『英語屋さん』の宝箱

『英語屋さん』『英語屋さんの虎ノ巻』(集英社新書/電子書籍版)、『英語で夢を見る楽しみ』(財界研究所)の著者のブログ

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walled garden (囲い込み)

2006-10-11 14:06:13 | 英語・翻訳

 walled gardenは、携帯電話によるインターネットアクセスに関して使われる比較的、新しい言葉のようです。「壁に囲まれた庭園」という元の意味でもよく使われていますが、この新しい意味では、携帯電話からアクセスするコンテンツをクローズドな環境の中で提供することを指しています。よくいえば「閉ざされた安全な利用環境」ですが、否定的な意味に解釈すれば、通信事業会社による「囲い込み」戦略ということでしょう。


 今日の世界の市場環境は、より汎用性の高いモバイルウェブサイトを提供することでモバイルインターネットの利便性を改善し、wall gardenは排除される方向にあるようです。



biped (二足歩行の)

2006-10-10 21:39:26 | 英語・翻訳

 bipedは"bi(2つの)"+"pedal(足の)"からできた言葉。もともとは人間のような二足歩行動物を意味する言葉でしたが、最近はむしろ、二足歩行ロボットとかCGの二足歩行キャラクターに関連した文脈でよく見かけます。biped [walking] robot(二足歩行ロボット)のように、形容詞としても使われます。


 CGアニメーションやロボットの専門家の間では、よくそのままbiped(バイペッド)と英語で表記しています。


 SF映画や漫画の世界では、ロボットが二足歩行するのを当たり前のように見てきましたが、アシモ(ASIMO)を開発した本田技研の苦労話によると、二本足で歩くというのは非常に複雑な運動で、今日のレベルに到達するまでにかなり試行錯誤を繰り返したそうです。


 bipedに対して(事業としてはすでに撤退を決めたようですが)ソニーのアイボ(AIBO)のように四足で歩くロボットはquadruped(クワドロペッド)と呼ばれているようです。


(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第60号掲載、一部改稿)



rainmaker (やり手)

2006-10-09 14:47:40 | 英語・翻訳

 翻訳原稿の中に出てきたrainmakerという単語を見て、前にもどこかで見たことがあるような気がしました。Googleで検索してみたら、弁護士を主人公にした90年代のアメリカ映画のタイトルに使われていました。


 "rain(雨)+maker(作る人)"ですから、元の意味が「雨乞いの祈祷師」だということは想像がつきます。たぶん、アメリカ原住民のそれに由来する言葉でしょう。


 手元の辞書を引いてみたら、米語(口語)で「顧客集めがうまい弁護士」とありました。英英辞典(American Heritage Online)には、"One who is known for achieving excellent results in a profession or field, such as business or politics"(ビジネスや政治などの分野や専門職で優れた成果を上げることで知られている人)と定義されているので、それよりももう少し広い意味で使われるようです。別の辞書(『グランドコンサイス英和辞典』三省堂)で引いてみたら「辣腕弁護士、やり手の実業家、政界などに広いコネを持つ人、フィクサー」といろいろな訳語が出ていました。


 rainmakerの職業は弁護士とは限らないようです。私が訳した文章では、顧客との関係を上手に構築する公認会計士にこの言葉が使われていました。その文脈に応じて「やり手の~」とか「顧客集めのうまい~」と訳すといいかもしれません。


(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第59号掲載、一部改稿)



小児がん(脳腫瘍)と闘う小さなヒーロー

2006-10-05 22:12:54 | お知らせ

 小児がん(脳腫瘍)と闘っている0歳の男の子のお父さんが、その闘病日誌をブログで公開しています。


 ★父親と育児+カミさんと・・・


 かわいらしいお子さんの写真を交えながら、難しい病気とその治療の経緯、さらにご家族の心情を克明に書き綴ったこのブログは、同じ病気と闘っているお子さんを持つ全国のご家族にとって貴重な情報であり、心の励みにもなることと思います。


 病気と闘う小さなヒーローとそのご家族を、心から応援しています。


コメント (1)

certified public accountant (CPA) 公認会計士

2006-10-04 22:31:22 | 英語・翻訳

 国家試験に合格し、企業の財務諸表の作成や監査業務を職業とする人のこと。特にアメリカの公認会計士certified public accountant(CPA)といいます(単にaccountantというと、企業の経理担当を指すことがあります)。


 公認会計士は、イギリスではchartered accountant(勅許会計士)と呼ばれているようです。19世紀の産業革命期に国王の勅許状を受けた歴史に由来する言葉のようですが、試験を受けて資格を取得する会計士という意味では、公認会計士と似たようなものでしょう。イギリスは会計士制度が少し複雑らしく、次のような各種の会計士協会があります。


  • ICAS=スコットランド勅許会計士協会(the Institute of Chartered Accountants of Scotland)
  • CIMA=管理会計士勅許協会(the Chartered Institute of Management Accountants)
  • ACCA=勅許公認会計士協会(the Association of Chartered Certified Accountants)
  • ICAEW=イングランド・ウェールズ勅許会計士協会(the Institute of Chartered Accountants in England & Wales)

