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新と旧~2つの名神~ 新名神開通レビュー後編

2008-02-25 23:37:44 | ドライブ・旅行
 土山SAを越えると鈴鹿トンネルとなる。現在東海~関西を結ぶ主要交通網は名神と新幹線が関ヶ原経由、東名阪・名阪が加太経由、R1のみが忠実に東海道に沿っている。東海道新幹線も東海道線も「東海道」から遠く離れた中山道に沿っていて、冬季は関ヶ原地区の積雪の影響を受けている。戦後の主要幹線は鉄道も高速道路も鈴鹿を全て避けていた。

 もちろん名古屋~京都間の最短ルートは鈴鹿越えであるのだが、長大トンネルを掘る技術面・予算から遠回りの関ヶ原ルートが選択されてきた。北陸連絡という意味合いもあるのだろうが、今後予定されているリニアも鈴鹿越えになる。新幹線・名神共、東京オリンピック前に開通したのだから仕方なかったのだろうが、それから40年たってようやく鈴鹿を越える幹線が開通したのである。これは非常に意義深いものである。その恩恵はこれから大きく広がるだろう。


 
 土山SAからしばらくすると鈴鹿トンネルとなる。
 
 新名神下り鈴鹿トンネル。全長4010m。

 東海から関東に行く場合、必ず通る必要があるのが箱根であり、東海から関西へいく場合の関所は鈴鹿である。北へ大きく迂回して関ヶ原へ抜ければ山脈の北端を短いトンネルでぬけることができるが、雪の影響がある。鈴鹿山脈はそれほど高い山はないが、東海圏と関西圏をわける大きな関所なのである。これより東は東海、西は関西の文化圏となる。もちろん三重県は文化的には関西の影響を受けやすいが、生活基盤は名古屋を中心とする東海圏に属している。

 工業の中心として近年発展する東海圏と、東京一極集中により地盤沈下していた関西圏がこのトンネルの開通により一段と密接になる。特に今まで東海圏と関係の薄かった滋賀県南部とは一体感が生まれるだろう。東海、関西の距離が短くなることにより、相互の移動がより増える。2地域を分断していた鈴鹿山脈という壁がなくなったことによる影響は今後大きな力になっていくものだと思う。

 
 鈴鹿トンネル内が県境となり、三重県亀山市へ。
 
 新名神下り30キロポスト。起点は四日市JCT。

 さて、亀山側も草津側と同じく、亀山西JCT~亀山JCT間は亀山連絡路となる。亀山西JCT以東はこちらも本線が未開通で、本線は東名阪の北側を並行して四日市JCTで伊勢湾岸道に直結する(伊勢湾岸道、新名神共に法定路線名は近畿道名古屋神戸線であり、名古屋側の起点は名古屋南JCTである。そのため、新名神が四日市JCTまで開通した場合、伊勢湾岸道の路線名が新名神に改称される可能性がある。ちなみに開業はまだまだ先ですけどね)。

 ということで、亀山西JCT予定地以東はフル規格4車線となるのだが、今回走行している途中ではどこがJCT予定地なのかわからなかった。気付いていたら路肩が狭くなっているな~という感じであった。調べてみると亀山西JCTは亀山JCT起点5.3kmの地点であり、鈴鹿トンネルから2kmくらいの場所だと思われる。この30キロポスト画像の区間は本線部であり、連絡路のキロポスト表記はEが数字の最初に付く。

 
 亀山連絡路E28キロポスト。これが本線部と連絡路を見分けるポイント。
 
 
 
 新名神下り亀山ジャンクション。ここで東名阪に接続。

 この新しい第1種第1級A規格というフルスペック高速道路を走ってみた感想としては、やはり「非常に快適」である。広い路肩、緩やかな曲線・勾配、明るいトンネル照明などなどとことん他の高速道路との差を感じた。あまりにも快適なので、ここから走った東名阪の古い規格だと怖く感じたくらいだった。
 
 この開通により通常時名古屋西~京都東間を流れに沿って走行した場合、名古屋西(30分)亀山(30分)草津(15分)京都東で合計1時間15分程度、本当に京都が近くなった。名阪国道だと亀山から30分じゃ治田インターくらいだろうしね~。名神一宮から1時間15分だと栗東くらいかな~、従来の栗東~京都東間くらいの時間は短縮できるのである。

