H法律事務所は、どんなに原告が(訴える側)提訴を希望しても
勝ち目のない(表現は悪いですが)案件は
むやみに訴訟しないというスタンスで、
慎重に事前調査をする姿勢でした。
Z病院・F病院のカルテ類が揃い
10月の下旬にH弁護士とH夫人のお二人は
名古屋の医療事故情報センターに向かわれました。
選任された協力医O医師と面談されるためです。
(O医師は東京在住の医師でした)
まず“訴訟”にふさわしい事案なのかの確認のためです。
初回の面談のところでも書きましたが
弁護士が扱う裁判の中でも、医療訴訟は難しい案件のひとつなのだそうです。
専門的なことが多く出てきたり、
それが医療過誤・事故に値するものなのか
立証することが難しいのだと思います。
(裁く法律の専門家が、決して医療に詳しいわけではないのです)
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
<<説明>>
【鑑定制度】
医療過誤裁判は医療の世界の専門的な事柄を扱っているので、
裁判官にとっても自分の知識や経験では判断しにくい事件です。
そのため、
・被告とされている医師の言っていることが正しいのか
・診療の中でミスがあったのか
・そのミスが元でその患者が死亡したり後遺症が残ったと言えるのか
といったことについて専門家の意見を聞いてみたいと考えます。
このような時に公平な第三者たる専門家に意見を求めるのが鑑定制度です。
専門的な分野の事柄を扱う裁判では重要な制度です。
鑑定の内容は裁判官の知識を補うものでもあり、
裁判官が判決を書くときの証拠の一つともなります。
しかし、鑑定書を書くのも被告医師と同じ分野を専門としている医師であり、
医師の世界では同僚の批判はしにくいので、
どうしても医者側に甘くなる傾向があります。
ですから鑑定をしたからといって、すっきり解決できない時もあります。
また医療の世界では、
専門家として評価されている人が法廷で証言したような時には、
その後にそれに対して異を唱えることはためらわれるようです。
反論してくれる協力医を見つけることが困難で苦労します。
【協力医】
医療過誤訴訟に立ちはだかる三つの壁
(専門性の壁、密室性の壁、封建性の壁)のうち
最も困難な壁は、「封建性の壁」である。
我国の医療界にあっては相互批判の精神もそのシステムも成熟しておらず、
自浄作用が甚だ不十分であり、医療過誤訴訟の場面では、
「同僚かばい」の傾向が強くうかがわれる。
加えて、多くの臨床医は日常診療に追われ時間的に余裕が少ないうえ、
「過去のできごと」よりも、直面する患者さんの治療に
情熱を傾けていくべきであるという心境になりやすい。
さらに背景的事情としては、国民が訴訟とか法律に
親しみを感じていないということも指摘できよう。
これらの事情から医療過誤訴訟に
医師が積極的にかかわることは容易なことではない。
引用:医療事故情報センター ホームページ
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
<<補足説明>>
医療訴訟とは、「医事関係訴訟」「医療過誤訴訟」とも呼ばれます。
・医療行為の適否
・患者に生じた死亡、後遺障害などの結果と不適切な医療行為との因果関係
・そのような結果に伴って発生した、損害の有無及び額
が主要な争点となる民事訴訟です。
基本的には一般の民事訴訟の手続きと同じ流れで進行しますが
2点の特徴があります。
・専門的な知見を要する訴訟のため、他事件よりも鑑定を行う場合が多いこと
・カルテ等の改ざん防止のために、患者側が訴訟を提起するに先立ち
自身もカルテ等を入手する目的で“証拠保全”を行う場合が多いこと
また、平均審理期間も大きく変わります。
(平均審理期間…第一審裁判所で、訴えが提起されてから、
判決や和解などで事件が終了するまでの期間のこと)
・一般の民事訴訟が8.4か月
・医療訴訟が24.0か月(約2年3か月)
とても長い時間を要する訴訟なのです。
一般に、患者側が医療訴訟で勝訴するのは難しいと言われています。
判決で終了した医療訴訟事件だけを見ると、
請求認容判決(一部認容を含む)の割合は
平成20年の認容率(=勝訴率)は26.7%で、
通常訴訟の8割強に比べるとかなりの低率です。
民事訴訟では、全ての事件が判決で終了するわけではなく、
和解(話し合い)で終了する事件も相当数あり、
医療訴訟では、全医療訴訟事件数の約50%程度が
和解で終了しています。
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勝ち目のない(表現は悪いですが)案件は
