松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

弓の素材としての櫨 その10

2007-08-11 19:41:30 | 和弓と櫨
弓作り職人から話を聞いているうちに
弓に使う櫨についてもっと知りたくなってきました。
そこで都城市で弓用に製材をしている材木屋さんに
話を伺うことにしました。

市内の五十嵐樫材では、昔から弓用に櫨を扱っていたと聞き
さっそく問い合わせると
「それがね、年々櫨が少なくなってきてるんですけど
今年の五月から、まだ1本しか集まって来てないとですよ。」

木材の測り方は、本数ではなく体積で測るそうですが
都城市が年間に櫨を取り扱っている量は20立方m。
素人にはいまいちその量が掴めませんが、
現在の主流は樫やブナなどの常緑樹・照葉樹系がほとんどで
櫨が占める割合は数パーセントとのことです。

弓の本場・都城からしてこんなに少ないんですから
国内の櫨は今や壊滅的な状況だというのがわかってきました。
5月に出荷した後、たったの一本しか市場に出ていないというのは
異常なほどの少なさです。

「櫨は杉みたいにまっすぐには伸びないでしょう。
節もあるから、大きくて長い木が市場に出てくることが
そもそも少ないんですよ。八尺(2m40cm)ほどあれば、
そのまんま弓に使えるから、かなりいい値段になるんですがね。」

国内の櫨の木が競って高い金額で取引されるのは
それだけ年数の経った櫨が少なくなってきたということに他なりません。
需要はあるのに、それに見合う櫨が少ないというのは、本当に惜しいことです。

また、櫨を見極めるポイントなども聞いてみました。
「櫨は木によって黄色い芯が大きいのと小さいのがあるんですよ。
芯を使うわけだから、できるだけ大きいのを選ばないといけない。
また櫨に非常に似たヤマウルシは、弓として使えないんです。
櫨だと思ったらヤマウルシだったってのはよくある話ですね。」

櫨は木材として購入した後、
そのまま5~6年間、屋内で放置し
完全に乾燥させてから弓用に製材されていきます。

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