松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

モーガン・スパーロックの30デイズ

2007-08-16 21:28:42 | ニュース
映画「スーパーサイズ・ミー」の監督として知られる
モーガン・スパーロックのドキュメンタリーが
wowowで放送中です。面白いので結構見ています。

最近見たのは、中南米からの合法移民が
同じく中南米からの不法移民の家で
30日間生活するエピソード。

日本では、まだあまり馴染みのない不法移民ですが
アメリカの不法移民は1200万人以上だから深刻です。
砂糖に群がるアリのごとく、
貧しい人々は富める地域を目指して不法入国します。
そのおかげで国のルールを守らない人々が増え
社会問題となっているのはご存じの通りですね。

アメリカでは不法移民をめぐって世論が真っ二つに分かれています。
不法移民の中で一番多いのがお隣のメキシコ人で
陸続きだから簡単に国境を越えて来ちゃいます。

彼らはアメリカ人のやりたがらない仕事についており、
アメリカ社会の底辺を支えていますが、
一方でアメリカ人の職を奪っているとの声もあります。
また税金を払わないのに学校には行くし
なにより犯罪に走る人が多いのも問題です。

上院では、2007年1月までに入国した全不法移民を対象に、
5000ドル(約60万円)以上の罰金を支払い身元審査を受ければ、
永住権申請の資格を得られるという、
在留資格獲得の道を開く移民制度改革法案が
6月に否決されてしまいました。
移民法案の審議は2009年1月の次期大統領就任以降に先送りされ
事態は今、混沌としている状態です。

アメリカには国境警備をして不法移民を発見すると
警察に通報している市民ボランティア団体もいるそうです。
わざわざ自分たちの休日を潰してまで
終日国境を見張っているというのも驚きでしたが
その不法移民に最も否定的な人が、
メキシコからの不法移民の家族と30日間過ごして
彼らの生活実態を知ることになります。

低賃金だからと安易に不法外国人を雇うような社会構造だと
こうなるといった見本のような話ですね。
でも、もともとアメリカ自体、白人が勝手に居座って法を作り、
権利を主張して出来た国ですから、因果応報とはこういう事なんでしょう。

不法移民とはいえ、全ての人が悪い人間じゃない。精一杯生きている、
とスパーロック監督は言いたいのかもしれないけど
私がこれを見終わった感想はといえば…

とりあえず日本が海に囲まれててよかった!

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NHK憲法9条の「日本の、これから」を見て

2007-08-15 23:36:10 | ニュース
ついつい見てしまいました。
討論番組は見てると非常に疲れるので、
普段はめったに見ないのですが、
今回はしっかりと見て、やっぱり疲れました。

憲法9条改正について
●改正=他国に侵略する、軍の歯止めがきかない。
と考える人と、
●改正=日本が自立し、他国から国を守る。
と考える人の
様々な意見を言わせるという番組構成でしたが
やっぱり平行線でした。

護憲派の人たちは、他国から侵略されることを
ほとんど念頭に置いていないんじゃないかと思います。
実際に北朝鮮から「拉致」という形で
侵略を受けているにもかかわらず
日本が武器を持って他国を侵略することばかり心配しています。

9条は戦争を放棄した人類の理想の憲法だから
世界に広めようという意見はわかります。
そこで日本の他に、どこがその憲法を採用してくれるんだろうと
ちょっと考えてみました。

まずアジア・アフリカ・南米諸国では思いつきません。
なんせほとんど西洋から有無を言わさず侵略され
植民地支配を受けた国ばかりですから。
ではアメリカ?
銃所持の規制もろくにできない国では難しいでしょう。
ヨーロッパでは、どうでしょう?
いずれも歴史を見ると、ローマや異民族から征服され、
他国の支配を受けた経験があります。

9条が、素晴らしい理念だと賛同してくれる人は
きっと世界中にたくさんいることでしょう。
私だって戦争はいやです。
戦争放棄を全世界の全ての国が憲法に謳ってくれたら、
どんなに平和になるでしょう。

でも他国に征服された歴史を持つ国が、
「戦争放棄」を謳う9条を受け入れることは
たぶん、ないと思います。

そして他国に征服された歴史のない国というのは
実は地球上に日本くらいしかないんじゃないかと思います。
いや、南極とか、グリーンランドとかはありますね。
そうそう、スイスもありました。
でもスイスの場合は重武装国家で国民は皆銃を持ってますし
世界で最も国防軍の進んだ国の一つです。
そんな国に「戦争放棄」を憲法に入れろと言っても
相手にされないでしょう。

