松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

紅梅咲き誇る

2007-02-13 21:00:23 | 美しい風景
今日は櫨の話をちょっと一休みです。
久留米市田主丸町の山辺を散歩すると、
植木畑や葡萄畑、柿畑の間の隙間を埋めるように
植えてある梅をよく見かけます。

今の季節はまさに「梅」のためにあるようなもの。
よく晴れた日は、紅梅が青い空によく映えて、
山辺は最高の散歩道になります。
日本人は桜が大好きと言われますが、
梅の花咲く季節を散歩していると、
梅好きも桜に負けず、
かなりいるのではないかと思います。
まだ寒い空気の中で、
春の予感を感じさせてくれる梅を見ていると、
なんだか太宰府の梅ヶ枝餅
食べたくなってくるんですよね。
ん?
風景ネタのつもりが
やっぱ食べ物オチになっちゃったかな。
それじゃ、また明日。
櫨の話の続きをご覧下さい。

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森林林業技術センター その3

2007-02-12 15:39:49 | 復活奮闘日記
Iさんは、以前櫨を遺伝子レベルで鑑定した時の事を
説明してくれました。
「96年に櫨の品種30個体から葉っぱを冷凍保存して
DNAを抽出しました。
その時、松山櫨はその『伝・松山櫨』による
1個体のみ試験しています。」
DNA結果(画像)を見ると、
7の松山櫨は伊吉櫨とか上櫨とかと
似たようなマーカーの分布です。
若干違うような気もしますが、
「なにしろ一個体のみだから…」と口を濁すIさん。

一応結果としてわかったようなわからないような。
っていうか、ますます混乱してくる私。
しかし、とにもかくにも
『松山櫨だろう』と言われる松山櫨が
一箇所だけ存在するのだけははっきりしました。
「それで、その『伝・松山櫨』ってのは
どこに生えてるんですか?」

と、ついに私はIさんに聞きました。

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森林林業技術センター その2

2007-02-11 19:48:31 | 復活奮闘日記
Iさんはセンターに保存してある
櫨の品種をいくつか持ってきました。
葡萄櫨や伊吉櫨、昭和福櫨の他にも幾種類か
入っています。
正直言って私にはみんな同じように見えました。

Iさんは重い口を開き始めました。
「櫨の品種は100以上ありますが、
実は松山櫨だと確定したものはないんです。
なぜかと言うと、松山櫨の生えている場所が
たったの一箇所しか確認されていないからなんです。
よってそこに生息している松山櫨は
『松山櫨だろう』と言われている
『伝・松山櫨』としか認定されません。」

うむむ…。
話を聞いていると、
松山櫨という証拠は存在しない様子です。
でも『松山櫨だろう』と言われる松山櫨は
存在するようです。
まるで伝説です。
そこまで松山櫨が壊滅的になっているとは
思いもよりませんでした。
「松山櫨は一箇所残ってるからいい方ですよ。
徳エ門とか他の多くの品種が
すでに所在不明になってるんです。
もうどこにいったかわからないんですよ。」

戸惑う私に、Iさんはある分析結果を見せてくれました。

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森林林業技術センター その1

2007-02-10 15:33:22 | 復活奮闘日記
森林林業技術センターに着いて企画普及課のSさんから
研究部のIさんを紹介してもらうと、
「松山櫨ねぇ………。
よくわからないんですよねぇ。」とIさん。
しょっぱなから不安にかられながら
持参した櫨の実を次々と取り出しますが、
Iさんは首をひねるばかり。
おまけに荒木製蝋さんからいただいた
宇佐市産の松山櫨サンプルを見ると、
「これ、松山櫨じゃないような気がする。」
そんなぁ!
てっきりこれが松山櫨だと信じていたのに。
今まで積み上げてきたものが、
ガラガラと崩れていくような感じです。
荒木製蝋さんが櫨の品種を
間違えたっていうんでしょうか?
しかしIさんは荒木製蝋さんをはじめ多くの製蝋業の方々から
櫨について教えを受け10年間研究した方です。
荒木製蝋さんがくれた宇佐市産の松山櫨を否定するってことは、
いわば「師」にあたる方の間違いを指摘するわけで
口が重たくなっていたのでした。
松山櫨って本当に存在するんでしょうか。
私は迷路に迷い込んだような気がしました。

