ホワイトカラー(White Collar)シーズン1エピソード4「狙われた帰国」より、ピーターとモジー、そしてニールが部屋で酒を飲みながら事件の話をしているシーンを取り上げます。
ピーター:I don’t get it. Girl leaves nothing but an empty bottle behind.(わからないね。女は空のボトル以外なにも残していないんだ)
モジー:Least she could do was leave a full one.(せめて中身入りのやつを置いていってくれよな)
ニール:Guys, I’m right here.(ねえ、俺もここにいる)
ピーター:Fair enough. Fair enough. Man, look at that view. Is this why you guys do it? Is this what it’s all about?(わかった、わかった。見てみろ、この眺め。このためにやっているのか?これこそが理由か?)
モジー:It’s not about the stuff.(本質は物じゃない)
ニール:Moz.(モジー)
モジー:It’s about doing what we wanna do. Who cares about 9 to 5’s and 401K’s? Playing by the rules only makes borders that just take away everything that’s good about living life.(したいことをしているってとこにある。9時5時の勤めや年金なんて知ったことか。ルールに縛られたプレイにつきものの境界線になにもかも奪いとられてしまうのさ、人生を生きることのすばらしさをね)
ニール:Moz, Moz, you lived in a storage unit.(モジー、モジー、おまえは倉庫で生きてただろ)
モジー:Yeah. But I lived there, Man. I lived. Long as I don’t have to live under anyone else’s time or dime, I’m a free man. I can do whatever I want.(ああ、そこで生きてたよ、いいかい、生きてたんだ。誰かの時間やら金やらに縛られて生きる必要がないかぎり、僕は自由な人間でいられる。望むことはなんでもできるんだ)
ピーター:Like going to the pawnshop and getting that coin you have in your pocket. Come on. Let’s see it. It’s a hell of a thing.(例えば、質屋に行って、そのポケットに入れているコインを手にいれるとかか。見せてくれよ。こいつはすごい)
モジー:Islamic dinar from the Abbasid dynasty. Last seen in the museum in Mosul.(アッバース朝時代のイスラムのディナール金貨さ。先日までモスルの博物館に展示されていた)
ピーター:I really shouldn’t even know about this. Alisha’s guilty, isn’t she?(本当は、これについて知ることすらもいけないんだ。アリーシャは罪を犯している、だろ?)
ニール:Looks like it.(そうみえるね)
ピーター:I’m holding damning evidence and I can’t do a damn thing with it.(すごい証拠を掴んでいるのに、こいつをうまいこと使えない)
モジー:Your rules, Tin Man, not mine.(おたくのルールだよ、ブリキの木こりくん、ぼくのじゃない)
ニール:Come on, Peter. Give me the coin.(ほら、ピーター。コインをかして)
ピーター:I can see it now. FBI agent illegally obtains evidence. News at 11.(FBI捜査官が違法に証拠を入手っていう11時のニュースが目に浮かぶよ)
ニール:That’s a hell of a story. Too bad she can’t report it.(それは大ニュースだ。彼女がそれを報道できないなんて残念だね)
ピーター:Maybe she can.(ひょっとしたら、できるかも)
[文法・語彙解説]
“I don’t get it. Girl leaves nothing but an empty bottle behind”
“I don’t get it”は「(相手の言っていることなどの)意味がわからない、理解できない」というフレーズで、逆に “I get it” は「わかった」です。
関連する便利なフレーズとして、 “get this”(よく聞いて、ちょっと聞いて) があります。話したい内容の前に “get this!” (これを理解してね)と呼びかけて、注目させるわけです。
“Girl leaves nothing but an empty bottle behind”
“girl” は “a” も “the” もついてない無冠詞の単数形で、しかも時制は現在形なので、「あれ?」と思う一文です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一般的な可算名詞の用法はこのような感じです。(『実践ロイヤル英文法』を参照)
A.一般用法
1. a [an] +単数形
A girl [(1人の、ある)女、女というもの]
2.冠詞のつかない複数形
Girls[(何人かの)女、女というもの]
3.数詞または不定の数を示す語+複数形
Seven [several] girls[7人の、(何人かの)女]
4.the+単数形
The girl (その女、女というもの)
5.the+複数形
The girls (その女たちみな)
B.総称用法
「女というもの」というように、種類全体を表すのに、次の3つの形がある。
1. 冠詞なしの複数形 Girls leave nothing.
