思うがままに

Step by Step

脇川の念仏水

2005-04-14 | ぶらっと-湧き水

春の陽気に誘われ妻とドライブに出掛けた
ネットで知った"飲める湧き水"(三木市脇川)を訪ねてみようということになったわけだ
こういう話になると意見が纏まるのが早い (名ばかりではない夫婦の成せる技とで言うのであろう)
道路地図帳で予め場所を把握し、ナビに目的地をセットした
(ナビが無かった)以前なら、道に迷ってはあ~だこ~だとつまらない会話(一種の口論)を交わしながら辿り着いたものだが、さすがにナビは優秀なガイドをしてくれる ○○万円で雇った(?)甲斐があったというものだ
目的地は、とある山の麓にあった

湧き出ている辺りに説明の看板が立っていた

既に数名の方がまるで井戸端会議でもするかのように楽しそうに水を汲んではおしゃべりに花を咲かせておられた
多分、みなさんはこの水汲み場で知り合っただけの間柄なのかも知れない
水を汲んではおしゃべりし、おしゃべりしては水を汲む
そんな微笑ましい光景をしばらく遠くから眺めていた

ちょっと藻があるのだが??

妻と私は、この場所がどんな所か見たかった知りたかっただけだったので、何の用意もしてこなかった
私は、丁度水を汲んでおられた奥さんに声を掛けた「美味しい水なんですか?」
すると、その奥さんが「美味しいですよ! この水でコーヒーを入れると良い香りがしますよ」と屈託の無い笑顔を私に向けながら答えて下さった
そして、隣にいたおじさんから「ちょっと飲んでみたら?」と近くにあるコップに視線を送りながら話しかけてこられた
私はコップに水をすくって飲んでみた「うむ~、良く判りませんが、冷たくて美味しそうな感じがしますね」と返答した・・・
水の味を言葉で表現するのは難しい…とその時素直に感じた
(当のおじさんからすると『本当に美味しいですね!』という言葉を期待しておられたのかも知れないと思うと、ちょっと私の返答はまずかったようだ(ごめんなさい舌足らずで…)

このおじさんだったか?

しばらくして、まだ水汲み途中の奥さんが「このペットボトル1本あげましょう!
遠慮せずに持って帰ってください」と言って下さった(写真の遠くに写っている人)
突然の言葉に躊躇したものの「ありがとうございます 遠慮無しに頂きます」と妻と私は、その奥さんに負けない笑顔でお礼を言った
そして、「家に帰ったら、早速コーヒーをいれてみます!ありがとうございました」と言って、その場をあとにした

帰宅後、あの奥さんの厚意が一杯詰まった水でコーヒーを入れた "うむ~美味しい!"と素直に思った


そしてあれから1ヶ月が経ち、空のペットボトルを一杯詰め込んだカバンを両手に水を汲みに出掛けた

初夏のような日差しでちょっと汗ばむような陽気だった
水汲み場に着くと、あるご夫婦がおられた
もう水を汲み終わって帰られる様子だった
あの時お逢いした奥さん、そしておじさんの姿はなかった
しーんと静まり返った二人だけの水汲み場で、楽しそうに水を汲んではペットボトルに注ぎ込む妻の姿に思わずカメラのシャッターを押した
子供の頃に戻ってお遊びでもしているような二人だけの楽しい時間だった

水を汲んだあと、しばらく周りを散策して時をつぶした
もしかしたら、あの時の奥さんと再会できるかなと考えたからだでも、その願いは叶わなかった
もし、あの奥さんに再びお逢い出来ていたなら『コーヒー美味しかったです!』と心の底からお礼を言いたかったのだが…

昔一人旅をして、行く先々でお世話になった人々
そのふれあいを懐かしく想い出している自分に気付いた
そして、人間って、さり気ない"やさしさ"をいつまでも覚えていたいものなんだなぁ…と思った