王将戦挑戦者決定リーグは毎年、最強リーグだと感じていたが、今期は史上最強リーグではなかろうか?
リーグ残留組が、前王将でリーグ1位扱いの渡辺棋王、2位羽生名人、3位佐藤九段、4位深浦九段の4名。
予選勝ち上がりが、○糸谷竜王-三浦九段、○森内九段-屋敷九段、○久保九段-豊島七段の3名。
「A級棋士6名+竜王」で、しかも、名人・王位・王座・棋聖の羽生四冠、渡辺棋王と、6タイトルが集結。
あれ、王将がないぞと思ったら、郷田王将への挑戦者決定リーグであった。
ちなみに、昨期のメンバーは羽生名人、佐藤九段、郷田九段、深浦九段、屋敷九段、三浦九段、豊島七段(タイトル、段位は当時のモノ)で、郷田九段が羽生名人とのプレーオフを制して挑戦権を獲得、渡辺王将を破って王将位に就いている。リーグ陥落は、予選勝ち上がりの3名。この3名も名だたるメンバーで、彼らが跳ね返されてしまうとはなんと恐ろしいリーグ戦か。ただ、三浦九段は3勝3敗の頭ハネ、屋敷九段、豊島七段も2勝4敗、プレーオフの羽生名人、郷田九段も4勝2敗と大激戦であった。
最強リーグ戦だが、少し残念なのは、足早に対局が消化されてしまうのが残念。
竜王戦、順位戦、棋王戦トーナメントなどの他棋戦の日程の合間を縫って対局が組まれているような気がする。羽生ファンだから言うのではないが、羽生名人の3回戦(対深浦九段)は10月29日に行われたが、その前日に棋王戦トーナメント準々決勝(対阿部健治郎五段)、三日前に王座戦第五局(対佐藤天彦八段・於山梨)が行われていた。王座戦は決着局の大一番で移動日もある。かなり酷い日程だ。
さらに、対局消化具合も棋士によって偏りがあるのも問題である。その点については、今期リーグ戦を振り返る際に言及してみよう。
羽生名人の過酷日程の対深浦九段戦が終了した時点で、3回戦までが終了。
1.渡辺棋王 ●糸谷 ●深浦 ●久保 森内 佐藤 --- 羽生
2.羽生名人 ○佐藤 ●糸谷 ○深浦 久保 --- 森内 渡辺
3.佐藤九段 ●羽生 ●久保 ●森内 --- 渡辺 深浦 糸谷
4.深浦九段 --- ○渡辺 ●羽生 糸谷 久保 佐藤 森内
5.糸谷竜王 ○渡辺 ○羽生 --- 深浦 森内 久保 佐藤
5.森内九段 ●久保 --- ○佐藤 渡辺 糸谷 羽生 深浦
5.久保九段 ○森内 ○佐藤 ○渡辺 羽生 深浦 糸谷 ---
渡辺棋王と佐藤九段の3連敗は意外だが、これだけのメンバーなので3連敗の可能性は誰にでもあるし、6連敗しても不思議ではない。
この両氏以外の5名は1敗以内なので、挑戦権の可能性がある。やはり目を引くのは2連勝の糸谷竜王と3連勝の久保九段。糸谷竜王は渡辺棋王(竜王挑戦者でもある)、羽生名人の難敵を連破し、挑戦権親と感じさせた。ただ、残るメンバーも強敵なので一筋縄では行かないだろう。
久保九段の3連勝は、正直、予想していなかった。まだ、3局(当然、強敵)残しているので、すんなり突っ走るとは思えないが、2勝1敗で乗り切ることができれば、同率首位以上の可能性は大きい。久保九段が5勝1敗で終えれば、1勝1敗の深浦九段、森内九段は残りを4連勝、2勝1敗の羽生名人も3連勝しないと久保九段に並べない。また、糸谷竜王にしても、残り3勝1敗が必要となる。やはり3連勝というのは大きい。
それでも、渡辺棋王、佐藤九段も3連敗とは言え、強敵であるのは間違いなく、最強メンバー同士での星のつぶし合いが考えられ、最後まで大激戦の予感がした。
羽生名人-深浦九段戦(10月29日)以降、しばらく、リーグ戦は消化されなかったが、11月9日から急ピッチで4回戦、5回戦が行われた。
11月9日、糸谷竜王(2勝0敗)-深浦九段(1勝1敗)、羽生名人(2勝1敗)-久保九段(3勝0敗)戦