むやみに訴訟しないというスタンスで、
慎重に事前調査をする姿勢でした。
Z病院・F病院のカルテ類が揃い
10月の下旬にH弁護士とH夫人のお二人は
名古屋の医療事故情報センターに向かわれました。
選任された協力医O医師と面談されるためです。
(O医師は東京在住の医師でした)
まず“訴訟”にふさわしい事案なのかの確認のためです。
初回の面談のところでも書きましたが
弁護士が扱う裁判の中でも、医療訴訟は難しい案件のひとつなのだそうです。
専門的なことが多く出てきたり、
それが医療過誤・事故に値するものなのか
立証することが難しいのだと思います。
(裁く法律の専門家が、決して医療に詳しいわけではないのです)
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
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【鑑定制度】
医療過誤裁判は医療の世界の専門的な事柄を扱っているので、
裁判官にとっても自分の知識や経験では判断しにくい事件です。
そのため、
・被告とされている医師の言っていることが正しいのか
・診療の中でミスがあったのか
・そのミスが元でその患者が死亡したり後遺症が残ったと言えるのか
といったことについて専門家の意見を聞いてみたいと考えます。
このような時に公平な第三者たる専門家に意見を求めるのが鑑定制度です。
専門的な分野の事柄を扱う裁判では重要な制度です。
鑑定の内容は裁判官の知識を補うものでもあり、
裁判官が判決を書くときの証拠の一つともなります。
しかし、鑑定書を書くのも被告医師と同じ分野を専門としている医師であり、
医師の世界では同僚の批判はしにくいので、
どうしても医者側に甘くなる傾向があります。
ですから鑑定をしたからといって、すっきり解決できない時もあります。
また医療の世界では、
専門家として評価されている人が法廷で証言したような時には、
その後にそれに対して異を唱えることはためらわれるようです。
反論してくれる協力医を見つけることが困難で苦労します。
【協力医】
医療過誤訴訟に立ちはだかる三つの壁
(専門性の壁、密室性の壁、封建性の壁)のうち
最も困難な壁は、「封建性の壁」である。
我国の医療界にあっては相互批判の精神もそのシステムも成熟しておらず、
自浄作用が甚だ不十分であり、医療過誤訴訟の場面では、
「同僚かばい」の傾向が強くうかがわれる。
加えて、多くの臨床医は日常診療に追われ時間的に余裕が少ないうえ、
「過去のできごと」よりも、直面する患者さんの治療に
情熱を傾けていくべきであるという心境になりやすい。
さらに背景的事情としては、国民が訴訟とか法律に
親しみを感じていないということも指摘できよう。
これらの事情から医療過誤訴訟に
医師が積極的にかかわることは容易なことではない。
引用:医療事故情報センター ホームページ
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医療訴訟とは、「医事関係訴訟」「医療過誤訴訟」とも呼ばれます。
・医療行為の適否
・患者に生じた死亡、後遺障害などの結果と不適切な医療行為との因果関係
・そのような結果に伴って発生した、損害の有無及び額
が主要な争点となる民事訴訟です。
基本的には一般の民事訴訟の手続きと同じ流れで進行しますが
2点の特徴があります。
・専門的な知見を要する訴訟のため、他事件よりも鑑定を行う場合が多いこと
・カルテ等の改ざん防止のために、患者側が訴訟を提起するに先立ち
自身もカルテ等を入手する目的で“証拠保全”を行う場合が多いこと
また、平均審理期間も大きく変わります。
(平均審理期間…第一審裁判所で、訴えが提起されてから、
判決や和解などで事件が終了するまでの期間のこと)
・一般の民事訴訟が8.4か月
・医療訴訟が24.0か月(約2年3か月)
とても長い時間を要する訴訟なのです。
一般に、患者側が医療訴訟で勝訴するのは難しいと言われています。
判決で終了した医療訴訟事件だけを見ると、
請求認容判決(一部認容を含む)の割合は
平成20年の認容率(=勝訴率)は26.7%で、
通常訴訟の8割強に比べるとかなりの低率です。
民事訴訟では、全ての事件が判決で終了するわけではなく、
和解(話し合い)で終了する事件も相当数あり、
医療訴訟では、全医療訴訟事件数の約50%程度が
和解で終了しています。
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