ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

偉大なるマルグリット

2016-02-25 23:26:45 | あ行

事前に映画宣伝会社の方から
「本人が歌っているYouTubeがあります」と聞いて
見ておいて、とてもよかったと思った。


「偉大なるマルグリット」69点★★★☆


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1920年、フランス郊外の邸宅に暮らす
裕福な男爵夫人マルグリット(カトリーヌ・フロ)は

オペラが大好きで
自宅サロンでリサイタルをするのが趣味。

が、誰も指摘できないでいたが
マルグリットはものすごい音痴だった――!

そんなマルグリットが
「音楽会で歌ってほしい」という誘いを受けるのだが――?!


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アメリカに実在した
フローレンス・フォスター・ジェンキンズという女性を
モデルにしたフランス映画です。

事前に映画宣伝会社の方から
「本人が歌っているYouTube」の存在を聞き、事前に聞いておいたのが
すごくよかった。

本家のその音を聞いても
最初はその破壊力に、確かに笑ってしまうんです。
しかし、そのインパクトが次第にリスペクトへと変わっていくような
なんだか、爽快な気分になる不思議がある。


そして、その感覚が
そのまんま、映画に表現されていたと思います。


それに、モデルはいても
本作はあくまでも「マルグリット」という人物を監督が造形して描いたもの。

だから、厳密にモデルと同じ人ではないんだけれど
歌は、なるほどYouTubeのそれにちゃんと似せてあって
その不思議な歌声の威力、破壊力
ぶっ飛んだパワーがよくわかる。


ともすれば「音痴」を揶揄することに落ちそうですが
そこもうまく回避しているし

彼女の歌声を最初に発見する新聞記者が
適切でうまい批評を書くくだりもいい。
批評する人間の“役割”と、悪意ではないその姿勢が、現れていると感じました。

さらにマルグリットのいた時代背景に
ダダイズムなど前衛芸術があった、という描写も
納得いくものでした。


ただね、想像では
ハート・ウォーミングな “いい話”なのかなと思ってたんですわ。
でも
そういう方向を完全に拒否している点がフランス風というか(笑)。

時間もちょっと長かったな。


でも
おなじみ『週刊朝日』の「ツウの一見」で
オペラ歌手の鈴木慶江さんにお話を伺いまして(美人!
とても興味深かったのですが

オペラを知る人にとっては
この作品は「マルグリット」という“オペラ”として
作られていることが明確で
一幕、二幕、という展開の仕方も
あのラストも「オペラ的」なのだそう。

オペラ音痴にはそこまでわからなかったので
そう思うと、うん!より見ごたえが出てきました。

ちなみに。
ハリウッドでも
フローレンス・フォスター・ジェンキンズの伝記映画が制作されていたそうで
主演はメリル・ストリープだそう。
うーん、彼女だとちょっと重いかな・・・(すみません。笑)

そして本作のカトリーヌ・フロって、
キムラ緑子さんに似てる、とすごく思いました(笑)


★2/27(土)からシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。

「偉大なるマルグリット」公式サイト

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