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竹野で発見された櫨の実

2007-02-09 16:38:17 | 復活奮闘日記
2月5日、
森林技術センターへ行く当日になって
ちょうど偶然にもアレックスから連絡がありました。
当紙「松山櫨便り」を見た地元の高校生が、
田主丸町竹野に自生している
櫨の実を持ってきてくれたというのです。

画像の通り、この時期にしては立派な房がついています。
白っぽくて粒もやや大きいし、
森部に自生したミイラ実よりはずっと
生きた櫨の実に見えます。

その高校生は普段無口だということですが、
不言実行をモットーにしているのでしょうか。
わざわざ自分で採りに行ってくれたと聞いて感激しました。
何か「松山櫨」に共感する部分があったのでしょうか。
これはなんだか期待できそうです。

思いがけない応援を与えられたように、
幸先よい出来事に足取りも軽くなります。
私は全部で6種類の櫨の実を持って
久留米市山本町の櫨並木の隣にある
森林林業技術センターへ出かけました。

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瀬高町でランチ

2007-02-08 19:43:44 | 美味しい食事
荒木製蝋からの帰り道、みやま市瀬高町でランチを食べました。
ここいらで美味しいランチはないかな?
とみやま市役所の観光課に電話したらパンフがあるそうで、さっそくチェック!
オススメを聞くとどうやら「レストラン和蘭豆(らんず)」がいい感じ。
ちょっと寄ってみるかと地図を頼りに…って、
JR瀬高駅前ですがね。駐車場も店の前にちゃんと数台分ありました。
店の外観は、昭和50年代に建てられたような、少し懐かしい感じのレストランで、
少々くたびれてましたが、それだけに
ここ、美味しいんじゃないかな。
なにやらうまかもん特有の予感がします。
注文したのはきのこのハンバーグで、
デミグラスタイプのソースを
鉄板に入ったハンバーグに
じゅじゅ~とかけていただきます。
美味い!
やっぱ予感は当たってました。
鹿児島産牛肉100%と玉ねぎとガーリックの絶妙なバランス。
口に入れたときの柔らかさもちょうどよくて
本格派の味です。
瀬高町に寄ったらぜひ食べてみて下さい。

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荒木製蝋へ その4

2007-02-07 20:36:40 | 復活奮闘日記
松山櫨復活委員会のメンバーが息をつめて見守る中、
持参した櫨の実を、丹念に調べる櫨蝋の大ベテラン、荒木Mさん。ついに目を上げて、
「松山櫨、かもしれない。」
「かも知れない?」
「違うかもしれない。わからない。」
・・・・・・。
どうやらミイラ化した実だったために、
判別不能だったようです。

見本の松山櫨は11月から12月に採取されたものですが、
私たちが採取したのは1月下旬。
その採取時期の差が致命的な違いを生み出したのでしょうか。
しかし、60年の知識と経験を持つ荒木さんにわからなければ、
地球上の一体誰が判別できるというんでしょう?
みるみる期待と興奮がしぼんでいきます。

しかし、まだ荒木製蝋が扱っている
宇佐市産の松山櫨があります。
少なくとも宇佐市には松山櫨があるんだから、と
思い直すことにしました。

その時、Mさんがおもむろに言いました。
「こんなになった実でも、ひょっとしたら今はいろんな技術があるから、
あそこでわかるかもしらんよ。」
「あそこ?」
「森林林業技術センター。
ほら、成分とかでいろいろわかるやろ。
行ってみたらどうかね。」
なんと!
成分で松山櫨がわかる?
CSIですか??
「技術」センターだから、きっと最新技術でわかるかもしれない。
こないだTVでエジプトのミイラをMRIで調べていました。
櫨のミイラもあんな事できるんでしょうか?
途端に試験管やら顕微鏡やらが頭を駆けめぐりますが、
果たしてそんな事ができるのかどうか。

