ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

僕たちは希望という名の列車に乗った

2019-05-14 23:37:12 | は行

若者たちのまっすぐな瞳が、

いまの世の我々を射抜くのです。

 

「僕たちは希望という名の列車に乗った」72点★★★★

 

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1956年、ベルリンの壁が建設される5年前の東ドイツ。

 

東西冷戦下、ソ連軍が駐留する重苦しい社会のなか、

高校の同級生である

労働者階級のテオ(レオナルド・シャイヒャー)と

エリート一家に生まれたクルト(トム・グラメンツ)は

育つ環境は違うものの、固い友情で結ばれていた。

 

あるとき二人は

自国・東ドイツと同じくソ連の影響下におかれたハンガリーで

民衆が自由を求めて蜂起し、

多くの市民が亡くなったことを知る。

 

クルトは高校の教室で仲間たちに

「ハンガリーのために黙祷しよう」と提案し、クラスメイトたちも賛同した。

 

が、そのことが

「国家への反逆」とされ、クルトやテオたちは

厳しい尋問を受けることになる――。

 

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1956年、ベルリンの壁が作られる5年前の東ドイツで

ある行為から「国家に反逆した」とされた

高校生たちの運命を描いた作品。

 

なんと実話が基なんですね。

 

授業前に、ハンガリー蜂起での犠牲者へ黙祷をした高校生たち。

ごく自然に、思いに従って行動した彼らは

しかし「国家への反逆」を問われ、

首謀者を炙り出そうとする大臣の、執拗な圧迫尋問を受けることになる。

 

 

仲間を裏切り、安寧を手にしても、その事実を背負って後の人生を生きるのか。

あるいは信念を貫き、これからの人生を棒に振るのか。

 

 

10代の未来ある若者たちは

あまりに重い選択を迫られるのです。

 

観る我々は

国家の非道に怒髪天を突きながら

彼らの選択の行方をハラハラ見守ることになるわけで。

 

 

国家、そして己と闘った彼らの姿は

圧政の世で、声を上げることにいかなる勇気が必要か、

しかし、それには、ときに大きな犠牲がつきまとうことを

教えてくれている。

 

63年も前の話ですが、いまの世に十分通じてると感じるところが

また恐ろしい。

 

若者たちのまっすぐな瞳は

いまの世を生きる、我々をも射抜いてくるのです。

 

★5/17(金)からBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開。

「僕たちは希望という名の列車に乗った」公式サイト


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