サギデカ 観終わりました

ＮＨＫの土曜ドラマ枠で８月31日から全５話で放送していた「サギデカ」、ブログ内では全く触れていませんでしたが、宣伝番組等を観て興味を持ったので録画をして、先日一気に観終わりました。

振り込め詐欺事件について、
　検挙しようとする刑事の思い、
　振り込め詐欺に遭った被害者の思い、
　被害者の家族の思い、
　振り込め詐欺集団の末端の受け子、掛け子の思い、
　振り込め詐欺集団の店長、番頭の思い、
　振り込め詐欺集団のトップに立つ首魁の思い・・・
事件に関係するたくさんの人の動きや考えが描かれていて、とても興味深く観ていました。
５話では短すぎるくらいに濃厚で・・・
振り込め詐欺事件についてはよくニュースで見聞きしていましたが、このドラマで構造的な部分の一端を知ることができて、とても勉強になりました。


顔の見えない詐欺集団の上層部・・・
ドラマでは首魁まで逮捕することができましたが、こういうことは稀のようですね。
詐欺集団の末端は、店長の顔は知っていても名前すら知らず、店長の上の番頭のことは顔すら知らないとのこと。
そうして集団ごとに管理して、名前も明かさないで、それぞれに自分の仕事のみをさせることでリスク管理。
店長は子分に「経済的強者（お金を持っている人）から経済的弱者（自分たち）に富を再配分するこの行為は正当なもの」という意識を植え付け、成果を上げた者を褒め称え、頑張れば今まで得ることのできなかった報酬を手にできることを実感させ、
子分達は、受け子以外は被害者と直接会うことがないために罪の意識を持つことなく、与えられた仕事を黙々として成果を上げることで喜び、どんどんと嵌っていく・・・
そんな恐ろしい集団心理が描かれていて、とてもザワザワしました。

詐欺集団の中でメインに描かれていたのが、掛け子でトップ成績だった加地颯人（高杉真宙）で、親に捨てられて、弟を栄養失調で死なせ、養護施設に預けられて育った過去を持っていましたが、
他にも、様々な事情により一般社会では思うように生活費を稼ぐことができない若者達が、スーツを着て普通のサラリーマンのように出勤し、時間になったら電話をかけ始め、就業時間になったら退勤し、今まで稼げなかった額の給料をもらって・・・
今の日本の労働事情を巧みに突いた若者の掌握の仕方に、本当に怖いなと思いながら観ていました。

あとは、あくまでも詐欺のみをさせ、意に反して暴走して傷害や殺人等の重い罪を犯した者達が出たら、上への繋がりを調べられる前にその者自体の存在を消す・・・
こういう集団は、近づいてきた時は良いことばっかり言ってるけど、本質はこういうあくどい集団ということを、もっと高校生くらいのまでに広く教えて、少しでもこういうことに手を染める人たちを減らす必要があるのではないかな？と思い、
幅広い世代の人にこのドラマは観てもらえるといいのに、と強く思いました。


でも、そういう10代や20代以上の世代のみならず、
主人公・今宮夏蓮（木村文乃）や第３話で描かれていた福田亜佐美（古川琴音）は、幼少期に親に言われるがままに詐欺行為に加担させられていたという事例も描かれていて・・・
今宮は両親の事故死により記憶が封印されて、その後は祖母・しのぶ（香川京子）の愛情に守られてきたけど、
福田の場合は、親に言われるがままだったのが、だんだんと親の上に立つようになって詐欺を主導
とても悲しい境遇で、何とも言えません・・・


もちろん詐欺のターゲットになるご老人も描かれていて、泉ピン子さんや伊東四朗さんの熱演で、こんなに正義感に溢れた真面目な人たちを騙すなんて！という憤りを強く思ったのは、言うまでもありません。


証拠不十分で逮捕されなかった廻谷誠（青木崇高）は、今宮の思いを分かってくれたのかなぁ。。。
これからは一切悪事に手を染めずに、そして過去の自分の発想により始まった振り込め詐欺については償いの気持ちを持って生きていってほしいです。


そんなこんなで、色んな事を考えさせられるドラマで、とても素晴らしかったと思います。
後半の首魁に辿り着くまでの展開が少し早いと感じたくらいで、何話か増やしてもっともっとじっくり観たかったです！
中でも、木村文乃さんと高杉真宙君の熱演には、とても引き込まれました！
迫力のある、とても深いドラマをありがとうございました！！
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