(メルマガ「略語で学ぶ英単語」第149号掲載、一部改稿)


adjunct professor (非常勤教授)

2006-10-03 12:45:54 | 英語・翻訳

 海外留学経験がない私は、あちらの学校の制度がよくわからなくて、大学の学科名や役職名が出てくるとそのつどインターネットで調べ回っています。


 米国の大学にはassociate professor(準教授)という地位があります。一方、日本の大学では「準教授」ではなく「助教授」という肩書が一般的に使われています。しかし、米国の大学におけるassistant professor(助教授)は、associate professorよりも地位や待遇が低く、むしろ「講師」に近い仕事のようです。してみると、日本の大学の「助教授」は、英語ではassociate professorと訳したほうがいいのかもしれません。


 そのあたりまでは何となく知っていましたが、以前翻訳を引き受けた文書にadjunct professorというのが出てきて、訳語の選択に少し戸惑いました。手元の辞書やインターネットで調べてみると、客員教授とか特別教授とか補助教授など、使われている訳語がまちまち。これに該当する適当な日本語がないのか、ウェブサイトでは日本語に訳さずに"adjunct professor"と英語のまま使っている例もずいぶん見かけました。


 いろいろ調べてみた結果、adjunct professorは他の仕事と掛け持ちで教えている教授の職名らしく、日本語訳には「非常勤教授」または「兼任教授」あたりが使われていることがわかりました。「非常勤講師」と訳している例も見かけましたが、professorとなっている以上、「講師」ではなくて「教授」と呼んだほうがいいと思います。


 なお、「客員教授」という肩書もありますが、これは英語ではふつうvisiting professorと呼ばれています。


(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第49号掲載、一部改稿)



Director (取締役)

2006-09-30 11:32:30 | 英語・翻訳

 実務文書を日本語に翻訳していてよく戸惑うのが、組織の役職名。そもそも国によって企業制度や慣習そのものが違いますから適訳がないこともありますし、充てる日本語によっては誤解を招きかねません。


 拙著『国際業務のABC』 (pp.133-135)などでも触れましたが、Vice President(バイスプレジデント)などはその最たる例でしょう。「副社長」と訳せる場合もありますが、米国系の企業で単にVice Presidentといえば、多くの場合は部長または本部長級の役職です。Vice(副~)をつけるのは、日本でいえばさしずめ「支店長代理」のようなものでしょうか(ちなみに、本当の「副社長」ならSenior Vice PresidentとかExecutive Vice Presidentという肩書になっていることが多い)。


 Managerはふつう中間管理職、つまり部課長クラスをいいます。それよりも上級の役職になると、米国系の企業ではOfficerという肩書を使っているようです。日本の大企業もひと昔ほど前からこれを真似て、「執行役員」などと呼んでいる会社があります。


 いっぽう、会社の経営に携わる幹部はDirector(取締役)と呼ばれます。商法上の取締役(a member of the Board [of Directors])のことです。しかし、社内の組織の長としてのDirectorであれば、研究所のような施設の「所長」とか事業本部などの「本部長」を指すこともあります。財団法人のような非営利目的団体の幹部なら「理事」と訳したほうがいいでしょう。


 Directorという役職がどのようなものを指しているのか推測がつかない場合は、つい「ディレクター」とカタカナのまま訳したくなりますが、日本語で「ディレクター」というと、放送局や映画業界におけるそれの語感が強いので、なるべくなら使いたくありません。


 Managing Directorは、辞書を見ると「常務取締役」という訳語も出ていますが、英国系の企業では「社長」(=President)を指すこともあるので注意が必要です。いっぽう、Presidentとはいっても、本社のトップとしての「社長」ではなく事業部門(子会社)の長を指す場合があります。最近の日本の会社でも「プレジデント」というカタカナの肩書を使っているところがあるようです。それとの区別を明確にする意味もあるのでしょうか、本社の社長のほうはよく、最高経営責任者(Chief Executive Officer, CEO)最高執行責任者(Chief Operating Officer, COO)といった肩書を併用しているようです。


 民間企業の役職名は、その業界や会社でしか通用しないものもあります。聞きなれない役職名の翻訳を私のような産業翻訳者に依頼されるときは、その職責や機能を簡単に説明したほうがいいかもしれません。


(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第40号掲載、一部改稿)



映画『フラガール』を見て

2006-09-28 11:48:05 | 随想

 都内でフラを教えている家内に引っ張られて、上映中の映画『フラガール』を見てきました。なにしろ出不精な私、映画館に足を運ぶのは『千と千尋の神隠し』以来、実に4年半ぶり。


 『フラガール』は、昭和40年代、エネルギー需要の変化に伴って閉山を迫られた炭鉱会社が地元の雇用確保のために建設した常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)に東京から招かれたフラダンス教師が、素人の田舎娘をフラダンサーに育てる物語。その経緯は、かつてNHKで放送していたドキュメンタリー番組『プロジェクトX』でも取り上げていましたが、この映画はそのストーリーを涙あり笑いありの娯楽作品に仕上げていました。生活のため娘に「腰ミノをつけて裸踊り」をさせることに対する炭鉱夫たちの屈辱感や怒り、東京から来たフラ教師との葛藤というモチーフもよかったと思います。


