ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

エンド・オブ・ザ・ワールド

2013-01-18 21:25:12 | あ行

穏やかで気持ちが優しくなる
不思議な終末系ディザスター・ムービー。


「エンド・オブ・ザ・ワールド」72点★★★★


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小惑星衝突が3週間後に迫った地球。

人類滅亡は免れない状況のなか、
世間の人々は「最後」を考え、行動を始めていた。

そのなかで
サエない中年男ドッジ(スティーヴ・カレル)は
妻に出て行かれ、ひとりぼっち。

捨てられた犬を拾い二人で最後のときを過ごそうかというとき、
隣人の若い女性(キーラ・ナイトレイ)に出会う――。

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「エターナル・サンシャイン」のプロデューサー×
78年生まれの女性監督のデビュー作。

ディザスターもの、特に「世界の終わり」系が好みの番長も
「こういうのありだな、好きだな」とほわんと浸れました。

スティーヴ・カレル演じる主人公の抑えたキャラと
周りの優しい人々のトーンで

全編、慌てず騒がず
ほの可笑しいユーモアで静かに進行する。


どうせ地球が終わるのにジムで走ったり、
きまじめに会社に行く主人公がおかしいし、

しかし会社の人はほとんど逃げ出しており
残った人々に「誰かCEOにならんか」とお誘いがかかるのも笑った(笑)

そんなのほんとしたユーモアが全編を覆っていて

しかも、出てる人もみな決して厭世的ではなく、
ある種の「達観」?「ふっきれた感」なんでしょうか
なんだかすがすがしく、明るく、素直に振る舞うんですねえ。

そこがいい。

不穏で不安な世の中で
「ああこんな終わりは悪くない」と気持ちが温まりました。


「終わり」が見えてる状況のなか
人と人の出会いや会話が、
普段よりも切なさや、重みを持ってくるわけで、

そんなところも自然に描けていました。

穏やかな日射しのなか
海岸に人々が三々五々集まってくる、
なんでもなさそうなシーンに泣けてきたもん。

そうそう
実にいい演技のわんこは
元シェルター犬だそうです。グッジョブ!


★1/18(金)から公開。

「エンド・オブ・ザ・ワールド」公式サイト
コメント
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