とにかく世界に誇る立派な9条の理念を
日本以外に採用してくれそうな国があったら
ぜひ教えてもらいたいものです。

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弓の素材としての櫨 その13

2007-08-14 19:38:31 | 和弓と櫨
弓の素材に櫨が使われているということに関連して
以前のエントリで「通し矢」という行事が
江戸時代にさかんに行われていたと書きました。

その「通し矢」を描いた漫画がありました!
平田弘史著「弓道士魂」です。

藩の名誉欲のために、過酷な条件の中で
命を懸けて挑戦していく藩士たちの
凄まじい姿が描かれていて、とても興味深く読みました。

ただ…、私は弓の素材の話が出てこないかな~?と
期待していたのですが、
主に射手の人生や、師範との関係に視点がおかれていたので、
弓師や矢師のことは、射手に合わせて改良を行ったという記述のみで
どこをどう改良して、よく跳ぶようになったかとか
具体的な記述がなかったのがちょっと残念でした。

三十三間堂の全長120mを庇にも縁にも当てずに
手前から向こうまで通す「通し矢」。

最初に浅岡平兵衛が通した51本から、
最終的には和佐大八郎の8132本にまで伸びた記録は
「通し矢」のためだけに修行を積んだ
射手たちの技術の向上によるものが大きいとはいえ、
それを支える弓や矢、弦など、それぞれの品質が
飛躍的に向上したためでもあります。

特に弓の製作工程は、その技術の向上に伴い複雑化し
真竹の切り出し→弓竹の油抜き・乾燥→
削り→打ち込み→張り込み→仕上げ→握束
と、7段階のそれぞれに長い経験と熟練した腕が要求されます。

「通し矢」はこうした高度な技術者たちを抱えた
一大プロジェクトでした。
現代で再現することはとても叶わぬ夢ですが
射手ばかりでなく、弓師や矢師たちの姿をも想像すると、
当時の人々の様子が、より鮮やかに思い浮かびます。

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弓の素材としての櫨 その12

2007-08-13 21:31:50 | 和弓と櫨
「はい、日本相撲協会です。」
弓取り式の弓に櫨が使われているか、
さっそく電話して聞いてみました。

「う~ん。弓の素材まではわかりませんが
あの弓は10年ほど前に、都内の弓道具屋さんで
購入しましたから、そちらで聞いてみたらいかがでしょうか。」

それを聞いて、私は力士って
意外に物持ちがいいんだなと思いました。

取組みの時は毎日使っているわけですよ。
ま、弓を引いているわけじゃなくて、
振り回してる、いや勝者の舞を舞っているだけですけどね。
それを10年も使い続けているんですから。
和弓が高級品とはいえ、
力士が丁寧に扱っているという証拠ですね。

さて、その弓を売った「木村弓道具店」へ問い合わせてみました。
「あの弓に櫨が使われているか?
もちろんですよ!櫨を使うのが一般的なんですから。」
「でも、サクラとかカエデとかを使う場合もあるんでしょう?」
「それは櫨がない場合の代替品ってだけで
櫨を使うのが当たり前なんです。」

…というわけで、無事に確認できました。
大相撲の弓取り式で使われている弓は、
櫨が入っています。

今まで弓取り式は、ろくに見てもいませんでしたが
次回の場所の最後の取組から弓取り式が終わるまでは
じっと注目して見ることになりそうです。

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弓の素材としての櫨 その11

2007-08-12 19:29:53 | 和弓と櫨
以前お伝えしたエントリで、
弓には兵器以上の精神的な意味合いがあると書きました。
弓が邪気を払い、悪魔を恐れさせると考えられたため、
お守りとして破魔弓がありますし、
天皇家で子供が誕生すると「鳴弦の儀」が行われますね。

最近、朝青龍のニュースを見てるうちに、
はたと思い当たりました。

大相撲の弓取り式です。

大相撲が行われている期間、
TVで見る限り、取り組みの最後に力士が弓を振り回す間、
だんだんヒキの画像になっていき
土俵際に散乱した座布団があらわに見えて
観客がどんどん帰っている様子が映し出されます。
弓取り式をじっと見ている人は、あんまりいません。
毎回、あれはなんの意味があるんだろうと
不思議に思っていました。

