穏やかで気持ちが優しくなる
不思議な終末系ディザスター・ムービー。
「エンド・オブ・ザ・ワールド」72点★★★★
*************************
小惑星衝突が3週間後に迫った地球。
人類滅亡は免れない状況のなか、
世間の人々は「最後」を考え、行動を始めていた。
そのなかで
サエない中年男ドッジ(スティーヴ・カレル)は
妻に出て行かれ、ひとりぼっち。
捨てられた犬を拾い二人で最後のときを過ごそうかというとき、
隣人の若い女性(キーラ・ナイトレイ)に出会う――。
*************************
「エターナル・サンシャイン」のプロデューサー×
78年生まれの女性監督のデビュー作。
ディザスターもの、特に「世界の終わり」系が好みの番長も
「こういうのありだな、好きだな」とほわんと浸れました。
スティーヴ・カレル演じる主人公の抑えたキャラと
周りの優しい人々のトーンで
全編、慌てず騒がず
ほの可笑しいユーモアで静かに進行する。
どうせ地球が終わるのにジムで走ったり、
きまじめに会社に行く主人公がおかしいし、
しかし会社の人はほとんど逃げ出しており
残った人々に「誰かCEOにならんか」とお誘いがかかるのも笑った(笑)
そんなのほんとしたユーモアが全編を覆っていて
しかも、出てる人もみな決して厭世的ではなく、
ある種の「達観」?「ふっきれた感」なんでしょうか
なんだかすがすがしく、明るく、素直に振る舞うんですねえ。
そこがいい。
不穏で不安な世の中で
「ああこんな終わりは悪くない」と気持ちが温まりました。
「終わり」が見えてる状況のなか
人と人の出会いや会話が、
普段よりも切なさや、重みを持ってくるわけで、
そんなところも自然に描けていました。
穏やかな日射しのなか
海岸に人々が三々五々集まってくる、
なんでもなさそうなシーンに泣けてきたもん。
そうそう
実にいい演技のわんこは
元シェルター犬だそうです。グッジョブ!
★1/18(金)から公開。
「エンド・オブ・ザ・ワールド」公式サイト