ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ブリューゲルの動く絵

2011-12-15 23:19:19 | あ行

摩訶不思議な映像体験ができます。

「ブリューゲルの動く描く絵」58点★★★


16世紀フランドル絵画の巨匠ブリューゲルが描いた
「十字架を担うキリスト」。



この絵の中に入っていき、

画家自身の案内で、
描かれた人々の生活を垣間見たり、
絵に隠された意味を知ったりする作品です。


ブリューゲルという人は
ご覧のとおり
非常に多くの登場人物を絵の中に配し、
そのひとつひとつにストーリーや謎があるような
「読み解く」愉しみのある作家だそう。

なので、こういうアプローチに
最適なのかもしれません。


有名な絵のなかに入って、
固まった人と動いている人が混在するビジュアルが
まずおもしろい。

手前にいる聖母(シャーロット・ランブリング)や
奥の風車小屋の夫婦の暮らしぶりが描かれ、

さらに
ブリューゲル役のルトガー・ハウアーが、
画家独特の遠近法などを、
絵の狙いと秘密を自ら解説してくれて、

そして次第に絵のテーマも
明らかになっていく、ということです。


なかなか興味深い映画なんですが、
ただストーリーはあるようなないような。

人々の暮らしはほぼ無声で描かれ、
初めてセリフが出てきたのは30分後だし(笑)

なんで
芸術性高いんですが、
正直、映画としては退屈かもしれない。

監督のレイ・マイェフスキ氏は
「バスキア」(95年)の脚本も手がけた人ですが

最近はビデオアーティストとして
この映画のような試みを
美術展などでインスタレーションとして発表しているそう。


確かに同じ1800円でも
入場料として払って、美術展のなかで見るほうが
しっくりくる作品かもしれません。

★12/17(土)から渋谷ユーロスペースで公開。ほか全国順次公開。

「ブリューゲルの動く絵」公式サイト
コメント
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