成績上位者同士の対局だったが、深浦九段と羽生名人が勝ち、糸谷竜王と久保九段に土がついた。
この結果、羽生名人と久保九段が3勝1敗、糸谷竜王と深浦九段が2勝1敗となり、1勝1敗の森内九段を合わせると、5人が1敗で並ぶ大混戦となった。ただ、この時点で、羽生名人、久保九段が4局消化しているのに対して、森内九段は2局と消化具合に偏りがある。リーグが7人と奇数なので、消化数がそろわないのは仕方がないが、2局差がつくのは改良してほしい。
11月12日、渡辺棋王(0勝3敗)-佐藤九段(1勝1敗)、深浦九段(2勝1敗)-久保九段(3勝1敗)戦
3連敗同士の1局は渡辺棋王が勝ち、残留に望みをつないだ。敗れた佐藤九段は4連敗。これで陥落決定かと思われたが、首の皮1枚希望が残っているらしい。
1敗同士の1局は、久保九段が勝ち挑戦権争いで1歩リード。
久保九段4勝1敗、深浦九段2勝2敗、渡辺棋王1勝3敗、佐藤九段0勝4敗。
深浦九段が2敗となり1歩後退。1敗は久保九段(4勝1敗)、羽生名人(3勝1敗)、糸谷竜王(2勝1敗)、森内九段(1勝1敗)の4人。
この時点で、消化対局数は久保九段の5局に対し、森内九段は2局のみと、差が3局となってしまった。
11月13日、糸谷竜王(2勝1敗)-森内九段(1勝1敗)戦
1敗同士の対決は、糸谷竜王が逆転勝ち1敗を死守、森内九段は2敗に後退した。
11月13日時点のリーグ状況
1.渡辺棋王 ●糸谷 ●深浦 ●久保 森内 ○佐藤 --- 羽生
2.羽生名人 ○佐藤 ●糸谷 ○深浦 ○久保 --- 森内 渡辺
3.佐藤九段 ●羽生 ●久保 ●森内 --- ●渡辺 深浦 糸谷
4.深浦九段 --- ○渡辺 ●羽生 ○糸谷 ●久保 佐藤 森内
5.糸谷竜王 ○渡辺 ○羽生 --- ●深浦 ○森内 久保 佐藤
5.森内九段 ●久保 --- ○佐藤 渡辺 ●糸谷 羽生 深浦
5.久保九段 ○森内 ○佐藤 ○渡辺 ●羽生 ○深浦 糸谷 ---
4回戦の渡辺竜王-森内九段戦が未消化。竜王位で決戦中の糸谷竜王と渡辺棋王がリーグメンバーなので、調整が難しいのかもしれない。でも、こういった現象(回戦順に消化しない)は、例年も見られたような記憶がある。
この後、星の潰し合いで4勝2敗で同率プレーオフの可能性もある(昨年度は5勝1敗はおらず。4勝2敗でさえ2名しかいなかった)と考えると、1敗の羽生名人、糸谷竜王、久保九段、2敗の深浦九段、森内九段(1勝2敗ではあるが)までが可能性を残している。
11月16日、渡辺棋王(1勝3敗)-森内九段(1勝2敗)、久保九段(4勝1敗)-糸谷竜王(3勝1敗)戦
消化が遅れていた渡辺-森内戦が行われるのは良いとして、このタイミングで首位争いの久保-糸谷戦を行うのはどうなのか?(渡辺棋王、糸谷竜王は竜王戦の最中なので、同じ日に同じ棋戦の対局をつけるのは公平であるとはいえるが)
森内九段が勝ち2敗で踏みとどまったが、1敗決戦で久保九段が勝ち、5勝1敗で日程を終えてしまった為(久保九段は最終局が空き番)、2敗者は挑戦の可能性がなくなった。
敗れた渡辺棋王は1勝4敗、糸谷竜王は3勝2敗となった。
個人的感想だが、竜王戦第4局を控えた両者がともに敗れたのは残念。この対局は第4局の3日前。手の内を見せたくないという駆け引きもあるが、このタイミングでこの2局を組み込むことに問題があるように思える。
11月16日時点のリーグ状況
1.渡辺棋王 ●糸谷 ●深浦 ●久保 ●森内 ○佐藤 --- 羽生
2.羽生名人 ○佐藤 ●糸谷 ○深浦 ○久保 --- 森内 渡辺
3.佐藤九段 ●羽生 ●久保 ●森内 --- ●渡辺 深浦 糸谷