またまた不安がいっぱいになりましたが、
ともかくまずは行って話を聞いてみなくちゃ前には進みません。
これで新たな次の目的地は決まりました。
久留米市山本町、櫨並木の隣にある森林林業技術センターです。

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荒木製蝋へ その3

2007-02-06 18:42:11 | 復活奮闘日記
ためらいがちに、持参した5種類の実が入った袋を取り出しました。
緊張の瞬間です。
判定は、昭和22年に入社し、櫨蝋の道60年という大ベテラン荒木Mさん。
目をこらして、一つ一つの実を触って何度も確かめます。
果たして結果は?

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荒木製蝋へ その2

2007-02-05 19:47:44 | 復活奮闘日記
荒木製蝋は大分県宇佐市産の松山櫨を扱っているとのことで、
荒木社長が見本(画像)を持ってきました。
生まれて初めて見る「松山櫨」です。
宇佐市に松山櫨が残っているのも驚きでしたが、
それより何よりも白くて粒が大きく、
全体的に丸く豊かな実に衝撃を受けました。
松山櫨ってこんなに大きかったんだ!
櫨じゃなくてまるで大豆のようです。

それを見てるうちに不安がよぎりました。
持参した実はもっと黒くて小さくなって干からびて、
要するに見本に比べると、
まるで櫨の実のミイラに見えたからです。

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荒木製蝋へ その1

2007-02-04 19:26:36 | 復活奮闘日記
1月28日に福岡県緑化センターで
四種類の櫨の実を採取した後、
2月2日、待ちに待った荒木製蝋へ行く日がきました。
九州地方はこの冬一番の寒気が来ました。
よりによってみやま市高田町へ行く日に。
雪のため高速道路が使えなかったので
とろとろと209号線を下ります。
8時半に出発して着いたのは10時半でした。

荒木製蝋の創業は嘉永年間(1848?54年)。
150年以上の歴史を持つ会社です。
さっそく荒木社長と面会しました。
すぐに持参した櫨の実を判別することになりましたが、
松山櫨の他にも櫨は様々な品種があります。
判別の結果をお伝えする前に、良質とされる櫨の
代表的な4品種を簡単に説明しておきます。

○昭和福櫨
長崎県島原の原産。
茎房が短く、果実は中粒で核が細い。果肉豊富で色はよい。
○葡萄櫨
和歌山県原産。茎房が長く、実は最大。
蝋質は硬く粘靱性に乏しい。隔年豊凶の差あり。
○伊吉櫨
小郡市原産。松山櫨からの品種改良。
葡萄櫨に次いで硬質、色づきが良好の製品に。
山本町の櫨並木は伊吉櫨。
○松山櫨
ご存じ田主丸町原産。
上記4品種のうち最も古く発見された。
果肉が多く、蝋分も多い。やせ地の栽培にも適する。

荒木社長によると、伊吉櫨が松山櫨からの
品種改良だからといって、
伊吉櫨の方が優れているというわけではなく、
特徴が変わったというだけのようです。
もし松山櫨がその生まれ故郷で復活できるのなら、
それは非常に喜ばしいとのことでした。