2. a [an]+単数形 A girl leaves nothing.
3. the+単数形 The girl leaves nothing.
一般的な形は1。2はなにか1つを代表として取り上げ、その種類のものすべてについて特有の性質を述べる言い方。3は、その種類全体をひとまとめにして言う形。やや抽象的なイメージが伴い、比較的改まった書き言葉として用いられることが多い。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この可算名詞の原則から外れています。
ここでは、2つの可能性を考えてみたいと思います。
1つ目は、 “Girl” をほぼ “Kate” と同義の固有名詞的に使っているという可能性。でも、なんで現在形なのでしょうか。実は、この現在形はホワイトカラーの中に何度も出てきているんです。例えば、次のエピソード5の冒頭で、モジーは “Kate leaves you a bottle with a map on it”(ケイトは地図を張り付けたボトルを君に残している)と言いますし、エピソード1の冒頭でピーターも “She leaves you a message in that?”(彼女は、それのなかにメッセージを残しているのか?)と発言しています。ボトルを残すという動作自体は過去の出来事ですが、ニールにメッセージをワインボトルというかたちで残している状態は、ケイトの失踪の謎が解けるまで恒常的です。だから、現在形が使われているわけです。
ややこじつけ気味ですが、2つ目は、 “Girl” を一種の集合名詞や物質名詞のようにして「女ってやつは」という意味で使われている可能性。集団の性質を述べているのだから、時制は現在形でOKなわけです。ここで面白いのはアメリカ英語の特徴として、「単数にも複数にも扱う集合名詞」を使うとき、アメリカ人はイギリス人とは違って、一般的に「単数扱い」だけしかしない」(『実践ロイヤル英文法』より)という点。ほかのところでも応用が利きそうです。
結論を言うと、 “Girl” はほぼ “Kate” と同じ意味で使われているのだと思います。少なくとも、モジーはそのように理解して、会話を続けているように思います。
“Girl leaves nothing but an empty bottle behind” に戻ると、 “nothing but A” は「~以外なにもない」という表現です。 “leave A behind” は「~を置き忘れる、~を後に残す」という表現。 “I have left my wallet behind”(お財布を置き忘れてきちゃった)など、日常会話でよく使える便利な表現です。 “behind” の部分は、忘れてきた場所を示す副詞に置き換えられます。 “at home”(家に) “on the bus”(バスに)といったぐあいです。
“Least she could do was leave a full one.”
“the least (one) could do…” という表現から “the”が脱落しているのでしょう。 “the least someone could do”でひとまとまりの名詞節をつくります。「誰かが最低限すべきこと、最低限できたこと」という意味になります。ここでは、「彼女が最低限すべきことは、 “(to) leave a full one”(満タンのボトルを残すこと)」と、モジーはピーターの発言に応じています。
“Fair enough”
“fair enough” は口語表現で、かなりくだけた感じで、「(相手が理にかなったことを言ったとき)そのとおりだ、わかった、同意するよ」という意味です。OALDでは “[informal] used to say that an idea or suggestion seems reasonable”([非公式]意見や提案が道理に合っているように思えるときに使われる)と定義されています。このシーンでは、ニールの不平に対して、「そのとおり、わかったよ」とピーターは言っているわけです。
“Who cares about 9 to 5’s and 401K’s?”
