Little Tree

日々のいとなみのなかで感じた子どものこと、季節の移ろいやこころに映る風景

未定稿「アルザスの曲がりくねった道」を、めぐる旅・・・

2009-02-04 11:48:51 | 表現すること
目の前にかけてある「日めくりカレンダー」を、一枚引き抜くと…

『立春』の文字と、「急がば回れ」のことわざが、目に付きます。

今朝は「暦の上の春」と言いながら、心なし冷たい曇り空が広がっています。


誰かが、薬屋さんでいただいてきたらしい、この「日めくり」は

一日ごとに、一つずつ書かれていることわざが、とっても愉しくって
時には忘れて、何枚かをまとめて引き抜いていましたが

今、気づいたことには「ひと月分でワンクール」になっていて

1日「千里の道も一歩から」10日「言うは易し行うは難し」

30日「笑う門には福来る」31日「鉄は熱いうちに打て」が、順に巡ってきます。


「寄り道、回り道」といえば、私の大のお得意の領域ですし


思いついたら、早いうちに書いておいた方が「生きが良い?」のでしょうか?

それとも、ゆっくり寝かせて「熟成した発酵食品の美味しさ」が
良いのでしょうか?

考え出すと、キリがありませんので

「ではでは、今朝は、どの辺りからお話を始めようかしら?」などと
しばしの間、ネットの中やらアタマの中を、アチラコチラと彷徨っておりました。


何しろ、まだまだ足りないことや知らないことの多い私が
与えられている限られた時間と、このブログと言う限られた表現の中で
何かを申し上げるのですから…

大それたことや、一定のまとまったことを書いたりするのは、到底無理な話です。

そうと想ってみれば…
自分の目線で見えたものや、思いついたことをそのまま書いていくしかない…

と覚悟を決めて、「気になっていることを、メモ書きして」いこうと想います。



ちょうど、このブログを書き始めて間もない頃、雑誌「考える人」2006年春号の

湯川豊氏のお書きになった連載「須賀敦子を読む」で
初めて須賀敦子さんを知りました。

そして、今手元にあるのは…数冊の本と

最新刊「考える人」特集「書かれなかった須賀敦子の本」

図書館から借りている「須賀敦子全集第8巻」
芸術新潮10月号「須賀敦子が愛したもの」

そして…

テオ・アンゲロプロス監督作品「ユリシーズの瞳」
原題「ULYSSES'GAZE」のビデオです。


できれば、須賀さんの映像か、お声が聴ければ…と想っていますけれど
そちらは、未だ叶っていませんので

須賀さんにゆかりのある方々のお話を、一生けんめい読み解いているところです。


今回、「アルザスの曲がりくねった道」という書かれなかった
最後の作品についての直筆のお手紙を、何度も読み直しながら
そのきっかけになった映画を観てみました。

そして、改めてその「序章」にあたる未定稿を読んで観ると…


モチロン、小説のような「虚構を描く」ためのいろいろな構想や
深く磨き上げられた表現を試みようとなさって
ついに果たすことができなかったことは、事実ですけれど…


少なくとも、須賀さんが「お書きになりたかったこと」

「観ようとなさっていたもの」いえ「観えていたかも知れないもの」

その「まなざしの存在」のほんのいくばくかは、たとえ時間を隔てていても
私には感じることができたような気がします。


その方でなければ、書けないことが確かにあるとしても…

その方の想いの片鱗…
「記憶のかけら」のようなものは、きっと私たちのもとにも届くと想います。


そして、その想いは、受け取ったそれぞれの人の中で

また、様々なカタチになって、ゆっくりと育っていくものなのかもしれません…



そして、私にとって須賀敦子さんのお書きになった

『未定稿「アルザスの曲がりくねった道」を、めぐる旅…』は

いま、私自身の生きている現在進行形の旅と重なり合うようにして…

もう少しの間、行く先未定の回り道をしながら続いていきそうです。




そうでした…昨晩「考える人」を読みながら、ふと涙がこぼれてしまったところ

テレビを観ていたkirikouに「どうしたの~?」と聞かれました。

「…書きたいことがあったのに、
病気で亡くなってしまった方のことを読んでいたの…」と答えると

kirikouが近寄ってきて、私の背中をさすってくれました。


何だかドキドキするような…それでいて、どこかしら、ほっと安らぐような…

とても不思議な感覚がしました。


朝になって、そのことを夫に話すと…

「そうなんだ…

まぁ、人はみんな…大抵『道半ば』と言うものなんじゃないの…」とのこと。


その言葉に、妙に納得してしまった私でした。



今の自分にできることを、できる限りしていくこと…


          きっと、それでいい…それしかないのでしょうね。




皆様も、春のささやきを聴きながら



  お気持の和やかな、お健やかな佳き一日をお過ごしになれますように!!


         
     私のささやかな想いが、どうか皆様のもとにも届きますように…



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
アルザスへの道 (old-dreamer)
2009-02-04 18:39:44
はじめまして。
須賀敦子さんの作品は、エッセイ風なものが多いのですが、後になって重くなり、いろいろと考えさせられますね。まったく別の方角からアルザス・ロレーヌにのめり込んだ一人です。
トラックバックはどうぞご自由に。ただ、お気づきの通り、私の方からは、どなたのブログにも一切TBをしておりませんので、お許しください。
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ようこそ!お越しくださってありがとうございます。 (風待人)
2009-02-04 19:46:49
old-dreamerさま

私のような、フツウのシロウトでも
ブログというインターネット上のつながりのおかげで、

いろいろなことをよくご存知でいらっしゃる
old-dreamerさまと、こうやってお話をさせていただけると想うと
とても不思議な気がいたします。

須賀敦子さんの書こうとなさっていた核心の部分には
どうしてもキリスト教を含めた宗教やヨーロッパの歴史や文化
ものの見方・考え方や言語などが深く係わっているので
私などには、到底確かな言葉にはできませんけれど・・・

なぜか、感じること…想うことは、
私にも、少しはできるような気がしてなりません。

ロレーヌ地方のお話など、またお邪魔してお話をお聴きいたします。

どうぞ、よろしくお願いいたします!
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はじめまして (anje)
2009-02-05 08:25:17
茂木さんのブログからたどりつきました。文中の『急がば回れ』に目がとまってしまいました。コトバというのは、不思議なもので自分の気になっているところへちゃんと案内してくれるのですね・・。興味深い内容がたくさんありました。またお邪魔させてください♪
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ようこそ、お越しくださいました! (風待人)
2009-02-05 10:26:14
anje さま

はじめまして!

ガラスの作品、とってもきれいで素敵ですね~!!

私もガラスは…とっても好きです。

以前、鎌倉にガラスのアクセサリーのお店がありましたっけ。

下田の吹きガラス(?)のグラスや…函館のガラス細工や・・・

行く先々でお財布と相談して、小さなお土産をよく買いました。

創るときは、熱いのに・・・
あんなに透明でキラキラした輝きと色合いを見せるんですね…

それに、anje さまは「ま~るいもの」がお好きなんですね。

今度、是非作品展があったら観に伺いたいです!

どうぞ、よろしくお願いいたします!
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