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緑化センター その2

2007-02-03 20:23:01 | 復活奮闘日記
「松山櫨」復活のためには、まず「松山櫨」の木を突き止めること。
それには櫨の実が必要です。
そこで1600本の見本園がある福岡県緑化センターの
櫨の木の実を採取することになり、
広い園内を横切って櫨の木へ向かうと、
なんと実が全て落ちてしまっているではありませんか。
ああ、無念!遅かったか?
思わず息をのんでしまいます。
「大丈夫!実が地面に落ちてるよ。それを拾ってみよう!」とSさん。
よく見ると地面にはたくさんの櫨の実が落ちています。
 助かった!さっそくしゃがんで実を拾いまくります。
木にマジックで番号をつけて、それぞれの袋に入れて一安心です。
いや、一安心じゃありません。
この4本の木が「松山櫨」だと決まったわけではないのです。
今のところ単に判別してもらう櫨の実が四種増えただけです。
数日後、荒木製蝋での判別を待たなくてはなりません。

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福岡県緑化センター その1

2007-02-02 19:59:23 | 復活奮闘日記
今日、実は荒木製蝋に行ってきました。
朝から珍しく雪が降っています。暖冬なのに、今日に限ってなんで雪なんだろうと天気を恨めしく思いつつ、アレックスと一緒にみやま市高田町にある荒木製蝋へ。
櫨の実が松山櫨であったのかどうか。
それは後ほど詳しくお伝えしますが、先に1月28日の事を書いておきたいと思います。
-------------------------
さて、自生した櫨の実を一房採取して、
荒木製蝋で判別してもらうことに
決めたのはよかったんですが、
だんだん日が経つにつれ、
一房だけ持って行って、
もしそれが「松山櫨」じゃなかったらどうしよう?
と不安が募ってきました。
荒木製蝋へ行くまで、もうちょっと間があります。
せっかくだからもっと櫨の実を
いくつか持って行くべきじゃないかと思い、
1月28日、1600本の木々があるという
福岡県緑化センターへ行ってみることにしました。

広大な敷地内には日本庭園や
多様な見本園が備わっています。
建物の中へ入ると、管理第一斑班長のSさんから、
「今日は日曜だから、緑の相談員の先生がおられます。」と
樹木医H先生を紹介してもらいました。
樹木の専門家お二人にこの松山櫨復活構想を話すと、
なんとも嬉しい事に
「いい発想だ。きっと良く育つよ。」と
太鼓判を押してくれたので気分はもう頂点に。
 一本でも「松山櫨」の木があれば、その枝を接ぎ木して、
後はうまく育つそうです。
接ぎ木は植木の本場田主丸ですから、
植木の技術者には事欠かないはず。
が、それは「松山櫨」の品種が見つかったらの話。
当たり前の話ですが、
ない品種を手品のように取り出すことはできません。
まずは「松山櫨」の木を探すことだ、
ということで意見は一致し、
緑化センター内の櫨が松山種かどうか、
荒木製蝋での判別のため、
センター内の櫨の木4本の実を採取することになりました。

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これって「松山櫨」?

2007-02-01 20:23:56 | 復活奮闘日記
樹木を植えるってのは植える土地がなくてはできません。
その点、森部に土地を持つアレックスに出会えたこと、
その土地に松山櫨かもしれない櫨が自然に生えていること。
アレックスが櫨にかぶれない体質であること、
そのためか櫨に対し寛容であること。
そういった全ての事が非常に幸運だったと思います。

とはいっても最初から難問です。
果たして現在自生している櫨は本当に「松山櫨」なのか。
また「松山櫨」の苗は出回っているのか。
アレックスも私も櫨については全くの素人ですから、
さっぱりわかりゃしません。

取りあえず福岡県で唯一「*櫨蝋(はぜろう)」を
製造している荒木製蝋(せいろう)合資会社に
電話で問い合わせてみることにしました。
すると、櫨の実があれば、品種が判別できるとの事。
また、他の品種の苗は手に入るが、
残念ながら松山種は見かけないと、丁寧に答えてくれました。

そこで、何はともあれまずは
実際に自生している櫨の実を採取して、
それがどの品種か判別してもらうことにしました。
さっそくアレックスのとこへ行って櫨の実を採取。
画像がその櫨の実です。黒っぽいですね。
う~ん。これが松山櫨ならいいんですが。

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