女医EMIのJOY HAPPY LIFE

旅行・映画・イベントなどとにかく遊びが(遊びも)好きな毒舌ママ女医EMIが楽しくすごす毎日のエッセイ。株もはじめました

新人”医師”(バンビーノ)のその後

2007-05-26 22:04:11 | Weblog
厳しく指導して、昨日の帰り、「OSCE(オスキーといって、診察方法のことよ)の本、読んどいてって言ったよね。昨日やらなかったんだから今夜こそやりなさい」と言ったら「わかりませんが、読むように努力してみます」と言った所を「努力じゃなくてやるのよ!」と冷たくあしらってみましたが、とうとう、昨日は読んだようです。

昨日、血圧を測れず、「こうやってやるのよ!」と説明しながらやってみせたあと「明日の朝にでも患者さんにやってごらんなさい」と言いつけたけれど、やってませんでしたね。微妙です。

さんざん毎日「診察する前には必ず温度板を見て、体温とか食事とか便とかいろいろナースの報告を読みなさい!と指導したのに、今朝、やはり温度板を読まずに患者を見に行くので、鬼コーチ的にちょっと怒ってみました。「アナタ、温度板見なくて夜間の熱とか状態とか分かるの?!先に温度板を見てと何度も言いましたよね!」。

その後、「一人で診察してみなさい」と言ったら「いいえ、一緒に見させてください」と言うのですが、私が診察しても自分は手を出さない。普通、上司が聴診してたら脇から下っ端も手を出して自分も聞くだろ、、、、。更に診察後、私が手を洗うと、彼女も手を洗っているわけで。更に怒ってみました。「アナタね、今、手を洗うのに何の意味があるの?あなたは私の診察を後ろから覗いて患者さん触ってないよね?それに私の診察を見てもいいけど、自分も触りなさい!アナタ、自分で聞いたり触らなくても患者さんの音が聞こえるの?」。

その後、昨日わざわざ教え込んだ意識レベルのスコアを全く覚えていないことが判明。

しかも診察したらカルテを書け!と何度言ってもしり込みして書かない。「患者さんに何かあってカルテを見られて全部白紙だったら、あなたは絶対負けるよ!患者さんが死んだら主治医のあなたの責任になるのよ」と強く言ったけどどうしてもカルテを書きたがらない。

じゃあ自分の持ってるノートにでもいいから、下書きして見せなさい、と言ったら、すごいのを書いてきた。普通、私たちはS(Subjective;訴え)、O(Objective;所見)、A(Assessment;評価/病名)、P(Plan;治療方針)に分けて書いてるけど、人工呼吸器がついて沈静剤打ってる人のカルテが、
S)閉眼、表情苦しそう
O)SpO2(簡単に言うと体内の酸素濃度のことね)93%
、、、で、A、Pはなし。オイオイオイ!というつっこみどころ満載。閉眼って眠る薬を打ってる人に微妙な評価だし、どのくらいのスピードか分かっているか聞いたら「分かりません」。しかも、意識をみるのに声をかけたり痛みで眼を開けるかとかも重要だけど、そういうのは見たか聞くと「見てません」。酸素がどう、って呼吸器の設定とか酸素量は分かってるのか聞いたら、「わかりません」。心不全が病名なので点滴量や尿量も大事なのに「見てません」。聴診もしていない。

そしてもうひとつ。肺炎の人のカルテを書かせたら
S)「おはようございます」と言っていた。
、、、で、O、A、Pなし。、、、、「あのねえ、これはもう見たまんまでしょ?!誰でもこんなの書けるわよ。医者として書くことあるでしょう」と冷たく言っておいた。

ん~、、、私、なんでこんな鬼コーチせにゃならんの。。。別に本気では怒ってないんだけど、2ヶ月で内科をマスターする(本当はそんなことできっこないんだけど)予定なら、死ぬ気でがんばらせなくては!と思ったワタクシ、頑張って厳しく指導しました。だってこれだけ怒ってるのに、やっとゆっくり本1冊読むくらいだもの。ニコニコ笑って「ゆっくり覚えましょ」なんて言った日には、一生、内科卒業できませんよ。Nice 演技力!(自画自賛)、、、周りのナースにも本気で怒っていると思われたらしい。ん~、演技を信じてもらえて光栄ですけど、こんなことで怒るほどヤワじゃありませんことよ♪けどさ、なんで私だけこんな鬼役やらにゃいかんのか。

更にショッキングな出来事がもうひとつ。今日、「あなたは慣れるまで、一日に何度でも診察しなさい。特に重症患者。もう一回、みてらっしゃい」といったところ、人工呼吸器のついてる患者の部屋の入り口のカーテンの外からじーっと覗いてました。、、、、、みる、ってチラ見するの見るじゃなくて、診察の診る、に決まってるでしょー!と思ったけど、呆れた。というより、実は面白くて苦笑した。

静脈採血を病棟の婦長さんがすすめたらしいけど、尻込みして拒否したらしい。私も動脈採決を見学させた後に、「ここが動脈!ここをはさんで真ん中を刺して!」と何度かやらせたけど、さんざん迷った挙句に全部失敗。ナースにかげで「看護学生の方がぜんぜん上だね。今の子達結構頑張るからね~」と言われ、婦長さんにもかげで「医者というより、看護婦の下に2週間くらいつけて指導した方がいい」と言われてしまったくらいです。

一生、基礎とか研究だけやっとけばいいのに。。。臨床は向いてないよ、きっと。

今週は、新人のお守りで疲れたけど、もうこれで終わり!来週からは学会に行ってた内科部長が帰ってきて、新人指導をしてくれるのだ。あ~、よかった、ホントに。

でも、実はネタとしては面白いから、実はそう嫌いじゃないのよね。自分に被害が及ばない限りは。もうちょっと見ていたかったかもしれないわ~。ちょっと残念だ(笑)

先日、TVドラマ「バンビーノ」を偶然見たんだけど、内田有紀さんが面白いせりふを言っていた。「バンビちゃん。あなたの給料は誰が払ってるか分かる?!、、、、会社じゃないわ。仕事のできる人が、仕事のできない人を養ってるのよ!」、、、いいなあ~、このセリフ♪

今日は金沢出張中♪ゆっくり温泉に入って、疲れとおさらばです☆