しかし弓のことを学んだおかげで、
あの弓取り式には大きな意味があるんじゃないかと
改めて思うようになり、調べてみました。

弓取り式は、平安時代に行われた相撲節会で
勝った方の立ち会い役が矢を背負って舞を演じたのが
始まりとされています。

今日の原型ができたのは
寛政三年(1791)、徳川家斉の上覧相撲で、
土俵上で弓を受けた横綱谷風梶之助が
敬い奉り四方に振り回したことからです。

元々は千秋楽のみに行われていましたが
昭和27年五月場所から毎日行われるようになりました。

弓取りを行う力士は、結びの一番で東が勝てば東から
西が勝てば西から土俵に上がります。
↑これは全く知りませんでした。
次の場所から最後の弓取り式を見て
ぜひ確かめたいと思います。
でもカメラが映してくれたらの話ですけどね。

ちなみに弓を落とした場合、
手を土俵につくと負けとなり縁起が悪いので、
足の甲に弓を乗せて、足で弓を上に跳ね上げたところを
つかみ取ることになっているとか。
土俵の外に弓が飛んじゃったら、
呼び出しが拾って手渡すことになっています。
弓を落としたところも見てみたいもんですが、
これはそうそうに見られるもんじゃありませんね。

ところで、この大相撲には当然見るからに和弓が
使われています。
その和弓には、側木や関板として櫨が使われているのでしょうか。

おそらく使われているでしょうけど、
サクラやカエデなども使われているので
100%確証はありません。
そこで日本相撲協会に問い合わせて
弓取り式の弓に櫨が使われているのかどうかを
確かめてみることにしました。

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弓の素材としての櫨 その10

2007-08-11 19:41:30 | 和弓と櫨
弓作り職人から話を聞いているうちに
弓に使う櫨についてもっと知りたくなってきました。
そこで都城市で弓用に製材をしている材木屋さんに
話を伺うことにしました。

市内の五十嵐樫材では、昔から弓用に櫨を扱っていたと聞き
さっそく問い合わせると
「それがね、年々櫨が少なくなってきてるんですけど
今年の五月から、まだ1本しか集まって来てないとですよ。」

木材の測り方は、本数ではなく体積で測るそうですが
都城市が年間に櫨を取り扱っている量は20立方m。
素人にはいまいちその量が掴めませんが、
現在の主流は樫やブナなどの常緑樹・照葉樹系がほとんどで
櫨が占める割合は数パーセントとのことです。

弓の本場・都城からしてこんなに少ないんですから
国内の櫨は今や壊滅的な状況だというのがわかってきました。
5月に出荷した後、たったの一本しか市場に出ていないというのは
異常なほどの少なさです。

「櫨は杉みたいにまっすぐには伸びないでしょう。
節もあるから、大きくて長い木が市場に出てくることが
そもそも少ないんですよ。八尺(2m40cm)ほどあれば、
そのまんま弓に使えるから、かなりいい値段になるんですがね。」

国内の櫨の木が競って高い金額で取引されるのは
それだけ年数の経った櫨が少なくなってきたということに他なりません。
需要はあるのに、それに見合う櫨が少ないというのは、本当に惜しいことです。

また、櫨を見極めるポイントなども聞いてみました。
「櫨は木によって黄色い芯が大きいのと小さいのがあるんですよ。
芯を使うわけだから、できるだけ大きいのを選ばないといけない。
また櫨に非常に似たヤマウルシは、弓として使えないんです。
櫨だと思ったらヤマウルシだったってのはよくある話ですね。」

櫨は木材として購入した後、
そのまま5~6年間、屋内で放置し
完全に乾燥させてから弓用に製材されていきます。

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弓の素材としての櫨 その9

2007-08-10 21:11:18 | 和弓と櫨
画像は都城弓製造業協同組合が販売している
竹弓を輪切りにしたキーホルダー(700円)です。
本物の弓を切断して30個しか取れないという希少品で、
個人的にかなり気に入ったので購入しました。
貴重な弓胎弓の構造がよくわかりますね。
もちろん黄色の側木は、櫨の心材です。

