ウエストミンスターはロンドンを象徴するような有名な風景がいっぱい!
さあ!グリニッジへ行くと決めたからには急がねば!
2時30分発のフェリーにはもう間に合わない。3時発の便には乗らないと!
カッパを手に部屋を出る。
廊下を歩きながら地下鉄で行こうかタクシーで行こうかちょっと迷った。
フェリーはテムズ川沿いの各所にあるPier(桟橋)から出航する。
わたくしが行きたいのはWestminster pier。
地下鉄を降りてすぐ分かるかな?
でもBLACK CABと言われるロンドン・タクシーにも乗ってみたいし…。
するとホテルをほんの数メートル出たところで黒塗りのオースティンが対向車線を走って来た。運ちゃんとバチッと目が合う。
(乗るかい?)(乗る乗る)
瞬時にテレパシーのような会話を交わして(ほんとかいな?)運ちゃんはきゅきゅっとUターンしてやって来た。
車を走らせながら運ちゃんが無線で連絡した後、再び確認してくる。
「Westminster bridge?or Westminster pier?」
あ~通じてなかったかあ。
「ウエストミンスター・ピア!アイウォントゥゴウトゥグリニッジ、バイフェリーボウト!」
「Ferryboat?」
「イエスイエス」
「Oh!Greenwich!Ferryboat!Westminster pier OK!!」
つ…通じた…。
ケンジントンからウエストミンスターへ抜ける辺りは如何にもロンドン!的な風景が続き、見ているだけでわくわくする。
ナイツブリッジの風景。
タクシーの中から車窓の風景を右に左にきょろきょろしているとKnightsbridgeの表示が見えた。
ついつい「ハロッズは日本でベリィベリィフェイマスよ」と言ってしまったら、多少は喋れると勘違いされたのか、今までロックを流しながらフンフン♪と鼻歌を歌ってた陽気な運ちゃんが、
「ハロッズで買い物しなくていいのか?」
と訊いてくる。
時間に余裕がないからしたいけど出来ないって英語でどう言えばいいんだっけ?と焦りつつ考えていると、その間にも
ロンドンにはいつまでいるんだ?
日本では何の仕事をしてるんだ?
バッキンガム宮殿は見たか?
と次々に質問が飛んでくる。
「あ~えっと」
質問されてる意味は何となく分かるのだが、その全てに答えられるような英語力はない。
(「ハウスワイフ」だけでも通じるまで10回は言ったと思われる)
仕方なくやっこちゃん直伝の「Sorry」を繰り返すはめに。
すると運ちゃん「No!proble~~~~m!!」(←声もデカイ)
まるでサッカーの実況中継…。
「サ、サンキュウ」
赤信号で停車すると、
「この交差点を渡ってる途中で右を見るんだ。いいかい?右の奥を見るんだぜ」
「オ、オウケイ」
青信号に変わって走り出すと「Look!」の合図と同時に右側の窓から後方を覗き込んだ。
あっ!あの建物は…!
「That’s Harro~~~~ds!!」
「オゥ!ハロ~~~~ッズ!」(←うつってる)
その後も鐘の音が聞こえれば
「Big Ben!!」
バッキンガム宮殿の前を通れば
「Buckingham Palace!!」
と大サーヴィス。
しかし鐘の音が聞こえたということは…しまったあ!もう3時かあ~。
ああ3時の便にも乗り損ねちゃったかあ。
ロンドンの渋滞は話には聞いていたけど、結構な時間がかかってしまったな。
目の前にはもう大きい川が見えている。
多分これがテムズ川に間違いない。
Westminsterの表示も見える。
なのに、長い中央分離帯と対向車線の渋滞に阻まれて、なかなか道路を横断できない。
しばらく中央分離帯沿いを走って、フェリーボートのチケット売り場の前でタクシーは止まった。
運ちゃんが、ここでいいか?ここでいいか?大丈夫か?と何度も訊いてくる。
オーケーオーケー大丈夫よ。サンキューベリーマッチ!
と代金を支払った。ケンジントンから大体£12.50くらいだったと思う。
けれどフォーレスの街で運転手さんにチップをあまり渡せなかったことを気に病んでいたので、この陽気な運ちゃんには楽しかった道中の分、チップを含めて£16を渡した。
タクシーから中央分離帯のブロックの上に降りる。
そんな合間にもタクシーの後ろには行列が出来て、運ちゃんは忙しく車を飛ばしていった。
車の途切れ目に中央分離帯の上からダッシュ!
目の前のチケット売り場に駆け込んだ。
窓口にいる女性に、
Westminster pier to Greenwich pier Direct Return Adult (One)
と日本から書いてきたメモとお金を窓口から渡す。
けれど受付の女性はNoNoと首を振りながらメモとお金を返してきた。
…え?なに?ダメ??
書き方が悪かった?でも直行便、往復、大人ひとり…間違ってないよね?
もしかして事故か故障でフェリーが出ないのだろうか?
「ここからグリニッジ行きは出ないの?」としつこく訊ねてみる。
すると
「出るわよ、でもあなたが言ってるダイレクト便は出ないの。それにウエストミンスター・ピアはあっちよ」
へ??
上の看板を見ると…。
エンバンクメント・ピアーーー!?
ああーっ!
そうか!ウエストミンスター・ピアの前で停められなかったから、エンバンクメント・ピアまで来ちゃったんだ!
だから運ちゃんはあんなにしつこく、いいか?大丈夫か?を連発してたんだ!
そ、そっか…でも、どうする?ここから乗る?
でも直行便ないんだよね?
時刻はすでに3時10分すぎ。意地でも3時半の便に乗らなければ帰りの便がなくなってしまう。
間に合うか!?
ええい!ままよ!
窓口の女性にサンキューベリィマッチ!とお礼を言うと、ウエストミンスター・ピアに向かって一目散に走り出した───。
ブラボーー☆
でも、景色が堪能できるから、タクシーにして大正解ね♪
それに、運ちゃん次第で、同じ時間が楽しくなるか不快になるか、
全然違うから、ラッキー♪♪♪
あぁ、間に合うのかどうか、ハラハラドキドキ。
続きが気になりますっ。
時間的にはね、やっぱり地下鉄の方が良かったと思うわ~。
(料金もね!笑)
でもタクシーに乗ったおかげで運ちゃんと拙いながらもお喋りできたし
でなきゃなかなか現地の人と会話ってできないもんね!
運ちゃんも明るくていい人だったし、今回はホント人とのご縁がとても印象的な旅になりました。ありがたや~。
ウエストミンスターではいい運動したよ~(笑)。
走るなんて…何年ぶりだったかなあ?
次回も読んでやってくだされ~~
いやあ~タクシー代も今日本円に換算すると、3600えん と自分自身でびっくりしますが(笑)、ポンドでのやり取りだと余り高額のような気にならなかったんですよねえ。
う~ん英国マジック!
でも訪れた国への礼儀(?)として一介の旅行者としては、せっせと外貨を落として参りました!
それが世話になった国への人情ってもんですよね!(←??)
イギリス…楽しいところでした!
わたくしと関わってしまった現地の方々からは、もうちっと喋れるようになってから来い!と思われたかもしれませんが…えへ。