“9 to 5” は “nine to five”(9時から5時まで)と発音しますが、多くの企業で採用されている就業時間帯のことです。モジーは「午前9時から午後5時まで」働くようなまっとうな仕事に興味はないという意味で使っています。
余談になりますが、 “nine to five” というタイトルで1980年代にヒットした曲が2つあります。1つめは、イギリスのシーナ・イーストンの “9 to 5(Morning Train)” アメリカでは混同をさけるため括弧内のタイトルで知られています。2つめは、ドリー・パートンの “9 to 5” です。こちらは、アメリカ喜劇映画ベスト100にもランクインしているコメディ映画 “9 to 5”(9時から5時まで)の主題歌です。フルタイムで働く女性にスポットを当てた作品で、何度もリメイクされている人気作です。
“401K” はアメリカでポピュラーな年金制度で「確定拠出年金」のことです。1978年米国内国歳入法の条項名(401K)です。企業から給料が支払われる賃金の一部を毎月、確定拠出年金としてファンドに預けた場合、その期間課税が免除されます。ざっくり言うと、年金として引き出されるまでの間、本来税金として取られるはずの金額分も資産運用できるということです。元金が大きいほうが、資産運用したときの利益が安定して大きくなります。もちろん、課税は繰り延べされているだけなので、年金を受給するときには、運用後の金額から引かれることになります。モジーはここでも普通のサラリーマンが加入している制度を挙げているわけです。
“Who cares about A?” は、反語で「~なんて誰が気にするだろうか、いや誰も気にしない、知ったことか!」という意味のフレーズです。
“playing by the rules only makes borders that just take away everything that’s good about living life.”
息の長い文章ですが、 主語(Playing by the rules)+動詞(make(SVO型]+目的語(borders ←関係代名詞[that just take away everything]←関係代名詞[that is good about living life])という構造になっていて、単純化すれば、プレイすることは境界線を作るとなります。 “borders” と “everything” がそれぞれ関係代名詞の先行詞です。
“Long as I don’t have to live under anyone else’s time or dime, I’m a free man”
“as long as …”(~である限り)の “as” が脱落している形です。
“have to do” は「~しなければならない」とですが、 “not have to do” は「~する必要がない」(do not need to do)の意味になります。
“dime” は「10セント硬貨」の意味ですが、 “time” と韻を踏んでいます。そして、前文の「9時5時」の “time” 、「年金」の “dime” とも対応しています。「誰かほかの人間による時間やお金に縛られて生きる必要がない」というのが大意となります。その限り、私は自由な人間でいられるというわけです。
“It’s a hell of a thing.”
“a hell of …” は口語表現で「非常に、ひどく、すごい、びっくりするような」という強意を付与する言葉です。ここでは「すごいもの」という意味です。
“I can’t do a damn thing with it.”
これはよく使われる表現で「(良いものを持っているが)それをどうすることもできない」という意味です。 “it” の部分に具体的な内容名を入れることもできます。ここでは、証拠となる “Islamic dinar” (イスラムの金貨)を持っていても、なにもできないということになります。
“Your rules, Tin Man, not mine”
“Tin Man” は「オズの魔法使い」に登場する「ブリキの木こり」のことでしょう。ブリキの木こりは、もともと人間だったのですが、あるとき、呪いをかけられてしまい、木を切るたびに自分の体を切り落とすようになってしまいます。順々に生身の体はブリキのパーツに置き換えられていき、最後には心も作り物になってしまいます。なんともグロテスクな話ですが、ここでのモジーの発言は、社会のルールに縛られている、自分の意志で動けない、心のない人間として、ピーターを “Tin Man” と呼んでいるのだと思われます。
“FBI agent illegally obtains evidence. News at 11”
“News at 11” は「11時のニュース番組」ですね。日本でも区切りの良い時間から始まるニュース番組は多いと思います。「午後7時のニュース」のように。 “FBI agent illegally obtains evidence” はニュース番組の導入で話されるインデックスの言葉でしょう。「FBI捜査官が不正に証拠を入手」と言って視聴者を引き付け、内容に移るというやつです。
ピーター:I don’t get it. Girl leaves nothing but an empty bottle behind.(わからないね。女は空のボトル以外なにも残していないんだ)
モジー:Least she could do was leave a full one.(せめて中身入りのやつを置いていってくれよな)
ニール:Guys, I’m right here.(ねえ、俺もここにいる)
ピーター:Fair enough. Fair enough. Man, look at that view. Is this why you guys do it? Is this what it’s all about?(わかった、わかった。見てみろ、この眺め。このためにやっているのか?これこそが理由か?)
