ある日、みんなの晩御飯を５５１で買って帰ることになった。
家族は御座候も買って来い、と。
俺は和菓子は食べない。だから興味がない。
何処にあったか覚えていなかったが、デパ地下の同じ階にあることは間違いない。
まず５５１でみんなの分を買って、予想している方に歩いていった。
三周くらい回ったが、見つからない。
かっこ悪いけど、インフォメーションで聞くことにした。
「御座候ってここの中にあるんですか？」
すると女性店員が立ち上がって、手を横に伸ばした。
「あちらに５５１がありますね。」
といいながら、俺が５５１の袋を持っているのを見つけた。
そして、気まずそうに続けた。
「そのすぐ横が御座候です。」
俺はすぐ横にある御座候に気づくことなく、がむしゃらに反対方向に、
進んで行き、わざわざインフォメーションで恥を晒したのだ。
あの女はきっと、
「なんじゃこいつ、すぐ横で豚マン買ってたのに、気つかへんって、
ドンだけぼけたら気すむねん。
とぼけた顔しやがって、ほんま、このかすが。」
と思ったにちがいない。
俺の脳は自分に無益なものは完全にスルーしてしまうタイプなのだ。
嫁はこしあんか、粒あんのどっちかが大好きで、どっちかが大嫌いだ。
だけど何回聞いても覚えられない。
俺はあんことは無縁の男だから。
じじぃになって、あまりにも非常識だと、
ほんまにあほやな、と思われるのは腹立つけど、
もう少し年を重ねれば、ぼけとんな、ってことになるだろう。
まぁ、それもええかも。
興味ないもんは仕方ないもんな。