あなたを探しもとめて
タゴール
あなたを探しもとめて終わりはない
わが生に夜あけが来るときにも。
あたらしい生の世へゆき、
わが目にあたらしい出あいが目ざめる、
生まれたばかりの光のなかで
あたらしい邂逅の糸をむすぶ。
あなたを探しもとめて終わりはない。
・・・・・・
ベンガル暦1317年スラボン月10日
内山眞理子抄訳
訳者コメント:歌がつくられたのは西暦1910年の雨季。
この歌にふと思い出したのが、1893年にあらわした短編「物語がはじまるとき」(未知谷刊『お母さま』所収)。詩人がちいさな子どもの頃に、雨のふりしきる夜、いまにも消えそうなランプの明かりのもとで、ディディマ(祖母)から不思議な物語をききます。主人公の死で物語はふいに終わりをむかえ、それでもなお子どもは訊きます、「それから、どうなったの」。
するとディディマは「それからね・・・」とつづけますが、すでに大人になった詩人は、こう書いています。「もしかすると死後にもまた、それからのち、があるのかもしれないが、それからのち、のことは、祖母の、さらにそのまた祖母でさえ、答えられないことなのだ」と。