モジー:It’s not about the stuff.(本質は物じゃない)
ニール:Moz.(モジー)
モジー:It’s about doing what we wanna do. Who cares about 9 to 5’s and 401K’s? Playing by the rules only makes borders that just take away everything that’s good about living life.(したいことをしているってとこにある。9時5時の勤めや年金なんて知ったことか。ルールに縛られたプレイにつきものの境界線になにもかも奪いとられてしまうのさ、人生を生きることのすばらしさをね)
ニール:Moz, Moz, you lived in a storage unit.(モジー、モジー、おまえは倉庫で生きてただろ)
モジー:Yeah. But I lived there, Man. I lived. Long as I don’t have to live under anyone else’s time or dime, I’m a free man. I can do whatever I want.(ああ、そこで生きてたよ、いいかい、生きてたんだ。誰かの時間やら金やらに縛られて生きる必要がないかぎり、僕は自由な人間でいられる。望むことはなんでもできるんだ)
ピーター:Like going to the pawnshop and getting that coin you have in your pocket. Come on. Let’s see it. It’s a hell of a thing.(例えば、質屋に行って、そのポケットに入れているコインを手にいれるとかか。見せてくれよ。こいつはすごい)
モジー:Islamic dinar from the Abbasid dynasty. Last seen in the museum in Mosul.(アッバース朝時代のイスラムのディナール金貨さ。先日までモスルの博物館に展示されていた)
ピーター:I really shouldn’t even know about this. Alisha’s guilty, isn’t she?(本当は、これについて知ることすらもいけないんだ。アリーシャは罪を犯している、だろ?)
ニール:Looks like it.(そうみえるね)
ピーター:I’m holding damning evidence and I can’t do a damn thing with it.(すごい証拠を掴んでいるのに、こいつをうまいこと使えない)
モジー:Your rules, Tin Man, not mine.(おたくのルールだよ、ブリキの木こりくん、ぼくのじゃない)
ニール:Come on, Peter. Give me the coin.(ほら、ピーター。コインをかして)
ピーター:I can see it now. FBI agent illegally obtains evidence. News at 11.(FBI捜査官が違法に証拠を入手っていう11時のニュースが目に浮かぶよ)
ニール:That’s a hell of a story. Too bad she can’t report it.(それは大ニュースだ。彼女がそれを報道できないなんて残念だね)
ピーター:Maybe she can.(ひょっとしたら、できるかも)
[文法・語彙解説]
“I don’t get it. Girl leaves nothing but an empty bottle behind”
“I don’t get it”は「(相手の言っていることなどの)意味がわからない、理解できない」というフレーズで、逆に “I get it” は「わかった」です。
関連する便利なフレーズとして、 “get this”(よく聞いて、ちょっと聞いて) があります。話したい内容の前に “get this!” (これを理解してね)と呼びかけて、注目させるわけです。
“Girl leaves nothing but an empty bottle behind”
“girl” は “a” も “the” もついてない無冠詞の単数形で、しかも時制は現在形なので、「あれ?」と思う一文です。
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一般的な可算名詞の用法はこのような感じです。(『実践ロイヤル英文法』を参照)
A.一般用法
1. a [an] +単数形
A girl [(1人の、ある)女、女というもの]
2.冠詞のつかない複数形
Girls[(何人かの)女、女というもの]
3.数詞または不定の数を示す語+複数形
Seven [several] girls[7人の、(何人かの)女]
4.the+単数形
The girl (その女、女というもの)
5.the+複数形
The girls (その女たちみな)
B.総称用法
「女というもの」というように、種類全体を表すのに、次の3つの形がある。
1. 冠詞なしの複数形 Girls leave nothing.
