ベンガルのうた・内山眞理子 

内山眞理子の「ベンガルのうた」にようこそ。ここはエクタラ(歌びとバウルの一弦楽器)のひびく庭。どうぞ遊びにきてください。

あなたを探しもとめて

2018-03-21 | Weblog

 

 

 

あなたを探しもとめて

タゴール

 

 

あなたを探しもとめて終わりはない

わが生に夜あけが来るときにも。

あたらしい生の世へゆき、

わが目にあたらしい出あいが目ざめる、

生まれたばかりの光のなかで

あたらしい邂逅の糸をむすぶ。

あなたを探しもとめて終わりはない。

 

・・・・・・

 

ベンガル暦1317年スラボン月10日

 

内山眞理子抄訳

 

 

訳者コメント:歌がつくられたのは西暦1910年の雨季。

この歌にふと思い出したのが、1893年にあらわした短編「物語がはじまるとき」(未知谷刊『お母さま』所収)。詩人がちいさな子どもの頃に、雨のふりしきる夜、いまにも消えそうなランプの明かりのもとで、ディディマ(祖母)から不思議な物語をききます。主人公の死で物語はふいに終わりをむかえ、それでもなお子どもは訊きます、「それから、どうなったの」。

するとディディマは「それからね・・・」とつづけますが、すでに大人になった詩人は、こう書いています。「もしかすると死後にもまた、それからのち、があるのかもしれないが、それからのち、のことは、祖母の、さらにそのまた祖母でさえ、答えられないことなのだ」と。

 

 

 

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