 しかし、何よりもやはりあの快適さ、これは非常に大きい。行きに名神を通ったが、やはり関ヶ原・今須付近はカーブが多いし、養老以西は80km制限区間が多すぎる。いちいち覆面気にしながら走るのもねぇ。関ヶ原の雪がない季節であっても、名神を使う割合は減るんだろうなと思う。
 また、個人的に神戸にはよく出掛けるのだが、今までは名阪ルートを利用する場合が多かった。もちろん料金的な意味合いなのだが、名阪との時間差は本当に大きくなる。ノンストップでも天理まで1時間45分程度、同じ時間で吹田まで行けることになる。そのまま西宮経由で京橋に到着する頃にようやく松原か。


 しかし、新名神ルートの場合の問題がこの先の東名阪道である。今後四日市JCT~亀山JCT間は従来の名古屋から大阪南部・伊勢方面へ向かう需要+東名豊田以東から草津以西へ向かう全ての需要が片側2車線の古い規格に集中するのである。いくら新名神が快適でも、ここが渋滞しては意味がない。将来的には並行して新名神が開通するので、所々付加車線を設置する程度の改良しか行われない。しかも、工事が遅れていて、先に新名神が開通した。

 
 新名神から東名阪道上りへ。やはり東名阪の交通量は多い。
 
 所要時間情報の項目に「湾岸」豊田が追加。ふ~ん笑。


 東名阪道というのは他の地方の人には馴染みが薄い高速だろうが、歴史は古く70年代に名古屋西~亀山間の本線部は全通している。愛知県西部から三重県を結ぶ路線で、亀山で名阪国道に接続し、名神と並ぶ東海~関西を結ぶ主要幹線である。また、亀山では伊勢道とも直結しており、四日市JCT付近では平均8万台程度の交通量がある(東名の厚木以西、名神の栗東付近と同程度)。
 今回の新名神の開通で名神ルートから1~2万台程度が新名神ルートへ移行すると予想されていて、四日市付近の交通量は10万台程度になる。これは渋滞が非常に多い東名の岡崎~豊田JCT間と同程度である。岡崎付近はほぼ毎日夕方渋滞し、渋滞距離は平均10km程度、通過に30分程度かかる。

 従来四日市付近は平日夕方に2km程度、連休には25km程度渋滞する。まあ連休時は仕方ないとして、新名神開通前の平日の短い渋滞はそこまで通過に時間がかかるものではない。ネックとしては弱いものであった(東名阪としてはその先の名古屋西TBの渋滞もそこまで長い渋滞は発生しない)。
 しかし、今後名神ルートからの移行が進むと岡崎付近のように常時渋滞するようになるかもしれない。その通過時間が30分かかれば、旧名神ルートよりも時間がかかってしまう。全く新規開通の意味がなくなるのである。

 
 東名阪道上り四日市インター手前。サグ&四日市インターの合流が原因で渋滞が多い。

 亀山JCTから東名阪に入るとやはり交通量は雲泥の差である。東名阪は名古屋2環区間以外は80km制限なのだが、60km程度でダンゴ状態のまま進む。亀山JCTから東名阪に入ったのが4時半くらいであり、通割の影響で交通量は多い。新名神開通後始めての平日であったが、この日はそれ以後の時間帯も渋滞がなかった。まだまだ移行には時間がかかるのであろう。

 
 現在四日市インター~四日市JCT間の拡幅が行われているが、完成まではまだ時間がかかる。
 
 御在所SA手前1km~御在所SAまでは付加車線が数年前に完成している。

 四日市インター~四日市JCT間の3車線化が行われれば、渋滞はほぼ解消すると思われるが、まだまだ時間がかかりそうだ。御在所SA~四日市JCT間の拡幅は工事が進んでいるので先に開通すると思われる。新名神開通後は不要になるが、第二東名開通まで何もしない岡崎付近よりはマシである。本当岡崎付近の渋滞はアホすぎる。