4.深浦九段 --- ○渡辺 ●羽生 ○糸谷 ●久保 佐藤 森内
5.糸谷竜王 ○渡辺 ○羽生 --- ●深浦 ○森内 ●久保 佐藤
5.森内九段 ●久保 --- ○佐藤 ○渡辺 ●糸谷 羽生 深浦
5.久保九段 ○森内 ○佐藤 ○渡辺 ●羽生 ○深浦 ○糸谷 ---
この時点で、挑戦権は久保九段と羽生名人に絞られた。
羽生名人は、対森内九段戦、対渡辺棋王戦に連勝しなければプレーオフに持ち込めない。
生涯勝率7割2分を超える羽生名人。羽生名人はその対局相手のほとんどが一線級であり、それを踏まえた上で、この数字を考えると驚異的勝率といえる。A級もしくはB級1組相手に7割を超える勝率なのである。
しかし、残り2棋士が、よりによって、森内九段(対勝率.561)と渡辺棋王(対勝率.477)とは。単純に連勝する確率を計算すると、26.8%となる。ただ、ここ数年A級順位戦で見せた驚異的な強さ、9戦全勝か8勝1敗、勝率9割以上を考えると、王将位への挑戦も期待を持っても良いのではないだろうか?
私が問題にしたいのは、今期成績上位で最終局空き番の久保九段の6回戦(久保九段にとっては最終局)を、6回戦の最初に消化してしまったこと。
先にも書いたが、これにより、5局残しているにもかかわらず、2敗者の挑戦権獲得の可能性がなくなってしまった。さらに、6回戦で羽生名人が森内九段に敗れると、最終局3局は挑戦権に関しては全くの消化試合になってしまうのである。まあ、これは、最終局空き番の棋士が1敗、あるいは全勝で走れば、避けられない事態ではあるが。
11月17日、佐藤九段(0勝4敗)-深浦九段(2勝2敗)戦
佐藤九段が勝ち、今期リーグ戦、初白星を上げた。
11月20日(本日)、森内九段(2勝2敗)-羽生名人(3勝1敗)戦
羽生名人が勝ち、4勝1敗として挑戦権の行方を最終局に持ち込んだ。森内九段は2勝3敗となった。
11月20日、6回戦終了時点のリーグ状況
1.渡辺棋王 ●糸谷 ●深浦 ●久保 ●森内 ○佐藤 --- 羽生
2.羽生名人 ○佐藤 ●糸谷 ○深浦 ○久保 --- ○森内 渡辺
3.佐藤九段 ●羽生 ●久保 ●森内 --- ●渡辺 ○深浦 糸谷
4.深浦九段 --- ○渡辺 ●羽生 ○糸谷 ●久保 ●佐藤 森内
5.糸谷竜王 ○渡辺 ○羽生 --- ●深浦 ○森内 ●久保 佐藤
5.森内九段 ●久保 --- ○佐藤 ○渡辺 ●糸谷 ●羽生 深浦
5.久保九段 ○森内 ○佐藤 ○渡辺 ●羽生 ○深浦 ○糸谷 ---
挑戦権は最終局で羽生名人が勝つと、羽生名人-久保九段でプレーオフ。
糸谷竜王は残留が確定、渡辺棋王と佐藤九段は陥落が決定している。
深浦九段-森内九段は残留を懸けた大一番。勝てば残留、負ければ陥落。
最終局は11月25日に一斉対局。
リーグ残留組が、前王将でリーグ1位扱いの渡辺棋王、2位羽生名人、3位佐藤九段、4位深浦九段の4名。
予選勝ち上がりが、○糸谷竜王-三浦九段、○森内九段-屋敷九段、○久保九段-豊島七段の3名。
「A級棋士6名+竜王」で、しかも、名人・王位・王座・棋聖の羽生四冠、渡辺棋王と、6タイトルが集結。
あれ、王将がないぞと思ったら、郷田王将への挑戦者決定リーグであった。
ちなみに、昨期のメンバーは羽生名人、佐藤九段、郷田九段、深浦九段、屋敷九段、三浦九段、豊島七段(タイトル、段位は当時のモノ)で、郷田九段が羽生名人とのプレーオフを制して挑戦権を獲得、渡辺王将を破って王将位に就いている。リーグ陥落は、予選勝ち上がりの3名。この3名も名だたるメンバーで、彼らが跳ね返されてしまうとはなんと恐ろしいリーグ戦か。ただ、三浦九段は3勝3敗の頭ハネ、屋敷九段、豊島七段も2勝4敗、プレーオフの羽生名人、郷田九段も4勝2敗と大激戦であった。