強靱な櫨は側木として最も適していますが
実は竹弓の両端にある「関板(せきいた)」と呼ばれる部分にも
櫨が使われています。下の画像が関板部分です。



関板には弓として仕上げる時、
内竹がずれるのを防ぐ役割がある他、
弦があたる部分なので堅い材木として
櫨が使われているわけですが、
関板の場合は、必ずしも櫨である必要はないとのことです。

ただ、櫨を側木用に切っていくと、
大量の端材が出てくるために、
余った木材の有効利用という側面と、
もう一つ、実は櫨が好まれる理由として
「杢」の美しさもありました。下の画像を見てください。



これは櫨の端材ですが、ごらんのとおり、
波のように「杢(もく)」(木目の模様)がよく出ています。
ここがなんともはや美しいんですね。
和弓の世界はストイックですから
華美な装飾は嫌われます。
それゆえ、こうした木材の自然な美しさが
昔から好まれてきたのです。

静寂の中で力強い矢を飛ばす和弓が
意外にも、このような趣を備えているとは、
「侘び・寂び」に通じる奥ゆかしい美への観念が
伝わってきますね。

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弓の素材としての櫨 その8

2007-08-09 23:53:01 | 和弓と櫨
現在、使われている弓は
カーボン弓と竹弓だというのを前回で書きましたが
なんと竹弓の芯にカーボンを入れた弓というのが
20年ほど前に開発され市場に出ています。

図はカーボンの芯を入れた弓の断面図です。
グラスファイバーと弓胎弓(ひごゆみ)が
合体してるわけですから、進化したってことでしょうか?

ふと興味をそそられたので
実際に弓を作っている職人さんに
聞いてみることにしました。

弓といえば都城市。さっそく電話です。
答えていただいたのは
都城弓製造業協同組合の南崎さん。
「カーボン芯の入った弓は、確かに作られています。
ただ、カーボン芯が入っているせいで、
竹弓の持つ反発性が少なくなっているんですよ。」

反発性ってどういうことでしょうか。
詳しく聞くと、弦の張った弓から弦を取ると
竹弓の場合、びよよ~んと逆側に反るそうです。
つまり竹弓はその反る力を逆に利用して射るわけです。
ところがカーボン弓の場合、弦を取ってもほとんど反りません。
カーボン弓は、その素材自体の力で射るわけですね。

ということでカーボンと竹弓と両方を合わせることで、
反発性が少なくなった代わりに、頑丈になったという
両方の特質が現れてくるそうで
カーボン芯入り竹弓は「進化」したというよりも
竹弓のバリエーションが増えたということのようです。

初心者の射手は高段者になるに従い、
使う弓も、自然にカーボン弓から
竹弓に移っていく方が多いそうですが
カーボン芯入り竹弓を選ぶかどうかは、
結局は好みで分かれるそうです。

話を聞いているうちに、和弓の世界において
技術の進歩で生まれたカーボン弓が
シェアでは竹弓を遙かに凌駕しているとはいえ
質の点では、いまだ竹弓を凌いでいるわけではないというのが
一般的な評価のようでした。

その竹弓の素材として、櫨は重要な役目を持っているのです。

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弓の素材としての櫨 その7

2007-08-08 21:08:43 | 和弓と櫨
今どきの弓道具の事情を知るために
近くの弓道具店にお邪魔しました。

久留米市にある「しらみず弓道具店」。
昭和12年創業の弓道具の老舗店です。
ずらりと並んだ弓は壮観です。

矢羽のバリエーションも豊かで、目を見張りました。
もちろん弓矢ばかりでなく、矢筒や「ゆがけ」など
弓道具一式を揃えることができます。

今回は櫨の弓について調べに来たので
弓に目を向けてみると
店内にある弓は、8割以上がカーボン弓(グラス弓)でした。

カーボン弓とは、グラスファイバーで作られた弓です。
3~5万円で購入できるので
高校生の部活動などは間違いなくカーボン弓が
使われているそうです。

店内の片隅には竹弓がありましたが
こちらは相場が10万円程度。
やはり値段が違います。


オーナーの白水さんと竹弓です。

カーボン弓と竹弓、
一体、どちらが優れているのかを聞くと
飛距離に関してのみいえば、カーボン弓とのことでした。
しかし弓の場合は、飛んだからといって
それで終わりではありません。
的に当てる力が必要です。
そういった事を総合的に判断すると、
結局どちらともいえないとのことでした。