 家内のほうはフラを教える教師の側に感情移入して見ていたそうですが、私自身は昭和40年代の田舎の風景の描写に見入ってしまいました。私が育った北海道の田舎でもよく見かけた板葺き平屋建ての社宅や、通学に使ったのとよく似たディーゼル車を見て、懐かしさがこみ上げてきました。「よくできたCG(またはセット)だなあ」と思って見ていたら、そのほとんどが現存している建物や乗り物をロケで撮影したものだそうです。やはり、実写の映画はいいですね。ハワイのダイヤモンドヘッドの稜線を彷彿とさせるボタ山(ズリ山)を随所で見せた手法、有名なハワイのウクレレ奏者ジェイク・シマブクロが演奏するBGMも、全体の雰囲気をよく盛り上げていました。


 この映画は、あの高度成長期に日本全体が繁栄を謳歌していた陰で、このような苦労を重ねて生活の基盤を築いた人もいるという事実を思い出させてくれます。まだ、地域社会や会社が一種の共同社会として、人々の暮らしを守ろうとする古き良き時代だったのかもしれません。同じ地域振興策といっても、国がばらまいた金でひたすら「箱物」を作っては失敗したバブル期以降の社会の風潮に対する一種の警鐘と受け取るのは、少しうがった見方でしょうか。


 ところで、ひさしぶりに訪れた映画館は、数年前とはかなり様変わりしていることも驚きました。やわらかいイスで快適に見られましたし、夫婦割引や年齢による各種の割引も利用できるようになっていました。平日の昼間ということもあって映画館には年輩の人の姿も多く見られました。この国の映画産業の努力の跡が伺えます。


maglev train (リニアモーターカー)

2006-09-25 00:12:43 | 英語・翻訳

 9月22日にドイツで起きたリニアモーターカーの衝突事故では多数の死傷者が出たそうです。列車自体の技術的な問題ではないようですが、日本でも列車の衝突・脱線事故は後を絶たず、この種の事故を完全に防ぐのはどこでも難しいことなのかもしれません。


 その事故を伝える記事を見て思い出したのですが、日本語でリニアモーターカーと呼ばれているこの種の列車は、英語ではmaglev train(マグレブ、磁気浮上列車)というのが普通です。"maglev"はmagnetic levitation(磁気浮上)を短くしてできた言葉。


 この事故を伝えている記事の見出しを比べると、日本の新聞やウェブサイトでは「独リニア衝突」とあるのに対し、英語メディアの見出しでは"German train smashes into maintenance vehicle"(ドイツの列車が保守作業車に衝突=CNN)とか"Monorail disaster shakes Germany"(モノレール事故、ドイツに衝撃=BBC)のように、trainやmonorailというわかりやすい単語を使っていることに気付きました。その代わり、記事本文で改めてmaglev trainまたはmagnetic levitation trainという言葉を使って、その技術を簡単に説明していました。


 考えてみれば、「リニア」(linear)だけなら単に「線形」「直線」という意味ですから、「リニア」という省略語は、リニアモーターカーがどういうものかを知らない人にはわかりにくいと思います。もちろん、技術大国日本では誰でもリニアモーターカーを知っていて、「リニア」といえばそれとわかるという前提で記事を書いているのでしょう。


(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第62号掲載)



curbside checkin (カーブサイドチェックイン)

2006-09-23 13:06:09 | 英語・翻訳

 先日の記事に書いたcheck-in kiosk(自動チェックイン機)と同じ文章に出ていて、訳語がすぐに出てこなかった英語にcurbside checkinというのがありました。


 curbsideを辞書で引くと「車道の縁石側、歩道」とあります。おそらく、車で乗りつけてそのままチェックイン(搭乗手続き)ができるようなシステムだとは察しはつきましたが、それに該当する日本語が見つかりません。


 いつものようにGoogleであれこれ検索してみたところ、意味はその通りでした。航空会社が自動チェックイン機を道路際まで持ち出し、搭乗客は車をその前に寄せてチェックインできる仕組みです。いかにも車社会のアメリカらしいサービスですね。


 カタカナ書きにして「カーブサイドチェックイン」とGoogleに入れてみたら、はたして、アメリカにはこういうチェックイン方法があると説明した日本語のウェブページがずらずらと出てきました。車も運転しなければ何年も渡米していない私には、インターネットがなければ調べがつかない言葉でした。


 その後しばらくして、成田空港でもターミナルの改修を機会にこれと同じサービスを導入したようです。使われている名称はそのまま「カーブサイドチェックイン」とカタカナ語。しかし、外来語をわかりやすい日本語で表記しようといわれている昨今、もう少しわかりやすい日本語の名前にしたほうがよかったような気もします。


(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第37号掲載、一部改稿)