最強リーグ戦だが、少し残念なのは、足早に対局が消化されてしまうのが残念。
竜王戦、順位戦、棋王戦トーナメントなどの他棋戦の日程の合間を縫って対局が組まれているような気がする。羽生ファンだから言うのではないが、羽生名人の3回戦(対深浦九段)は10月29日に行われたが、その前日に棋王戦トーナメント準々決勝(対阿部健治郎五段)、三日前に王座戦第五局(対佐藤天彦八段・於山梨)が行われていた。王座戦は決着局の大一番で移動日もある。かなり酷い日程だ。
さらに、対局消化具合も棋士によって偏りがあるのも問題である。その点については、今期リーグ戦を振り返る際に言及してみよう。
羽生名人の過酷日程の対深浦九段戦が終了した時点で、3回戦までが終了。
1.渡辺棋王 ●糸谷 ●深浦 ●久保 森内 佐藤 --- 羽生
2.羽生名人 ○佐藤 ●糸谷 ○深浦 久保 --- 森内 渡辺
3.佐藤九段 ●羽生 ●久保 ●森内 --- 渡辺 深浦 糸谷
4.深浦九段 --- ○渡辺 ●羽生 糸谷 久保 佐藤 森内
5.糸谷竜王 ○渡辺 ○羽生 --- 深浦 森内 久保 佐藤
5.森内九段 ●久保 --- ○佐藤 渡辺 糸谷 羽生 深浦
5.久保九段 ○森内 ○佐藤 ○渡辺 羽生 深浦 糸谷 ---
渡辺棋王と佐藤九段の3連敗は意外だが、これだけのメンバーなので3連敗の可能性は誰にでもあるし、6連敗しても不思議ではない。
この両氏以外の5名は1敗以内なので、挑戦権の可能性がある。やはり目を引くのは2連勝の糸谷竜王と3連勝の久保九段。糸谷竜王は渡辺棋王(竜王挑戦者でもある)、羽生名人の難敵を連破し、挑戦権親と感じさせた。ただ、残るメンバーも強敵なので一筋縄では行かないだろう。
久保九段の3連勝は、正直、予想していなかった。まだ、3局(当然、強敵)残しているので、すんなり突っ走るとは思えないが、2勝1敗で乗り切ることができれば、同率首位以上の可能性は大きい。久保九段が5勝1敗で終えれば、1勝1敗の深浦九段、森内九段は残りを4連勝、2勝1敗の羽生名人も3連勝しないと久保九段に並べない。また、糸谷竜王にしても、残り3勝1敗が必要となる。やはり3連勝というのは大きい。
それでも、渡辺棋王、佐藤九段も3連敗とは言え、強敵であるのは間違いなく、最強メンバー同士での星のつぶし合いが考えられ、最後まで大激戦の予感がした。
羽生名人-深浦九段戦(10月29日)以降、しばらく、リーグ戦は消化されなかったが、11月9日から急ピッチで4回戦、5回戦が行われた。
11月9日、糸谷竜王(2勝0敗)-深浦九段(1勝1敗)、羽生名人(2勝1敗)-久保九段(3勝0敗)戦
成績上位者同士の対局だったが、深浦九段と羽生名人が勝ち、糸谷竜王と久保九段に土がついた。
この結果、羽生名人と久保九段が3勝1敗、糸谷竜王と深浦九段が2勝1敗となり、1勝1敗の森内九段を合わせると、5人が1敗で並ぶ大混戦となった。ただ、この時点で、羽生名人、久保九段が4局消化しているのに対して、森内九段は2局と消化具合に偏りがある。リーグが7人と奇数なので、消化数がそろわないのは仕方がないが、2局差がつくのは改良してほしい。
11月12日、渡辺棋王(0勝3敗)-佐藤九段(1勝1敗)、深浦九段(2勝1敗)-久保九段(3勝1敗)戦
3連敗同士の1局は渡辺棋王が勝ち、残留に望みをつないだ。敗れた佐藤九段は4連敗。これで陥落決定かと思われたが、首の皮1枚希望が残っているらしい。
1敗同士の1局は、久保九段が勝ち挑戦権争いで1歩リード。
久保九段4勝1敗、深浦九段2勝2敗、渡辺棋王1勝3敗、佐藤九段0勝4敗。
