厳しい道を歩いてきたんだなぁと。そう思うと、余計にリスペクトは強まった。そんな道をいつも笑顔で歩いてきたポールに、ただただ胸がいっぱいになった。
どうすれば、こんなに強い心を持てるのだろう?少しでもこの人に近づけたら…と思う。
「ミスト・ザ・マインド」は、詩集『Blackbird Singing』の中の一遍。とてもポールらしいユーモアと強さと切なさに溢れている。
深い霧の雫で
心を包み込め
岩の上
津波のように滑り、そして
陽気な騒ぎに溺れて
僕はひとりじゃないと言ってくれ
カーペットを通して鼻歌
下生えをつっつく
ののしって叫ぶ
ダニというダニに向かって
夢を紡いでくれ
僕を笑わせるために
そして、ゲラゲラ笑いながら
山を降りる
高原の滝
愛を探して
ビートルズ末期、4人の財産を守るためとはいえ、ポールは、これまで辛苦を共にしてきたメンバーを訴えた。このときポールは、ビートルズだけでなく、生涯の親友もいっぺんに失ったわけで、それがどれほどつらいことだったかは、想像に難くない。「人生で最悪の時期だった。僕は神経衰弱寸前で、いつ倒れてもおかしくない状態だった。なにもやる気になれず、髭もそらず、髪もぼさぼさで、起きればすぐにウイスキーに手をのばしていた」という。そんな状況でよく音楽をつづけられたなぁと思うのだけど、きっと音楽がポールを癒したのだろうし、なによりポール自身が心の強い人だったからだと思う。
きっと、派手なことはしたくなかったんじゃないかな。はじめはひとりでスタートし、次にふたりになり、それからグループを組んで、バスに乗り込んでツアーに出た。マスコミはそんなポールのことを嘲笑したけれど、ファンはちゃんと理解して、ついていった。あれだけの才能をもった人が、これだけ地道に、一歩一歩を踏み締めるようにして、前にすすんでいったなんて、僕にはちょっと信じられない。でも、それができたのは、ポールの音楽への愛情が、とても純粋なものだったからだと思う。
そして、名作『Band on the Run』に辿り着くわけでね。ビートルズ解散後、ポールは文字通り、なんの助けも借りず、音楽の力だけで周囲を黙らせたわけでね。結局、これがポール・マッカートニーのやり方なんだよなぁ、と思ったりする。
2002年に来日したときのことを思い出す。チケットは余っていると言われていた。でも、初日が終わった後の、観客の高揚した顔を僕は忘れない。ネット上をかけめぐった絶賛の声を僕は忘れない。そして、最終公演までつづいた当日券売場の長蛇の列を、僕はけっして忘れない。蓋を開けてみれば、全公演フルハウスだった。ポールは、たった1回のライヴで、自分を取りまくすべてをきれい変えてみせた。1度観に来た人をリピートさせ、「もう声が出ない」と決めてかかってた人達をライヴ会場まで引っ張り出した。すべては、たった1回のライヴでだった。
同時に、昔となにも変わってないんだなぁとも思った。ポールはずっとそんな厳しい道を歩いてきたんだなぁと。そう思うと、余計にリスペクトは強まった。そんな道をいつも笑顔で歩いてきたポールに、ただただ胸がいっぱいになった。
どうすれば、こんなに強い心を持てるのだろう?少しでもこの人に近づけたら…と思う。
「ミスト・ザ・マインド」は、詩集『Blackbird Singing』の中の一遍。とてもポールらしいユーモアと強さと切なさに溢れている。
深い霧の雫で
心を包み込め
岩の上
津波のように滑り、そして
陽気な騒ぎに溺れて
僕はひとりじゃないと言ってくれ
カーペットを通して鼻歌
下生えをつっつく
ののしって叫ぶ
ダニというダニに向かって
夢を紡いでくれ
僕を笑わせるために
そして、ゲラゲラ笑いながら
山を降りる
高原の滝
愛を探して