2. a [an]+単数形 A girl leaves nothing.
3. the+単数形 The girl leaves nothing.
一般的な形は1。2はなにか1つを代表として取り上げ、その種類のものすべてについて特有の性質を述べる言い方。3は、その種類全体をひとまとめにして言う形。やや抽象的なイメージが伴い、比較的改まった書き言葉として用いられることが多い。
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この可算名詞の原則から外れています。
ここでは、2つの可能性を考えてみたいと思います。
1つ目は、 “Girl” をほぼ “Kate” と同義の固有名詞的に使っているという可能性。でも、なんで現在形なのでしょうか。実は、この現在形はホワイトカラーの中に何度も出てきているんです。例えば、次のエピソード5の冒頭で、モジーは “Kate leaves you a bottle with a map on it”(ケイトは地図を張り付けたボトルを君に残している)と言いますし、エピソード1の冒頭でピーターも “She leaves you a message in that?”(彼女は、それのなかにメッセージを残しているのか?)と発言しています。ボトルを残すという動作自体は過去の出来事ですが、ニールにメッセージをワインボトルというかたちで残している状態は、ケイトの失踪の謎が解けるまで恒常的です。だから、現在形が使われているわけです。
ややこじつけ気味ですが、2つ目は、 “Girl” を一種の集合名詞や物質名詞のようにして「女ってやつは」という意味で使われている可能性。集団の性質を述べているのだから、時制は現在形でOKなわけです。ここで面白いのはアメリカ英語の特徴として、「単数にも複数にも扱う集合名詞」を使うとき、アメリカ人はイギリス人とは違って、一般的に「単数扱い」だけしかしない」(『実践ロイヤル英文法』より)という点。ほかのところでも応用が利きそうです。
結論を言うと、 “Girl” はほぼ “Kate” と同じ意味で使われているのだと思います。少なくとも、モジーはそのように理解して、会話を続けているように思います。
“Girl leaves nothing but an empty bottle behind” に戻ると、 “nothing but A” は「~以外なにもない」という表現です。 “leave A behind” は「~を置き忘れる、~を後に残す」という表現。 “I have left my wallet behind”(お財布を置き忘れてきちゃった)など、日常会話でよく使える便利な表現です。 “behind” の部分は、忘れてきた場所を示す副詞に置き換えられます。 “at home”(家に) “on the bus”(バスに)といったぐあいです。
“Least she could do was leave a full one.”
“the least (one) could do…” という表現から “the”が脱落しているのでしょう。 “the least someone could do”でひとまとまりの名詞節をつくります。「誰かが最低限すべきこと、最低限できたこと」という意味になります。ここでは、「彼女が最低限すべきことは、 “(to) leave a full one”(満タンのボトルを残すこと)」と、モジーはピーターの発言に応じています。
“Fair enough”
“fair enough” は口語表現で、かなりくだけた感じで、「(相手が理にかなったことを言ったとき)そのとおりだ、わかった、同意するよ」という意味です。OALDでは “[informal] used to say that an idea or suggestion seems reasonable”([非公式]意見や提案が道理に合っているように思えるときに使われる)と定義されています。このシーンでは、ニールの不平に対して、「そのとおり、わかったよ」とピーターは言っているわけです。
“Who cares about 9 to 5’s and 401K’s?”
