ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

追憶の森

2016-04-27 23:58:39 | た行


ガス・ヴァン・サントも
けっこうカメレオン監督。

“繊細さ”は
共通もしてるけどね。


「追憶の森」60点★★★☆


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大学で物理を教える
非常勤講師アーサー(マシュー・マコノヒー)は
アメリカから日本にやってきた。

彼が向かったのは
富士山のふもとに広がる青木ヶ原の樹海。

自殺の名所として知られるこの場所に
なぜ、彼はやってきたのか・・・?!


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日本の樹海に死に場所を求めてやってきた
アメリカ人(マシュー・マコノヒー)が
鬱蒼とした森のなかで
同じような立場の日本人(渡辺謙)に出会い、

ともに樹海をさまよう・・・という展開。


ざっとしたあらすじから想像するものを
まったく裏切らないけど

その分、
想定を超えてもこないのが残念。


なぜ、わざわざアメリカから樹海に?!と思うけど
ネットでは有名な「死に場所」らしいですね。

マシュー・マコノヒーと日本、という
結びつきは嬉しくもあるし
(いや、実際に樹海には入ってないだろうけど)
渡辺謙さんとの絡みも嬉しいし、

森のなかの光りの淡さ、美しさ、人の心の繊細さに
ガス・ヴァン・サント印を感じもします。


でもやっぱり
おっさん二人が樹海をさまよい、
その合間に、マコノヒーが
「なぜ死のうと思ったか」を回想するシーンが挟まる、という構成は
あまりに定石すぎるというか。

うまくいかなかった夫婦生活、そして
失ってから大切なものに気づくオレ!――というのは、もう、ねえ。
(遅いっつの!笑)

ただ、マコノヒーと妻役ナオミ・ワッツの
冷えた夫婦のトゲトゲした会話や
ささくれ立つ気持ちを抑えられずに
相手にケンカをふっかけてしまう様子などは

どんなカップルでも
多少は「覚えあり」なものだと思う。

とにかく嫌になるほど、そこがリアルでした。


★4/29(金)から全国で公開。

「追憶の森」公式サイト
コメント (4)
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