深浦九段が2敗となり1歩後退。1敗は久保九段(4勝1敗)、羽生名人(3勝1敗)、糸谷竜王(2勝1敗)、森内九段(1勝1敗)の4人。
この時点で、消化対局数は久保九段の5局に対し、森内九段は2局のみと、差が3局となってしまった。
11月13日、糸谷竜王(2勝1敗)-森内九段(1勝1敗)戦
1敗同士の対決は、糸谷竜王が逆転勝ち1敗を死守、森内九段は2敗に後退した。
11月13日時点のリーグ状況
1.渡辺棋王 ●糸谷 ●深浦 ●久保 森内 ○佐藤 --- 羽生
2.羽生名人 ○佐藤 ●糸谷 ○深浦 ○久保 --- 森内 渡辺
3.佐藤九段 ●羽生 ●久保 ●森内 --- ●渡辺 深浦 糸谷
4.深浦九段 --- ○渡辺 ●羽生 ○糸谷 ●久保 佐藤 森内
5.糸谷竜王 ○渡辺 ○羽生 --- ●深浦 ○森内 久保 佐藤
5.森内九段 ●久保 --- ○佐藤 渡辺 ●糸谷 羽生 深浦
5.久保九段 ○森内 ○佐藤 ○渡辺 ●羽生 ○深浦 糸谷 ---
4回戦の渡辺竜王-森内九段戦が未消化。竜王位で決戦中の糸谷竜王と渡辺棋王がリーグメンバーなので、調整が難しいのかもしれない。でも、こういった現象(回戦順に消化しない)は、例年も見られたような記憶がある。
この後、星の潰し合いで4勝2敗で同率プレーオフの可能性もある(昨年度は5勝1敗はおらず。4勝2敗でさえ2名しかいなかった)と考えると、1敗の羽生名人、糸谷竜王、久保九段、2敗の深浦九段、森内九段(1勝2敗ではあるが)までが可能性を残している。
11月16日、渡辺棋王(1勝3敗)-森内九段(1勝2敗)、久保九段(4勝1敗)-糸谷竜王(3勝1敗)戦
消化が遅れていた渡辺-森内戦が行われるのは良いとして、このタイミングで首位争いの久保-糸谷戦を行うのはどうなのか?(渡辺棋王、糸谷竜王は竜王戦の最中なので、同じ日に同じ棋戦の対局をつけるのは公平であるとはいえるが)
森内九段が勝ち2敗で踏みとどまったが、1敗決戦で久保九段が勝ち、5勝1敗で日程を終えてしまった為(久保九段は最終局が空き番)、2敗者は挑戦の可能性がなくなった。
敗れた渡辺棋王は1勝4敗、糸谷竜王は3勝2敗となった。
個人的感想だが、竜王戦第4局を控えた両者がともに敗れたのは残念。この対局は第4局の3日前。手の内を見せたくないという駆け引きもあるが、このタイミングでこの2局を組み込むことに問題があるように思える。
11月16日時点のリーグ状況
1.渡辺棋王 ●糸谷 ●深浦 ●久保 ●森内 ○佐藤 --- 羽生
2.羽生名人 ○佐藤 ●糸谷 ○深浦 ○久保 --- 森内 渡辺
3.佐藤九段 ●羽生 ●久保 ●森内 --- ●渡辺 深浦 糸谷
4.深浦九段 --- ○渡辺 ●羽生 ○糸谷 ●久保 佐藤 森内
5.糸谷竜王 ○渡辺 ○羽生 --- ●深浦 ○森内 ●久保 佐藤
5.森内九段 ●久保 --- ○佐藤 ○渡辺 ●糸谷 羽生 深浦
5.久保九段 ○森内 ○佐藤 ○渡辺 ●羽生 ○深浦 ○糸谷 ---
この時点で、挑戦権は久保九段と羽生名人に絞られた。
羽生名人は、対森内九段戦、対渡辺棋王戦に連勝しなければプレーオフに持ち込めない。
生涯勝率7割2分を超える羽生名人。羽生名人はその対局相手のほとんどが一線級であり、それを踏まえた上で、この数字を考えると驚異的勝率といえる。A級もしくはB級1組相手に7割を超える勝率なのである。
しかし、残り2棋士が、よりによって、森内九段(対勝率.561)と渡辺棋王(対勝率.477)とは。単純に連勝する確率を計算すると、26.8%となる。ただ、ここ数年A級順位戦で見せた驚異的な強さ、9戦全勝か8勝1敗、勝率9割以上を考えると、王将位への挑戦も期待を持っても良いのではないだろうか?