 
 東名阪道上り四日市東インター付近。現在拡幅工事中。
 
 四日市JCT付近。今後は湾岸方面の利用車が増えると思われる。

 四日市JCTからは湾岸へ。湾岸はフル規格6車線で、交通量もまだまだ5万台以下の為この時間帯でも快適である。新名神ルートへの移行が進むと湾岸も交通量が増える。但し、名古屋都心部からは湾岸へのアプローチが渋滞の多い3号大高線しかないため、名古屋西JCTを経由することになる。四日市JCT以東は、名古屋南部・三河方面へは湾岸、名古屋都心部・尾張方面は東名阪という2つのルートになる。京葉道路と東関道の関係ということか、少し違うが。

 
 湾岸上り飛島付近。今回は名港中央インターへ。

 ということで、無事に名港で降りました。なぜ名港中央なのかっということはよく考えていただければわかると思います。飛島や東海、豊明はダメであって、名港や名古屋南JCTでないとね・・・・。同じような方は料金所の構造をよーく考えて下さいね。
 
 
 まとめとして、新名神・第二東名は全線の建設に10兆円かかると言われている。今回はその一部区間の開通に過ぎないが、その効果は非常に大きいものである。私は別に道路財源の一般化や、高速道路建設の一時凍結についてここで述べる気はないが、この路線は間違いなく必要な路線である。東京外環と並ぶ最重要路線であることは間違いがない。
 しかしながら従来は例えば東名阪に並行する亀山~四日市間、草津以西神戸までの区間などは既存路線の改良があれば、新線の建設は不要だとも思ってきた。だが、こうやってハイスペックな新名神を走ってみて、やはり東名・名神にはバイパスが必要だと思った。東京~大阪間の建設もいいのかもしれないと思った。

 地方には需要が少ないのに高規格な高速道路が山ほど建設されている。いちばん需要が多いはずの東名・名神は開通こそいちばん早かったが規格は相当低い。しかもそこには全国プール制という問題がある。深割を4割にするのもいいが、一度夜の東名や名神を走ってみれば答えはわかるはずだ。70kmで走る大型車を80kmで追い越す為に深夜でも東名や名神は全然走れない。1台を抜かすために数キロに渡って追い越し車線に車列が延びている現状をね。それくらい、新名神は走りやすかったのである。

 
  

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2 コメント

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贅沢仕様です (ある運輸法人管理職)
2008-03-23 11:54:36
>ノンストップでも天理まで1時間45分程度

そんなに、時間はかからないはず。
名古屋―神戸間は余程のことが無い限り、
名阪国道経由。時間的、経済的に総合すると
差は僅か。


>第1種第1級A規格というフルスペック高速道路

この道路の必要性は認めますが、この交通量で、
この規格は無駄です。

既存の名阪国道、国道1号、23号を充実させる方が、余程有り難いです。

静岡県内の国道1号バイパスも遅々として建設が進まないのも困ります。

第2東名・名神の建設優先順位は低いと思われます。
Unknown (あるがーに)
2008-03-26 16:22:44
コメントありがとうございます。

>ノンストップでも天理まで1時間45分程度

>そんなに、時間はかからないはず。
>名古屋―神戸間は余程のことが無い限り、
>名阪国道経由。時間的、経済的に総合すると
>差は僅か。

確かに1時間45分は言いすぎですね。
ただ、法定速度+αで流れに乗って走行した場合は、
名古屋都心部から天理までは1時間半以上はかかります。
名神間はどう考えても新名神経由ではないでしょうか?ここでは時間的な側面にたってお話させていただいているので、時間的には新名神ルートが圧倒的優位だと思います。


>この道路の必要性は認めますが、この交通量で、
>この規格は無駄です。

>既存の名阪国道、国道1号、23号を充実させる方>が、余程有り難いです。

>静岡県内の国道1号バイパスも遅々として建設が進>まないのも困ります。

>第2東名・名神の建設優先順位は低いと思われま>>す。

現状建設中&計画中の路線で必要度が高い路線は、並行する路線の状況を鑑みると、東京外環、圏央道、北関、そして第二東名・新名神と私は思っています。
新名神の場合は冬季の関ヶ原地区の降雪を回避する意味合いが非常に大きいと思いますが。

ちなみに静岡県内のR1BP関連では、今月静清の一部区間(昭府付近)を除いた4車線化及び昭府付近の暫定2車線立体化が完了しておりますので、静岡県という経済規模を考慮すると既に相当規格の高いインフラ網の構築が完了していると思われます。

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