ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

世界で一番しあわせな食堂

2021-02-20 14:22:25 | さ行

なあんて、気持ちがいいんだろう。

 

「世界で一番しあわせな食堂」74点★★★★

 

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フィンランド北部・ラップランド地方の小さな村に

バスでやってきた親子。

 

寡黙な中国人チェン(チュー・パック・ホング)と

幼い息子のニュニョ(ルーカス・スアン)。

 

二人はバス停前の食堂に入り

食堂で働くシルカ(アンナ=マイヤ・トゥオッコ)や客に

たどたどしい言葉で

「ある人物の居場所を知らないか?」と問いかける。

しかし誰もその人も、その場所も知らないようだ。

 

困った様子の父子にシルカは

空いている部屋を宿として提供する。

 

翌日も食堂にやってくる客に聞き込みを続けるチェン。

 

そのとき、食堂に観光バスで

中国人の団体客がやってきて

メニューに不満を言い出す。

 

すると

チェンが「私に任せてもらえませんか」と

立ち上がった――。

 

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青い空と緑の大地を舞台に

なんともいえず、気持ちがふわっと、ほっこりする映画です。

 

市井の人々へのまなざしや愛は

弟アキ・カウリスマキ監督と通じるけど

 

よりゆったりとした空気、包容力、

シンプルかつ素直なやさしさが、ある気がいたしました。

 

 

ぶっきらぼうで、でも知り合うと優しく情に厚い

フィンランドのおっさんたち。

彼らのたまり場である食堂を切り盛りする

まだ若く美人で、でもちょっと事情ありそうなヒロイン。

そこにやってくる中国人の親子。

 

異国で困っている彼らに

ヒロインはごく自然に手を差し伸べ、

 

助けられた父チェンは

逆に困ったヒロインを、ある技能で助ける。

 

ある技能とは、ずばり「料理」。

チェンは有名なシェフだったのですね。

 

実際、コロナ前のラップランドには

中国人観光客が殺到するようになっていたそうで

監督が実際目にしたそんな風景が

創作のヒントになっているらしい。

 

チェンが地元のスーパーで

中国料理に使えそうな食材を集めて

工夫して料理を作るところとか

すごくおもしろいし、まあなんとも美味しそう!

 

ゆでたソーセージとジャガイモくらいしか出せなかったヒロインも

チェンとの交流で

食の大切さと滋養を体験してゆくのです。

 

ラップランドの自然と中国の料理が

体の内外に染み渡って

あ~癒やされた~。

 

★2/19(金)から新宿ピカデリー、渋谷シネクイントほか全国順次公開。

「世界で一番しあわせな食堂」公式サイト


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