松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

櫨染(はじぞめ)ワークショップをします

2014-08-13 22:42:38 | 今後の予定
春先から、少しずつ内部で櫨染の勉強会を続けてきましたが、今回から一般の方にも櫨染を楽しんで頂けるようにワークショップを不定期に行うことにしました。
ご興味のある方はぜひお気軽にいらしてください。

期日 8月22日(金)13時~15時
場所 山辺道文化館(久留米市草野町草野487-1)

染めたい布をお持ちの方は、持ってきてください。事前にお湯で洗っておくと色がきれいに入りやすいです。
もしお持ちでなくても、肌に優しいkonoitoさんのハンカチ、ストールを少しご用意しています。

参加料は、染め代(500~2,000円)※布の重量によって染め代金が変わります。
それと布代。※持参される方は無料です。

お問合せ・お申し込み先
ちくご松山櫨復活委員会 info@mahaze.com 矢野まで

3月に行った櫨染の勉強会の様子はこちらです。

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山太郎蟹と櫨とイノベーション その2

2014-08-13 11:51:34 | 櫨ものがたり
櫨栽培のはじまりで一番早いとされている記録は、永禄年間(1558~1570)、薩摩藩の彌寝重永(ねじめ・しげなが)が中国から苗を取り寄せて栽培を始めたものです(彌寝家伝承)。

それに続いて天正19年(1591)、博多の豪商・神屋宗湛が製蝋目的で櫨の種子を支那大陸の南方から取り寄せて唐津に植えたり、福岡藩で広めていたというもの。

他にも3説ほどありますが、うち二つは薩摩藩です。

それから150年ぐらい後の時代になる享保15年(1730)。

久留米藩竹野郡亀王村では、27歳の庄屋・竹下武兵衛が、櫨の苗木作りを始めました。

その頃、久留米藩ではまだ櫨をまともに育てている人はいませんでした。

櫨自体はじわじわと各地に広まっていたようですが、なんせ種から一本の樹木が育って実をつけるには数年かかります。育ててみたものの、あまり良くない実だったり、枯れたりと、栽培は全て手探り状態の時代です。

どうやったら良い櫨ができるのか。

その決め手は接ぎ木です。良い櫨を接げば良い実がなるからです。

しかし接ぎ木は、元となる優秀な木の枝が必要です。

当時、最も優秀な櫨のある場所は、薩摩藩です。いちはやく櫨の栽培を始めていたからです。

もちろん薩摩藩は櫨の持ち出しを厳しく禁止していました。

しかし、相次ぐ天災や享保の大飢饉(享保17年・1732)を経験した人々の櫨への熱意は、薩摩藩の厳しい管制を上回っていたのです。

福岡藩那珂川郡山田村では若き庄屋・高橋善蔵が薩摩藩からおにぎりの中に櫨の種を入れ、必死の思いで持ち帰りました。没後に建てられた善蔵の墓はおにぎりの形をしています。

武兵衛にしても、少しでも良い櫨を得るため熱心に研究したと「農人錦の嚢」に書かれています。

そして同じ藩内にいる好奇心旺盛な笠九郎兵衛もまた、そんな貴重な櫨に興味がないわけがありません。

寛保2年(1742)、九郎兵衛は近くの御井郡国分村鞍打に櫨を植えました。

その出来事は久留米藩の豪商・石原家の「石原家記」に記されていることから、石原家が櫨の植栽に関わっていたことも窺われます。

記録はないものの、当時39才の武兵衛と52才の九郎兵衛は交流があり、九郎兵衛が鞍打の畑で雁爪を使って耕して植えた櫨苗は、武兵衛が仕立てた苗であるという可能性が高いと思います。

