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(ゼミナール)悪化する世界の若年雇用(7) 日本の新卒採用、不況期に弊害 2012/1/27付日本経済新聞 朝刊 

2012-01-28 08:41:16 | 日記
 若者の失業を抑える仕組みとして国際的に注目されてきたのが、ドイツのデュアルシステムと日本の高卒就職である。
近年の不況でも両国の失業率の上昇は小幅だった。
 高卒就職では、学校が仲介して卒業前に就職先を決める。学校が就職先のあっせんに責任を持つのは国際的にみても珍しい。
同時に、高校生の卒業時に合わせて「技能系」など大くくりの職種区分で一括採用する企業行動も独特である。
 卒業前に就職先を決めなければという規範が生徒の間に浸透し、これらが卒業と同時に失業者になる事態を防いできた。
 新卒一括採用は、長期雇用を前提にした賃金制度や配属、能力開発など、企業の人事管理と強く結びついている。
新卒者は企業にとって育成対象で、「生え抜き社員」としての期待を負う。
 しかし、就職活動に失敗した学生には、新卒一括採用は高い壁になる。
不況期に採用を絞る企業は多く、その時に卒業する学生は不運だ。
求人が減る年には無職やフリーターになる学卒者が増える。そして、景気が回復しても企業が定期採用するのは新卒である。既卒のフリーターにチャンスは少ない。
そのままでは賃金は上がらず、社会保障からもこぼれがちだ。
 職務を固定しない新卒採用の発達は学校段階での職業教育の縮小と表裏をなす。
職業能力を意識しないまま卒業するので新卒枠に入れなければキャリアの糸口もつかみにくい。
高学歴化で新卒者の中心は大卒になったが、高卒以上にそのマッチングは非効率だ。大卒後に無職やフリーターを生む原因になっている。
(労働政策研究・研修機構)