ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ゼロ・ダーク・サーティー

2013-02-10 22:53:06 | さ行

2時間38分、退屈なし!
長尺では珍しい(笑)

「ゼロ・ダーク・サーティ」76点★★★★

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2003年。

CIAのパキスタン支局に
情報分析官マヤ(ジェシカ・チャステイン)が配属される。

若く天才肌の彼女は
9.11以後、姿をくらましているビンラディンの行方を追うために
派遣されたのだ。

膨大な情報と映像を分析したマヤは
ビンラディンの部下と思われる男を見つけ出すが、

なかなか真相にたどり着くことができない。

1年、3年・・・と、時間ばかりが過ぎ、
その間、相次ぐテロや襲撃の恐怖にさらされ
次第にマヤや仲間たちも疲弊していく――。

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「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー監督が
ビンラディンを追い詰めた実在のCIA女性分析官を描いた作品。


小柄で華奢で、
しかし冷血そうで粘り強い女主人公は
まさに米犯罪ミステリーのヒロインのよう。

で、ワクワクするんですが
サスペンスフルな盛り上げや展開などは皆無。

本作は
人物の背景や感情描写などをほとんど排除し、
徹底して「起こったこと」を冷徹に描いていきます。


まず、テロや事件の実際の映像が使われ、
その検証をドラマで再現していくような感じ。

そうやって
9.11からビンラディンが発見されるまでの
10年間を組み立てていくことで

主人公の不屈の執念と、
ニュースに隠れた「現実」をあぶり出そうという試みでしょう。


ホントに主人公マヤを見ていると

「地道な努力と執念こそが、
何かを成し遂げさせ、結実させるのだ――」とつくづく感じ入ります。


ビンラディン確保の際の
容赦のない作戦展開なども描かれるので

決して「アメリカすごい!万歳!」目的の映画ではなく
自分たちも状況によって
非情で非人道的なふるまいをするのだ、と明らかにしている。

そうした“引いた視線”がフェアでいいと思います。


と、まあマヤの努力と執念は
結果をもたらすわけですが、

しかしラスト
「本当に彼だったのか?」と、
疑問を残しているように番長は感じました。
どうでしょう。

ぜひ、見てご判断ください。


★2/15(金)から全国で公開。

「ゼロ・ダーク・サーティー」公式サイト
コメント (2)
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