gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

その「就活塾」大丈夫? 驚きの授業風景

2012-05-31 06:33:34 | 日記
その「就活塾」大丈夫? 驚きの授業風景 2012/5/30 7:00 日経新聞電子版

就職先が決まらず悩む就活生に人気が高まっている「就活塾」。前回は一部の業者の強引な勧誘の手口を報告した。
では、授業の中身はどういうものなのか。本当に就活の役に立つのか。今回は就活生の体験談と潜入リポートをお送りする。

■これってサクラ?
 街頭で声を掛けられ、「お金がないならバイトを紹介する」などと強引な勧誘を断りきれず、3月からA就活塾(仮名)に何度か通った私大4年生の大沢規彦くん(仮名)。
「授業内容には違和感を覚えた」と振り返る。
 エントリーシートの対策セミナーの授業を受けた時のこと。
 教室にいた20人の学生に1人ずつ大学時代に頑張ったことを話すよう講師が求めた。
「サッカーのサークルをがんばった」「バイトでリーダーをしていた」など、どこにでもありそうな話なのに、教室内は大きな拍手が起こり、何人かの学生がウンウンと大げさにうなずく。
中には泣きながら手をたたく女子学生もいた。確かに講師が「就活には自己肯定感が必要。みんなで褒めましょう」とは言ったが、少し妙な盛り上がり方に「なんだか、あやしいな」と大沢くんは感じた。
一週間後の授業でその直感は確信に変わった。
 政治・経済の授業。大学の名誉教授と名乗る講師が話をしたが、その最中から周囲の学生からは「そっか~、なるほど」といった声が聞こえてくる。
話が国際経済に及び、就活情勢を左右する世界同時危機の懸念が話題になると学生から「え~、それってやばい」と大声で反応が…。
 これってサクラでは? A就活塾は月謝制。できるだけ長く就活生を引き留めようとしているのか。この塾では授業とは別に学生をいくつかのグループに分けたクラブ活動のようなものがあった。
それぞれのグループには「学生リーダー」がおり、就活生の動向を管理しているようだった。

■内定率100%の中身
 大沢くんがそのクラブ活動を欠席して帰ろうとした時のことだ。
「これから企業の説明会があるので」と話すと、「何時?何分?場所は?」とリーダーらに詰め寄られた。振り切って帰るのに難儀したという。
人気企業は高倍率。思うように内定を得られない就活生は多い(写真は損保ジャパンの採用面接の受付、4月1日)
 ちなみにA就活塾は大沢くんに「内定率100%」と説明していたが、リーダーなどを任された学生らはその後、A就活塾に就職することがあるようだ。
それは100%と言えるのか…。
 ほかの塾はどうなっているのだろう。業界でも有名なある大手就活塾に探偵が潜入した。
 「よ~し、まずは出席をとるぞ」と教室に入ってきた講師は30歳前後に見える。1人ずつ名前が呼ばれ、「はい!」「はい!」と元気な返事が教室に響く。
中学や高校の始業シーンのようだが、集まっている生徒9人は大学生や大学院生。この日は来年度の就活に向けた最初の授業だった。
 講師は2浪して大学に入り、人材紹介関連の企業に数年勤めて、この塾で働き始めた。
自ら言う「挫折」とそこから這(は)い上がったという経験談を就活生たちが真剣な顔で聞き入っている。
 さらに「挫折話」は続く。企業を数年で辞め、この塾で働いたあと起業した人のエピソードや、塾を卒業してから3年間無職だったが今はベンチャーに勤めているケースなど…。
就活生が目指す方向とは少し違う気もするが、やはり就活生たちは真面目な顔で聞いている。
 講師の自己紹介などが終わると、塾生が守るべき塾の「約束」のようなものがホワイトボードに列挙された。
「本気で取り組む」「ギブ&テイクではなくギブ&ギブ」といった内容。これを就活生に大声で読ませる。
「もっと大きい声で!」「やり直し!」と何度も音読させられる。


■トイレ掃除も勉強?
 この後にようやく就活生の自己紹介。大きな声で名前、学校名、塾に入った理由を言ったあと、一発芸を求められる。
さらに、1人ひとりに対し、就活生全員で「第一印象のいいところ」「悪いところ」を述べ合ったうえ、各自が自分の「長所探し」をして、この日は終了。
午後6時に始まった授業が終わったのは午後10時過ぎだった。
 授業が終わったからといって解散ではない。ホワイトボードや教室の掃除、さらにトイレ掃除を就活生が行う。
 実はこの塾の勉強はこれでは終わらない。毎週課される宿題がある。この塾が作った課題シート(問題集のようなもの)を90ページ消化するのが、この日の授業後に出された宿題だった。
自己分析シートの記入や、日本経済新聞とビジネス雑誌の購読も必修課題。
さらに、自分で考えた「初めての経験」を毎日1つ以上すること、「自分より頑張っている人」を週に3人以上探して会うこと――。
宿題の進捗状況はフェイスブックに登録したうえで毎日、講師や仲間に報告するのが決まりだ。
 さすがにこれだけの長時間の授業と大量の宿題があると「塾の勉強をこなすために大学の勉強に手が回らない」(ある就活生)という人もいる。
そのためか、入塾した就活生の半分程度が途中で辞めてしまうという。
 探偵が気になったのは就活生が自己紹介で話した入塾理由。「テンションの高い人と過ごして自分のテンションを上げたい」「みんなに根性を入れてもらいたい」「自分の本当に求めるものを探したい」といった理由が並んだ。
内向的な学生が多いのだろうか…。
一見、奇異に感じるが、人前で大声を出す練習などをするこの就活塾の授業にも一定の意味が見いだせる気もしてくる。
もちろん就活塾の講義内容は様々。ここに挙げたものとは全く違う授業もあるだろう。
もし、就活塾に通うのであれば、自分に合った塾を見極める必要がある。

■企業からは冷ややかな目
あなたが採用担当者なら、就活塾に通う学生を採用したいと思う?
 就活塾に通う決断をする前に、採用する企業側の見方を押さえておこう。就活塾に通う学生をどう見ているのだろうか。
 「就活塾の存在は知っていますが、通っているかどうかは意識しません」というのは大和ハウス工業の採用担当者。
「通っていたとしても何とも思いません」とのこと。
 キリンビールの担当者は「内定者やその周りの学生に聞いても『通っていた』という例を聞いたことがありません」という。
そのうえで、「塾に頼るより、周りの先輩やOB・OGに話を聞いて自分自身の頭で考えてほしい。その方が入社後にもミスマッチのない自己分析につながります」と指摘する。
 ある電子部品メーカーの担当者は「マナーなど面接のノウハウが備わっていると就活塾に通っているな、と分かることがあります。
一定の評価はできますが、見ているのは面接のノウハウだけではありません。問題解決能力などその人が本来持っている力を重視しているので、小手先だけではダメですね」という。
 会社人生は長い。企業は付け焼き刃の対策は望んでいないのかも。

■調査結果
 就活塾に通うと、就活シーズンの貴重な時間とお金を使うことになる。代償に見合う内容かどうか、よく検討しよう。