英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2020 女流王座戦挑戦者決定戦 里見女流四冠VS伊藤女流三段 その2「踏み込む里見女流四冠」

2020-09-16 14:40:58 | 将棋
一局を振り返ります。「その1」の続き)

 互いに振り飛車党なので、端歩などの駆け引きを経て、力戦になった。

 △5六歩の取り込みを放置して、▲2四歩と突っ張る。


 互いに銀を中央に繰り出すが、先手が飛車先の歩交換に手を費やしたので、飛車を5筋に転回した後手の伊藤女流三段が中央を制することとなった。
 ちなみに、図の▲4六銀は直後に△5五歩と打たれて▲6七銀と後退させられるので無意味なようだが、後手に△5五歩と打たせるのが目的。

 第2図以降は、互いに間合いを計りながらの指し手が続き、「“2歩の持ち歩+玉の固さ”対“中央を含めた陣の支配力”」の対抗となった。


そして、第4図の△1五歩でいよいよ開戦。

 先手の角が追い詰められているようだが、後手の1三の桂も不自然な配置。
 ここからの里見四冠の捌きが見事だった。
 ▲4五桂△同銀▲同歩1六歩▲4四角△同金▲同歩△同角▲4八飛△4三歩と進む。

 一旦、△4三歩と角取りを受けなければならないのでは、後手がつらい。後手の飛車が置いてけぼりになっているのも痛い。

 その後、里見四冠が独特の踏み込みを見せつつ、寄せの態勢を築いた。

 ただ、ここでの後手玉への明快な攻めが分からない。後手からの△4九飛の高所の飛車打ちも見えており、ゆっくりできない。
 しかし、それは杞憂で、▲5五馬が感心すべき一着。△5五同角成で、せっかくの馬が消えてしまうが、▲5五同銀で次の▲6四歩が厳しい。
 適当な受けがない伊藤女流三段は△9五歩。


 これしかないという勝負手だが、これが先手陣の弱点を突いており、対応を間違えると優勢が吹っ飛んでしまう可能性もある。
 ▲9五同歩と面倒を見るのも有力だが、里見四冠は▲6四歩と取り込み、△9六歩(第8図)に▲6三歩成と踏み込む。

 中継の解説では「西山女流王座と佐々木慎七段は▲6四歩△9六歩▲9八歩△9七歩成▲同歩△9八歩▲6三歩成△同金▲7二銀△同玉▲6四歩を継ぎ盤に並べている」とある。
 ▲6四歩△9六歩(第8図)の局面では、▲9八歩と手を戻す方が安全そうだ。また、▲9三歩や▲9四歩や▲9五歩と9一の香を呼び込む手もありそうだ(ただし、△9七角と強攻される手を覚悟しなければならない)
 しかし、里見四冠は▲6三歩成とさらに踏み込む。これで勝ちなら、その方が簡明だ。
 勢い、伊藤女流四段は△9七歩成(第9図)。


 △9七歩成に取るか逃げるか……

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