“9 to 5” は “nine to five”(9時から5時まで)と発音しますが、多くの企業で採用されている就業時間帯のことです。モジーは「午前9時から午後5時まで」働くようなまっとうな仕事に興味はないという意味で使っています。
余談になりますが、 “nine to five” というタイトルで1980年代にヒットした曲が2つあります。1つめは、イギリスのシーナ・イーストンの “9 to 5(Morning Train)” アメリカでは混同をさけるため括弧内のタイトルで知られています。2つめは、ドリー・パートンの “9 to 5” です。こちらは、アメリカ喜劇映画ベスト100にもランクインしているコメディ映画 “9 to 5”(9時から5時まで)の主題歌です。フルタイムで働く女性にスポットを当てた作品で、何度もリメイクされている人気作です。
“401K” はアメリカでポピュラーな年金制度で「確定拠出年金」のことです。1978年米国内国歳入法の条項名(401K)です。企業から給料が支払われる賃金の一部を毎月、確定拠出年金としてファンドに預けた場合、その期間課税が免除されます。ざっくり言うと、年金として引き出されるまでの間、本来税金として取られるはずの金額分も資産運用できるということです。元金が大きいほうが、資産運用したときの利益が安定して大きくなります。もちろん、課税は繰り延べされているだけなので、年金を受給するときには、運用後の金額から引かれることになります。モジーはここでも普通のサラリーマンが加入している制度を挙げているわけです。
“Who cares about A?” は、反語で「~なんて誰が気にするだろうか、いや誰も気にしない、知ったことか!」という意味のフレーズです。
“playing by the rules only makes borders that just take away everything that’s good about living life.”
息の長い文章ですが、 主語(Playing by the rules)+動詞(make(SVO型]+目的語(borders ←関係代名詞[that just take away everything]←関係代名詞[that is good about living life])という構造になっていて、単純化すれば、プレイすることは境界線を作るとなります。 “borders” と “everything” がそれぞれ関係代名詞の先行詞です。
“Long as I don’t have to live under anyone else’s time or dime, I’m a free man”
“as long as …”(~である限り)の “as” が脱落している形です。
“have to do” は「~しなければならない」とですが、 “not have to do” は「~する必要がない」(do not need to do)の意味になります。
“dime” は「10セント硬貨」の意味ですが、 “time” と韻を踏んでいます。そして、前文の「9時5時」の “time” 、「年金」の “dime” とも対応しています。「誰かほかの人間による時間やお金に縛られて生きる必要がない」というのが大意となります。その限り、私は自由な人間でいられるというわけです。
“It’s a hell of a thing.”
“a hell of …” は口語表現で「非常に、ひどく、すごい、びっくりするような」という強意を付与する言葉です。ここでは「すごいもの」という意味です。
“I can’t do a damn thing with it.”
これはよく使われる表現で「(良いものを持っているが)それをどうすることもできない」という意味です。 “it” の部分に具体的な内容名を入れることもできます。ここでは、証拠となる “Islamic dinar” (イスラムの金貨)を持っていても、なにもできないということになります。
“Your rules, Tin Man, not mine”
“Tin Man” は「オズの魔法使い」に登場する「ブリキの木こり」のことでしょう。ブリキの木こりは、もともと人間だったのですが、あるとき、呪いをかけられてしまい、木を切るたびに自分の体を切り落とすようになってしまいます。順々に生身の体はブリキのパーツに置き換えられていき、最後には心も作り物になってしまいます。なんともグロテスクな話ですが、ここでのモジーの発言は、社会のルールに縛られている、自分の意志で動けない、心のない人間として、ピーターを “Tin Man” と呼んでいるのだと思われます。
“FBI agent illegally obtains evidence. News at 11”
“News at 11” は「11時のニュース番組」ですね。日本でも区切りの良い時間から始まるニュース番組は多いと思います。「午後7時のニュース」のように。 “FBI agent illegally obtains evidence” はニュース番組の導入で話されるインデックスの言葉でしょう。「FBI捜査官が不正に証拠を入手」と言って視聴者を引き付け、内容に移るというやつです。