その後、武兵衛は櫨苗栽培の改良を繰り返すうちに、近くの耳納山で「松山櫨」という突然変異で生まれた優秀な品種を発見し、接ぎ木によって九州に苗を広めていきます。

竹下武兵衛による松山櫨と笠九郎兵衛の雁爪は、後に革新的影響を及ぼした農業のイノベーションだったのです。

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山太郎蟹と櫨とイノベーション その1

2014-08-12 07:10:51 | 櫨ものがたり
江戸時代。

久留米藩御井郡国分村に笠九郎兵衛(りゅう・くろべえ)という農民がいました。

いつもアレコレと独創的な事を思いつく九郎兵衛は19歳。農作業でもいろんな工夫をこらしながら作物を育てている、一風変わった青年でした。

夏の間、九郎兵衛が考えていたのは畑にはびこる草のことです。もっと効率よく草取りできたらいいのに…。

夕方、農作業を終えて家に着いた九郎兵衛、ふわ~~んと蟹味噌の香りが漂っています。

「おっ。今日は山太郎蟹か。秋やなぁ。」と笑みがこぼれます。



山太郎蟹とは、近くの筑後川で獲れるモクズガニのこと。
山太郎蟹を使った風味豊かな蟹汁と蟹飯は筑後地域では秋の訪れを告げる郷土料理です。

「うまい、うまい。」と言って九郎兵衛は蟹汁をすすりました。

そして山太郎蟹の蟹の足を食べようと手に取った時、頭に閃くものがありました。

「これやん!」

山太郎蟹の蟹の爪のようなもので土を掘ったら、硬い土でも掘りおこしもできるし、草の根も深く取れるんじゃないか。

蟹の爪が一本、いや三本か四本ぐらいあれば…。

宝永6年(1709)、九郎兵衛は山太郎蟹からヒントを得て(※)、「蟹爪」→「雁爪」という鍬を発明しました。

雁爪は、千歯こき、千石とおしと並ぶ近世の日本の代表的農具です。

笠九郎兵衛とは、自分が発明した雁爪を使って、高良川沿岸の浦河原の数町歩を自力で開墾したり、長や四国まで出かけていって甘藷(さつまいも)や製糖法を学んで筑後にもたらした篤農家だったのです。

その2に続く

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上記の話は史実をもとにした創作です。念のため。

※文献では九郎兵衛がヒントとしたのは山太郎蟹ではなく、サワガニだった可能性も。

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接ぎ木のこと 聖書から

2014-08-11 12:03:18 | 櫨ものがたり
櫨の木から蝋を絞れる実を採取するには、必ずといっていい程「接ぎ木」が必要です。

そこで、ふと、いつごろから接ぎ木の歴史は始まるんだろう?と思い、少し検索している途中で、聖書の一節を見つけたので紹介します。

「ローマ人への手紙11章17~18節」
11:17
もしも、枝の中のあるものが折られて、野生種のオリーブであるあなたがその枝に混じってつがれ、そしてオリーブの根の豊かな養分をともに受けているのだとしたら、

11:18
あなたはその枝に対して誇ってはいけません。誇ったとしても、あなたが根をささえているのではなく、根があなたをささえているのです。

もちろんこれらの文章は比喩で、非常に深い意味があります。

解釈について興味のある方はこちらのサイト(http://www.berith.com/shuhou/roma/099-20010715.shtml)をどうぞ。

接ぎ木それ自体に目を向けると、聖書の昔から、すでに樹木のクローン技術が確立していたことに驚きますね。

さて、地元の植木農家のKさんから接ぎ木のコツを聞きました。

その1 まず、しっかりした台木を使うのが基本。

その2 だがあまりにも丈夫だと台木の枝が伸びてしまうから、台木の根を切って一時的に弱らせる。水も与えない。←(^_^;)

その3 台木が弱ったところで、接ぎ木する。

その4 二つの違う木が重なり、お互いに助け合おうと協力すると、接ぎ木は成功し、豊かな実をつける。

櫨だけでなく、ほとんどの果樹は接ぎ木によって成り立っています。豊かな実がつくのは、丈夫な台木に支えられているからです。

私はここでもう一度、聖書の一節を思い出します。

「あなたが根を支えているのではなく、根があなたを支えているのです。」

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夏の草刈り。少しずつ

2014-08-10 09:25:51 | 復活奮闘日記
先日、ついにマキタの充電式草刈機を購入しました。
エンジン式とどっちにしようか迷ってたんですが、最終的に起動がカンタンな充電式の方が使い易いと思って選びました。

で、どこを草刈りするのかというと、もちろん櫨屋敷の櫨庭です!


しばらく放っていたら、こんなに伸びてきました。これ以上伸びると草刈するのも一苦労です。
エンジン式に比べると、音もずいぶん静かにウィーンと鳴りながら、あっというまに30分。



これでバッテリーが終わりました。汗はびっしょりです。
山の中の手強い草だったら、エンジン式の方がはるかにパワーはあって良いと思いますが、櫨屋敷の草だったら、これで十分といったところ。バッテリーをもう一個買えば倍の時間動けるのですが、30分という時間は、体力も考えるとそのくらいが適当な感じですね。低速だと45分ぐらいまで刈れそうですが、やっぱパワーがあった方がさくさく進むので、やや高速で刈っていきました。

向きを変えて写真を撮りました。
草刈前

草刈後


まだまだ櫨屋敷の庭は広いです。ぼちぼちと通って草刈を進めて行くかな~。

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つなぐっず選考会

2014-08-08 23:30:22 | 復活奮闘日記
今日は福岡県NPO・ボランティアセンターで、オンラインストア「つなぐっず」の選考会が開催されました。

福岡県内で活躍するNPO・ボランティアの商品はたくさんありますが、商品を販売する機会とか、販路がうまく見つからず、なかなかPRする方法がわからず、埋もれている場合が多いです。当委員会もしぶとくやってますが、商品もまだまだ一般の方に知られていません。

一通り審査された後、今回のオンラインサイトに3つの商品が選ばれました。
和ろうそく、保湿クリーム、そして櫨のはちみつです。

今、よかもん市場で販売しているのは和ろうそくだけで、後の二つは今年、商品開発してできたばっかりの新商品です。

まだまだ宣伝が行き届いていませんが、少しずつ皆さんに知ってもらいたいと思います。

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櫨屋敷とこれからの予定

2014-08-07 11:22:03 | 今後の予定
2010年2月9日、櫨屋敷に松山櫨を植えました。今年は4年目になります。
松山櫨の実は丸くて房が長いこと。昨年より多くの実がついています。