私が問題にしたいのは、今期成績上位で最終局空き番の久保九段の6回戦(久保九段にとっては最終局)を、6回戦の最初に消化してしまったこと。
先にも書いたが、これにより、5局残しているにもかかわらず、2敗者の挑戦権獲得の可能性がなくなってしまった。さらに、6回戦で羽生名人が森内九段に敗れると、最終局3局は挑戦権に関しては全くの消化試合になってしまうのである。まあ、これは、最終局空き番の棋士が1敗、あるいは全勝で走れば、避けられない事態ではあるが。
11月17日、佐藤九段(0勝4敗)-深浦九段(2勝2敗)戦
佐藤九段が勝ち、今期リーグ戦、初白星を上げた。
11月20日(本日)、森内九段(2勝2敗)-羽生名人(3勝1敗)戦
羽生名人が勝ち、4勝1敗として挑戦権の行方を最終局に持ち込んだ。森内九段は2勝3敗となった。
11月20日、6回戦終了時点のリーグ状況
1.渡辺棋王 ●糸谷 ●深浦 ●久保 ●森内 ○佐藤 --- 羽生
2.羽生名人 ○佐藤 ●糸谷 ○深浦 ○久保 --- ○森内 渡辺
3.佐藤九段 ●羽生 ●久保 ●森内 --- ●渡辺 ○深浦 糸谷
4.深浦九段 --- ○渡辺 ●羽生 ○糸谷 ●久保 ●佐藤 森内
5.糸谷竜王 ○渡辺 ○羽生 --- ●深浦 ○森内 ●久保 佐藤
5.森内九段 ●久保 --- ○佐藤 ○渡辺 ●糸谷 ●羽生 深浦
5.久保九段 ○森内 ○佐藤 ○渡辺 ●羽生 ○深浦 ○糸谷 ---
挑戦権は最終局で羽生名人が勝つと、羽生名人-久保九段でプレーオフ。
糸谷竜王は残留が確定、渡辺棋王と佐藤九段は陥落が決定している。
深浦九段-森内九段は残留を懸けた大一番。勝てば残留、負ければ陥落。
最終局は11月25日に一斉対局。
この数日、家族サービスも含めていささか忙しく、こちらの記事にコメントさせていただきたいと思いつつ、タイミングを逸しておりました。
ちなみに、詰め将棋は5分以上考えても解けずじまいで、その後は断念していました。角を1筋に持っていく手が全然見えなかった。類似の問題は解いた記憶があるのですが…。
明日の王将戦ですが、まさか羽生渡辺のゴールデンカード(と私は思っている)が今年度ここまでこの一局だけになろう(今後も朝日杯しか可能性がない)とは、4月には予想もしませんでした。しかも、その唯一の羽生渡辺戦が、これほど奇妙な状態で行われることになろうとは…。(なお、囲碁将棋チャンネルの記念対局は除いて考えています。)
今年度の両者を比較すると、(1)両者共に早指し棋戦で決勝進出前に敗退している。そのことと関係するが、両者とも、中盤から終盤にかけての捻じりあいで他を圧倒するケースが減ってしまっている印象を受ける。その点で昨年度までとかなり異なる印象を受ける。(2)しかし、羽生名人はそうした中でも名人防衛を果たし、その後も有力な若手の挑戦を次々と退けて、四冠を堅持している。そうして王将リーグもプレーオフに絡むところまで来ている。(3)他方の渡辺明も、今年に入って(昨年度末に)羽生名人を退けて期王防衛を果たしているし、今年度は竜王戦で挑戦権を獲得して、番勝負をかなり優位に進めている。ただし、年初時点で二冠だったのが、3月に王将を失冠し、さらに今年度の王将リーグでも星を悪くして、すでに陥落が決まっている。また、この間、他棋戦で挑戦者に名乗りを上げることが出来ていない。
(長くなったので分割いたします。長文お許しくください。)
(4)今年の両者が一番違っているのは、今年一気にブレイクした感のある佐藤天彦八段とのめぐり合わせと、対局結果かもしれない。羽生名人は銀座戦で佐藤八段に辺り、敗れたものの、王座戦では絶好調の佐藤八段を挑戦を退けた。その他の棋戦では(軒並み冠位保持者であることもあって)佐藤八段と当たっていない。他方の渡辺明は、王座戦と順位戦、いずれも波に乗りかけたところで佐藤八段に当たり、痛い敗戦を喫している。昨年度末(今年2月26日)には棋聖戦(本戦1回戦)でも佐藤八段に敗れている。渡辺明は今年度、しきりに若手台頭を気にする発言をしているが、一番気にしているのはやはり佐藤天彦八段の勢いだろう。ひょっとすると、棋聖戦と王座戦で佐藤八段に立て続けに敗れたことが、その他の棋戦の戦い方(特に若手との戦い方)にも微妙な影響を与えているかもしれない。