むしろ能力というより、
竹弓の場合は使い心地の良さが魅力のようです。
はっきりと数値にはでませんが
しなやかで、手によく馴染む竹弓は、
射手の精神の安定に大きく作用するのではないでしょうか。

頑丈なカーボン弓は、壊れることはあまりないし
変形しにくいので初心者向きです。
一方、竹弓は激しく使ったり雑に扱うと
1年でも寿命が来てしまうそうですが、
逆に手入れをして丁寧に使えば使う程、
使い心地がよくなり、10年くらい持つそうです。

硬質なカーボン弓に比べると
しなやかな竹弓は生き物に近いような気がします。

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弓の素材としての櫨 その6

2007-08-07 21:22:55 | 和弓と櫨
上の図は木と弓を組み合わせた伏竹弓が登場してからの
弓の断面図の変遷です。
ごらんのとおり、いかに竹を木とうまく組み合わせるか
苦心してきた歴史がわかりますね。

とくに三枚打弓を見ると、竹で木を挟む構造になっています。
四方竹弓ではついに竹が木を囲んでいます。

ところが弓胎弓は逆に木が竹を挟んでいるのを見ると
いわゆる逆転の発想だったんじゃないかと思われます。

弓胎は竹の材料のことで、
竹を裂いて作られ通常「竹弓胎」と呼ばれます。
張り合わせる弓胎の枚数によって
三本弓胎とか五本弓胎とか呼ばれました。
(上図の場合は三本弓胎)

その竹を挟む木こそ、何を隠そう「櫨」でした。
櫨は竹との複合材として使うと強靱なバネの働きをするそうで
側木(そばき)として適しているとのことです。
また内部の竹がずれるのを防ぐ「関板(せきいた)」としても櫨が使われます。
…他の木(サクラなど)でも代用できますが
やはり櫨を使うのが一般的だそうです。

さて、ここまで文献やHPなどを見て書いてきましたが
実際のところ、イマドキの弓道具の事情は
どうなっているんだろうと気になってきました。
そこで久留米市内にある弓道具店を訪問して
取材してみることにしました。

(資料参考・都城弓製造業協同組合HPより)

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弓の素材としての櫨 その5

2007-08-06 19:50:07 | 和弓と櫨
鉄砲が活躍した戦国時代が終わり江戸時代の初期になると、
京都三十三間堂の境内で各藩の弓術家による「通し矢」という
一大イベントが大変人気になりました。

この「通し矢」が、いつ頃始まったかは明確ではありませんが
室町中期の「洛中洛外図」で描かれているそうですから
その行事の歴史は非常に古いようです。

しかし特に大人気になったのは1570年代頃で
1606年(慶長11年)には津島家臣浅岡平兵衛が51本を通して
「天下一」を称し、お堂に掛額をしたのを期に
皆、矢数を競うようになり、諸藩が名誉をかけて
競う風習ができたとのことです。
大衆にも多いにもてはやされ、寛永19年(1614)、
江戸浅草に競射場として三十三間堂が建つほどになりました。

通し矢についてはこちらのサイトに詳しく載っていますが、
座った姿勢のまま次々に素早く矢を放っていくわけです。
恐ろしく投射の技量が試される競技ですよね。

藩の威信と名誉をかけた競技大会ですから、
射手の技術の向上もさることながら
弓矢における改良や開発なども盛んに進められたと思われます。
そうして洗練され、高度な技術によって出来上がった
「弓胎弓(ひごゆみ)」こそ、現在に伝わる伝統的な和弓です。

もう大体想像つきますよね。
この弓胎弓に、なんと櫨が使われているんです。

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弓の素材としての櫨 その4

2007-08-05 21:40:58 | 和弓と櫨
平安後期、源平時代から鎌倉時代あたりになると
武士たちの活躍は以前に増して盛んになってきます。
木と竹を組み合わせただけの
シンプルだった伏竹弓は進化して
木の芯の前後に竹を張り合わせた
三枚打弓(さんまいうちゆみ)が登場します。
この弓の成立の時期ははっきりしませんが
中性では最も一般的に使われた弓だそうです。