6月30日で、お屋敷の方は閉館しました。
一週間に一度、仲間が集まっては工房でキャンドルを作ったり、お客様の体験教室を行ってきましたが、維持管理が非常に難しくて、私の手も回らなくなってきました。中途半端に続けるよりは、ここいらでいったんリセットすることにしました。
もちろん松山櫨のお世話は続けていきます。

櫨の体験教室は今後は山辺道文化館(久留米市草野町)で予約があり次第、不定期に行います。
ご興味のある方はぜひお問合せください。(メール:info@mahaze.com 矢野まで)

今後の予定は

8月22日(金)13:00~ 櫨染ワークショップ
山辺道文化館(久留米市草野町草野487-1)
参加料有料(実費)要事前連絡
櫨染の勉強会。櫨染色に染めたい布等をお持ちください。
※白いスニーカーを持ってくる方がおられます。櫨染靴にしたいとのことです。

8月26日(火)10時~ 櫨染刺し子入門教室&芯作り
川の駅しばかり(久留米市田主丸町)
櫨染した糸で刺し子、始めませんか?お気軽にお問合せを。

9月5日(金)10時~ 櫨染刺し子入門教室
山辺道文化館(久留米市草野町草野487-1)
櫨染糸はとてもキレイです。お気軽にお問合せを。

9月6日(土)10時~ 和ろうそく作り教室
中間市地域交流センター
問い合わせ093-246-6224

9月20日(土) 櫨フォーラムin あさくら
フレアス甘木(朝倉市甘木)
参加無料
NPO法人朝倉の会主催。櫨仲間が集います。午前中に櫨の石鹸作りワークショップ予定

9月21~23日 八女灯籠人形祭り
ギャラリー房屋(八女市本町)
和蝋燭職人・大西明弘さんが来て手がけ和蝋燭作り実演あり

10月
東京・歌舞伎座でchiggotal展示販売に出店予定

11月8日土曜日夕刻~
「和蠟燭の灯りで琵琶の音を楽しむ会(仮称)」
矢部屋許斐本家(八女市本町お茶のこのみ園)

11月9日(日)久留米まち旅 櫨染体験
山辺道文化館(久留米市草野町)
参加料4,300円
konoitoさんの首巻きを櫨染します。
ティータイムにとっておきのアレを用意しています。

11月18~30日 櫨染展
どいざき
毎年恒例の櫨の作品展示会。今年は櫨染刺し子、櫨染手織り作品の他、櫨の木工作品も。期間中は櫨キャンドル作り体験、櫨染体験あり

11月22・23日 子供達向け櫨体験
えーるぴあ久留米・山本町の櫨並木
櫨紅葉の美しい櫨まつり期間中に、子供達向けの櫨並木散策と櫨キャンドル作り体験。

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櫨蝋クレヨン作り体験

2014-08-01 07:13:38 | 復活奮闘日記
連日ワークショップの日々です。
昨日は朝倉市中央図書館で櫨蝋クレヨン作り体験をしました。


立派な図書館です。
なんと申込だけで定員がいっぱいになったのでした。

まだ櫨蝋クレヨン作りは数回しかやったことはありませんが、少しずつ体験がやりやすいように改良しています。
最初は基本の赤とか黄色、青など、みんな同じ色でいっぱい作ってましたが、よく考えたら、同じ色をみんなが作る必要あるのかな?と疑問を感じて、やり方を変えることにしました。

たとえば、櫨の芯材で染める「櫨染(はじぞめ)」の色は赤でもなく、黄色でもない中間色。日本の伝統色です。
他にも日本の伝統色の名前は、イマジネーション広がる素晴らしい名前ばかり。

櫨蝋クレヨンを作ることで、子供達に日本の伝統色に興味を持ってもらえるといいなと思い、委員会のスタッフ塩田尚子さんと一緒に色作りを進め、現在20色まで作っています。

当日、子供達には好きな三色を選んでもらいました。赤系と青系を選ぶ子が多く、他にも黄色系とか緑系とかいろいろあるのに、瑠璃色と紫紺というかなり似た色を選ぶ子が複数いたのが意外でした。



和ろうそくの灯りによる素晴らしいストーリーテリングや、色の解説を全てフリガナつけてくれたり、櫨と色の本の紹介をしたりと、図書館ならではの演出に、子供達だけでなく親御さんたちや私も印象深いひとときとなりました。ありがとうございました。

出来上がった自分だけのオリジナルクレヨン、子供達も大事そうに持って帰りました。

朝倉市中央図書館では、11月14日(金)にも大人向けの櫨キャンドル作り体験教室が開催されます。
午前中は後藤先生による朝倉の櫨蝋の歴史の講義、午後からは櫨キャンドル作りと、充実した一日になりそうで楽しみです。

お問合せ 朝倉市図書館 電話 0946-22-3059
HPサイト

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