松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

お寺さんの形骸化

2008-02-03 20:40:10 | 復活奮闘日記
今日は昨年末に亡くなった祖母の法要がお寺で行われました。
祖母のために、私は14号の正徳芯和ろうそくを持って行き、
灯していただきました。

今日は寺のお堂はとても寒くて、
ストーブをつけていても冷気が襲ってきたんですが、
お経をあげてもらっている間、
和ろうそくは静かに揺らめき続け、美しく燃えてくれるのを見て、
私は心がゆったりと落ち着いていくのを感じました。

歴史のある寺のお堂ですから、金箔も豪華。
そこで鎮座しながら明るく揺らめく正徳芯和ろうそくは、
とってもサマになります。
法要の後、さっそく写真撮影をさせていただきました。(上画像)

しかし最近は、経営難にあえぐ寺も少なくないようで、
このお寺も住職さんは兼業で寺を運営しているそうです。
昼は会社勤め、夜や休日は寺の法要。
忙しさで余裕のない様子がありありでした。

お堂を見渡すと、本来ろうそくが灯される燈籠は全て電気。
もちろんロウソクの形の電気で、
見るからに寒々しく見えるのは、天候ばかりではなかったのです。

住職さんは、お経をあげ終わると法話のネタを考えるヒマもないのか、
「最近、本を読んでいましたら…」と
本から丸ごとネタを拝借した話をして
「…とりとめのない話でしたが…。」との締めくくり。
少なくとも、亡くなった前の住職さんは、
もっと話に中身があったのになぁと寂しく思いました。

その後、時間がないのか住職さんはバタバタと奥に去っていかれました。
ずっと灯していた14号の「正徳芯和ろうそく」には気づきもしません。

私は、ひょっとしてこの寺では、ここ数十年
和ろうそくを灯したことがないのかもしれない、と思いました。

実はこないだ、他の由緒あるお寺でも
「和ろうそくを灯したことがない。」と聞いたばかりだったのです。
もちろん昔は灯していたわけですから、
ここ数十年、古い寺でも高価な和ろうそくは
敬遠されてきたことがわかりました。

和ろうそくを灯せない寺。
兼業でしか運営できない寺。
法話も満足に話せない住職。

衰退しているのは櫨や和ろうそくばかりではありません。
寺もまた形骸化が進み、徐々に衰退しているのです。

私には、仏壇の金箔を照らす電気の明かりが、
まるで沈みゆく船を照らす夕日のように見え、
胸が締め付けられるような気がしました。

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