英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『おばさん弁護士 町田珠子』 ……蟹江さんの最後の出演作というのに

2015-02-07 22:47:51 | ドラマ・映画
「蟹江さんの最後の出演のドラマじゃなかったら、最後まで観なかった」
と全国各地で呟かれたのではないだろうか……


 詳しく語る気が起きない残念な出来だったが、忘備録として書き留めておかなければと思った次第。


事件の背景を要約すると
 母が姉の茜だけを溺愛していたが、その姉が亡くなっても、母は悲しむばかり。それどころか、ペットの犬を茜と名付け、茜の代わりに溺愛し、母の愛が全く自分に向けられることがない葵。
 一方、息子を溺愛し、一流大学に進学させることが生きがいで、その思いが強すぎて、有名大学の理事長の不正経理をネタに裏口入学を強要した母をもつ夏彦。
 葵の母の目を覚まさせるため、ふたりは犬を誘拐を計画、実行した(葵が裏口入学をネタに、夏彦を脅し誘拐を強要したというのも驚きというか、呆れたが)。

 誘拐の被告の弁護かと張り切ったが“おばさん弁護士”だったが、実は犬の誘拐であり、その際に葵の母親がナイフで切られたという傷害事件だった。しかも、ナイフを所持していたのは母親の方で、「起訴取り下げ」?になった…………すったもんだのゴタゴタの挙句、葵の父が殺害されてしまった(葵の母親が犯人)……………


①このおばさん弁護士にまったく共感できない
 一念発起して弁護士になったのは凄いが、実際に弁護の依頼は全くない。今回、大事件の弁護の依頼と張り切るが、犬の誘拐だったことにがっかりし、“しょうもない案件”だから断ろうかとかグダグダ言う。
 引き受けたのなら責任もつべきであるし、選り好み出来る立場なのだろうか?どうせ暇なのに。
 しかも、事件の詳細な情報は、息子の嫁の敏腕検事から聞いたもの。

②葵は自然消滅?
 夏彦を脅して計画に加担させたのはいただけないが、まったく母親に見向いてもらえなかった可哀そうな身の上。(それにしても、なぜ、愛されなかったのかな?)
 その上、おばさん弁護士が真相をつかむと、全く登場させてもらえなかった。父が母に殺され、一気に親無し状態になったというのに。(この殺害の動機も、夫が不正経理を公表しようとしたのを、娘の将来に傷がつくからというもの。あれだけ、娘を無視し続けたのに、そんな動機で夫を殺害するモノなのか?)
 母親の愛が向けられないどころか、おばさん弁護士の愛も、脚本家の愛も得られなかった可哀そうな少女だった。
 ちなみに、葵を演じた松本来夢は、今週の『相棒』に登場した双子の少女時代を演じた。

③ビンタされた気の毒な夏彦
 裏口入学までさせるという誤った母の愛。(実は、DV夫も自殺に見せかけて殺害していた) 
 母の願望に応え続けていた夏彦だが、ついに切れる。
「もううんざりなんだよ、母さんの引いたレール乗って生きていくのは。
 母さんの力なんか必要ないんだよ。頼むから、僕の前からいなくなってくれよ!」
『バシッ』(“ビンタ”と言うより、“張り倒し”)
「甘えないで。一人で生きてきたような顔をしないで。
 お母さんはね、ずっとあなたの事だけを考えて生きてきたのよ」
「そんなの分かってるよ」
「分かってないぃっ!」

 いや、あんたも分かってないよ。ほんの少し親子に関わっただけなのに。長い間、息子は母によく応えてきたと思うよ。母親の不正をネタに脅されて、誘拐に加担させられて、逮捕までされたというのに。
 親の引いたレールを押し付けるのは、間違っているし、DVから守ったことを引き合いに出して説教したが、だからと言って、殺人を犯してしまったことを擁護してはいけないだろうと思っていたら、なんと!
「安心して。公表するつもりはないから。
 私は“ただのおばさん”だけど、弁護士だから。
 “弁護士の仕事は罪を暴くことじゃない”って、あたしは信じているから」

 え~っ!殺人を見逃すのぉ!法に携わる弁護士としても、人としてもダメだろう!


④美波の敏腕検事はミスキャスト
 敏腕検事で、帰国子女らしい合理主義者という役だが、キャラ的に無理を感じた。
 だいたい、帰国子女=合理主義という図式だが、「単に思いやりのない自分本位」に思えた嫌な女性としか思えなかった。
 最後に反省して、町田家伝承のカレーを披露したが、とんでもない殺傷能力を持った味を製造してしまい。自らその餌食になってしまうというオチで謝罪した?


 蟹江さんのコクのある演技だけが光った残念なドラマだった。

【ストーリー】番組サイトより
 東京拘置所の目の前にある喫茶「夢の木」で働くのは町田珠子(岸本加世子)と店長の石橋大介(蟹江敬三)。この喫茶店に訪れる客は拘置所に来た面会人、老夫婦、金融業者などさまざま。この店の奥に目を向けると手作り感満載の看板がぶら下がっていた。そこには「町田珠子法律事務所」の文字が。町田珠子はれっきとした新人おばさん弁護士だった。しかし珠子への弁護依頼は全く来ず…。弁護士になったことを後悔する珠子。

 しかし、そんな珠子にも笑顔が戻ることに。弁護依頼がきたのだ。依頼人は清川涼子(美保純)。息子の清川夏彦(泉澤祐希)が女児誘拐で現行犯逮捕されたというのだ。しかもこの事件はマスコミを大きく騒がせた「葵ちゃん誘拐事件」。名門の東都医大生の夏彦が自分の通う学校の理事長の娘を誘拐した事件。信じられない珠子は即答で引き受けると、早速料理学校で教師をしている息子の泰史(山口翔悟)と嫁で検事の春香(美波)に弁護依頼がきたことを報告する。春香は新人弁護士に世間を騒がせた大きな事件の弁護依頼が来るなんて何か裏があるのではと怪しむ。

 珠子は早速事件の調査を進めるために担当刑事のもとへ。そこで説明を受けた珠子は、きょとんとする。何と夏彦が誘拐したのは結城葵(松本来夢)ではなくペットの愛犬・茜ちゃんだというのだ。さらには葵の母・結城佳苗(星ようこ)に身代金を受け取る際にナイフでけがを負わせ、殺人未遂で起訴された。珠子は夏彦に話を聞きに拘置所へ。

 そこで夏彦は「全ては裁判で明らかにする」と真相を語ろうとしない…。夏彦の非協力的な態度が何人もの弁護士がさじを投げた理由だった。

 戸惑う珠子に春香から連絡が入る。何と検察側が殺人未遂の疑いを取り下げたため夏彦が罪に問われなくなったのだ。ふに落ちない珠子は葵のもとへと向かったのだが

脚本:坂口理子
監督:本木克英

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