ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち

2012-11-28 23:34:52 | あ行

よく構築し、やりきった映画だと思います。

「アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち」73点★★★★


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実家に向かって不機嫌そうに車を走らせる
リン(エレン・バーキン)。

リンは離婚後、別々に暮らしていた
長男の結婚式に呼ばれたのだ。

車には
エキセントリックな次男(エズラ・ミラー)と
軽い自閉症の三男(ダニエル・イェルスキー)が同乗。

精神的に不安定な長女(ケイト・ボワース)は
遅れてやってくるという。

しかし
ようやくたどり着いた実家で
リンは実の母親や親戚らにイヤミを言われ、うんざり。

さらに元夫(トーマス・ヘイデン・チャーチ)の妻(デミ・ムーア)
ドヤ顔にもうんざりだ。

果たして結婚式は無事に終わるのか--?!

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まあ
結婚式にかこつけた親戚の集まりなんて、
ろくなもんじゃないという見本すね。

大・大共感!(笑)

母は精神的に不安定、その子どもは
ドラッグ中毒に、自傷行為、自閉症・・・。

あまりに問題ありすぎな主人公一家は
最初はさすがに「困ったもんだ」と観客を苦らせる。


いつも自分が“中心”で
些細なことでも大騒ぎにする
困った母親(エレン・バーキン)の描写も
かなり痛々しく
見ていてキツいところもある。


でも、だんだん
“正常な側”としている人々の
無神経さや思いやりのなさに
「いや、まてよ?」
「やっぱりこっちの味方!」と反転してしまう。

そんな翻弄がうまく、気持ちいいんですね。


演出も気が利いていて
話題の合間に、閑話休題的にはさまる
子どもたち自作の「ドキュメンタリービデオ」が効果的だし

久し振りに一族が集まったのに
夕飯はケンタッキーだったり(笑)

そうしたさりげない部分に「田舎度」や
無意識の“無神経さ”がうまく出ていました。

1985年生まれのサム・レヴィンソン監督は「バンディッツ」のバリー・レヴィンソン監督の息子。

さすがというか
まあ、よくもこんなに豪華キャストを
上手に動かしたね!という。


「少年は残酷な弓を射る」では
耽美すぎて苦手だったエズラ・ミラーですが
この映画では、そんなキャラをうまく生かしているし、

あとデミ・ムーアは見どころですね。

かなり痩せたし
最強な「どや顔」「オラオラ」全開!

劇中で言われる「闘犬みたいな女」は
アハハ、言い得て妙にすぎる!(笑)


★12/1(土)からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開。

「アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち」公式サイト

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