ここまでの考察をまとめますと、「羽生名人も渡辺棋王も今年度は絶好調ではなく、むしろ両者とも『不調』に近いのかもしれないが、今年度の成績には表面的にかなり開きが生じている。(王将リーグの星取にそれが象徴的に表れている。)けれども、もう一歩踏み込んで考えてみると、両者の差は意外と小さいのかもしれない。両者の差を実際以上に大きく見せているのは、佐藤天彦八段とのめぐり合わせなのかもしれない。」となります。
で、やっと明日(いや今日)の羽生渡辺戦なのですが、羽生名人にとっては王将挑決プレーオフ進出をかけた戦いですが、既にリーグ陥落が決まっている渡辺明にとってはほぼ完全な消化試合、しかも竜王戦番勝負の最中で、できれば手の内は隠したい状況と思われます。それならば、「米朝哲学」の否定者である渡辺明は、この対局に本気で挑まないのでしょうか? そうかもしれません。しかし、そうでないのかもしれない、いや私はそうでない気がしています。
その理由は、渡辺明にとっての羽生善治は特別な存在であり、渡辺将棋の全体が「羽生善治に如何に勝つか」をテーマとして形作られてきたもの、少なくともそうした性格を色濃く有しているもの、だからです。渡辺明自身、ところどころで、「羽生さんと5割に戦えれば、他の結果も自然とついてくる」という趣旨の発言をしています(引用省略すいません)。私は渡辺ファンであるにもかかわらず、この手の発言にはちょっと複雑な感情を抱いているのですが、それはともかく、明日の対局に関する限り、このところ調子を崩しがちなだけに、かえって渡辺棋王にとって羽生名人との対局が重要になるのではないか、また本人もそのように認識しているのはないか、何となくそんな気がしています。王将リーグの日程、英さんがご指摘の意味では確かに「残念」なのですが、それでも羽生渡辺戦がこのタイミングに来たのに、改めて何か因縁めいたものを感じた次第です。
最近、英さんに励まされながら渡辺明を応援するという、渡辺ファンとして情けない体たらくでしたので、お返事の意味も込めて気合を入れてコメントを書いたら、長くなりすぎました。笑って許してやってください。何やかんや書きましたが、明日の対局、結果はともかくゴールデンカードにふさわしい熱戦になって欲しい、それだけが言いたかったのでした。
乱筆乱文失礼しました。
深夜から早朝にかけての気合の入ったコメント、ありがとうございます。
これだけ心のこもったコメント、コメント欄に埋もれさせるのは、勿体ないので、別記事として私の考え(応答)を書きたいと思います。
それでですね、九鬼さんのコメントを引用しながら述べていこうと思っていますが、いかがでしょうか?
それは勘弁してほしいという気持ちがあるかもしれません。その場合は、このコメントには直接触れないで、九鬼さんの意見に対応しつつ、独立した形で書いていこうと思います。
今日を含めて、ここ2、3日ゴタゴタしているので、記事アップは2、3日後になるかもしれません。(ゴタゴタは、悪いことではないので、ご心配は無用です)
それにしても、ああ負けてしまいまったか~。まだ棋譜を見れてないので、本局についてのコメントはひかえますが、どうもこのところの渡辺明、波に乗るイメージが見えてきません。それでも、ssayさんいわくの「省エネ」で、竜王だけはちゃっかり獲ってくれるんでしょうか。それが渡辺明らしい、のか・・・。はたまた・・・。
私のコメント、英さんの記事のネタにしていただけるなら本望でございます。どうにでも料理してやってください。どうぞよろしくお願いします。