源義経が兄頼朝に追われて、藤原泰衡から攻められた際
武蔵坊弁慶は無数の矢を受けて仁王立ちで息絶えたわけですが
あの時使われた弓は、
伏竹弓や三枚打弓だったのではないかと考えると
歴史の細部まで想像できて楽しいですね。

室町中期になると、弓はさらに発展して
木の芯四方を竹で囲んだ特殊な弓も作られます。
「四方竹弓(しほうちくゆみ)」です。
この頃はちょうど戦国時代に入る前後となります。

ちなみに三枚打弓や四方竹弓って、
RPG「信長の野望オンライン」とかにも
武器として登場するみたいですね。
それだけで、なんだかやってみたくなります。

戦国時代になって、鉄砲が活躍するようになると
対人兵器としての弓の役割は、
鉄砲に取って代わられる事になりました。

これで弓矢の進歩は終わったのでしょうか?
いえいえ、実は江戸時代に入ってから
弓矢の技術はさらに高められることになったのです。

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弓の素材としての櫨 その3

2007-08-04 22:50:28 | 和弓と櫨
平安中期、いよいよ弓の歴史の中で
エポックメイキングとなる弓の登場です。

木と竹で張り合わせた合成弓
「伏竹弓(ふせたけゆみ)」です。
以前から使われている木材(檀など)の外側に
竹を張りつけたシンプルな構造でしたが
弾力性のある竹を強靱な檀に張り合わせることで
随分たわむようになります。

さぞかし旧来の弓とは違い、
威力があったのではないかと思われます。
木と竹を組み合わせるのには、藤が巻かれていたそうです。
なかでも等間隔に藤を巻いた重籐(しげとう)という弓が
装飾的にも美しく、好んで使われたようです。

また軍記物などに描かれる「二人張り」「三人張り」などの表現は
弦を張る時に弓をたわませるのに必要な人数だそうで
伏竹弓に限って使われる表現だそうです。

この伏竹弓はちょうど「武士」が誕生した頃に誕生しました。
新開発の弓を背負い、平安貴族の荘園内を
馬で颯爽と駆け抜ける武士たちの姿が
思い浮かびませんか。

この後、戦国時代にかけて弓はますます進化していきます。

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弓の素材としての櫨 その2

2007-08-03 23:22:55 | 和弓と櫨
弓の素材に櫨が使われていたと知って
和弓の歴史を、ちょっとおさらいして
みることにしました。

まず、縄文時代は主に狩猟目的として
木から削りだした単純な弓が作られていました。
補強の為に樹皮や麻を巻き締め
漆で固めた弓も時折発掘されています。

弥生時代になると、貧富の差が生まれ、
狩猟目的から対人兵器への改良がすすめられます。
弓に対してより遠く、力強く、つまるところ殺傷能力が求められます。
戦いがあればあるほど、兵器は進歩します。

しかし平安時代に入ると、神事や出産などの際、
魔除けに鳴らす弓(鳴弦)として使用された「梓弓」という言葉も
季語として和歌に詠まれるようになりましたから、
兵器以上の精神的な意味も含まれるようになり
神器としての特色も深めていきます。

そういえば、弓が邪気を払い
悪魔を恐れさせると考えられたことから
男の子のお守りとして破魔弓がありますね。
また、敬宮(としのみや)愛子様の誕生の際、
平安時代の装束で床に向けて弓を引く
「鳴弦の儀」が行われました。
これもやはり魔除けの神事です。

古代から弓の素材として、
主に檀(まゆみ)の木材が使われてきました。
万葉集にも「真弓」または「白檀弓」と歌われています。
「張る(春)」とか「引く」の枕詞に使われました。
この檀の材質の特徴は緻密で強靱。
杖や櫛にも利用されました。
他に槻(つき・ケヤキの古名)や梓、そして櫨が使われています。

ところで、いくら強靱な檀でも、
あまりに無理な力を入れると
木材ですから折れてしまいます。
弓と弦とが離れるほど飛距離や威力が出ますから
自然に弓は長くなっていきました。

平安中期、弓の歴史における大きな飛躍が訪れます。

この続きはまた明日。

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ゴーヤ

2007-08-02 20:53:48 | 美味しい食事
台風が来ています。
かなり雨が降っていますが、まだ今の時点で
風はあまり吹いていません。

今日はゴーヤをたくさんいただきました。
最近ちょっとお疲れ気味なので
これで元気をつけたいと思います。

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