美術の旅人 Voyageur sur l'art  

「美術」との多様な出会い。見たこと、感じたこと、思ったこと。

タイニーハウス界のウィリー・ワンカ Kirsten Dirksenのyoutube映像から

2019-09-10 12:12:29 | レビュー/感想
 →タイニーハウス界のウィリー・ワンカ

カーボウイハットにロン毛結び、ランニングシャツ、短パンで筋骨隆々の日焼けした肌を露出させ、モーゼのように杖を片手に、しかも「裸足」で、テキサス郊外のロードサイドのだだっ広い敷地をエネルギッシュに歩き回って始めから終わりまで、マシンガンのようにしゃべりぱなし。こういうエキセントリックなキャラの爺さん・・正直、大好きだ。この爺さん、こんなバカなこと誰もしないような、しかしエコロジーの時代にすごくいいことをしているのだ。

それは何かというと、アメリカでも次々古い住宅が壊されゴミにされているのだと思うが、その古材を大量にかき集めて来て、タイニーハウス、それもアーリーアメリカの伝統的な様式の家を作り上げ、ホームレスを始めプアな層に破格値で建売として供給しているのだ。理不尽な法律をクリアーしながら、使い捨て礼賛の消費文化に真っ向から挑戦している、エコロジー思想のラディカルな実践者である

この解体され、ゴミとして捨てられた部材がいかに貴重なものであるかを爺さんまくし立てている。さらに、トイレもシンクもシャワーもあるよ、そして古い窓の作りの素晴らしさと、一軒一軒事細かに設備やクラフトマンシップの作りの良さを説明して、間絶するところがない。組み立て工場(?)では何人かの大工が働いている。そいつらにも大きな声で𠮟咤激励し指示を与えながら、時には口笛を吹きながら、洞窟や倉庫の中まで縦横に歩き回る。

この名前で検索するとブログ記事が出て来た。タイニーハウス界のウィリーワンカ(あの「チョコレート工場の秘密」の)なんだそうだが、確かにいい命名だ。こういうぶっ飛んだアウトサイダー、反骨の人が存在を許され、ただ住宅を供給するだけでなく、今や得難い長い時間を生き抜いたアンティーク部材(今流行りのチープな合成部材を使っちゃガンになるよ)で造られたアメリカの伝統的な家をトランスフォームして将来の子供達に残そうという、堂々とした信念を持って実事業に取り組んでいる、ファッショナブルなニューヨークではないテキサス、アメリカの深部にはこんな迫力ある人物が生息する。まずは破格のインテリジェンスを持ったこの魅力的な人物を見てほしい。