松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

弓の素材としての櫨 その9

2007-08-10 21:11:18 | 和弓と櫨
画像は都城弓製造業協同組合が販売している
竹弓を輪切りにしたキーホルダー(700円)です。
本物の弓を切断して30個しか取れないという希少品で、
個人的にかなり気に入ったので購入しました。
貴重な弓胎弓の構造がよくわかりますね。
もちろん黄色の側木は、櫨の心材です。

強靱な櫨は側木として最も適していますが
実は竹弓の両端にある「関板(せきいた)」と呼ばれる部分にも
櫨が使われています。下の画像が関板部分です。



関板には弓として仕上げる時、
内竹がずれるのを防ぐ役割がある他、
弦があたる部分なので堅い材木として
櫨が使われているわけですが、
関板の場合は、必ずしも櫨である必要はないとのことです。

ただ、櫨を側木用に切っていくと、
大量の端材が出てくるために、
余った木材の有効利用という側面と、
もう一つ、実は櫨が好まれる理由として
「杢」の美しさもありました。下の画像を見てください。



これは櫨の端材ですが、ごらんのとおり、
波のように「杢(もく)」(木目の模様)がよく出ています。
ここがなんともはや美しいんですね。
和弓の世界はストイックですから
華美な装飾は嫌われます。
それゆえ、こうした木材の自然な美しさが
昔から好まれてきたのです。

静寂の中で力強い矢を飛ばす和弓が
意外にも、このような趣を備えているとは、
「侘び・寂び」に通じる奥ゆかしい美への観念が
伝わってきますね。

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