英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2012年度棋士活躍度ランキング

2013-05-05 23:11:50 | 将棋
 「東京紀行」や思いのほか春のドラマが充実しているため、「活躍度ランキング」の発表が遅くなってしまいました。
 2012年度は、羽生三冠(王位・王座・棋聖)対渡辺三冠(竜王・棋王・王将)の激しい一騎打ちで、その集計発表だけ先にしてしまったので、はっきり言って、今更発表しても何の盛り上がりもないような気がします。ですが、2012年度の記録としての意味はあるかもしれません。

算出基準==================================
 タイトル挑戦して奪取20点、タイトル防衛15点、タイトル挑戦して失敗10点、タイトル失冠0点
 ただし、名人位と竜王位は他のタイトルと重みが違うので獲得点を増やす。竜王挑戦・獲得は30点、同防衛は20点、同挑戦・失敗は15点。
 名人挑戦に関しては、4~6月の七番勝負進出のためのA級順位戦は前年度なので、ポイントには加えず、名人に挑戦し獲得した場合は15点、挑戦し失敗した場合は0点、名人防衛は20点、A級優勝(名人挑戦権獲得)は15点。
 さらに、A級2位と竜王挑戦者決定戦(敗退)は8点(1組優勝者の場合は4点)、竜王挑戦準決勝進出(敗退・1組優勝者は除く)は4点とする。 A級残留はかなりの難易度なので5点。
 順位戦各級の昇級もクラスで差をつけるのが妥当と考え、B1→A級は7点、B2→B1は5点、C1→B2、C2→C1は4点。
 竜王戦昇級の評価については、各クラスの昇級人数が4人と多いのと、クラス別の差別化などを考えると複雑なので、1組優勝者は6点、準優勝者は4点、2組以下は均一に優勝者5点、準優勝者3点。昇級者決定トーナメントを勝ち抜くと、かなり勝ち星を稼げるので昇級に対する加点はなし。

 棋戦(全棋士対象)優勝10点、棋戦準優勝6点、
 参加棋士限定棋戦(新人王戦、日本シリーズ、大和証券杯)優勝7点、同準優勝4点。

 あと、挑戦者決定戦で敗れたり、棋戦3位などの評価をしないのも誤差が生じそうだが、そこまで勝ち進めば勝ち星が多いはずなので、1勝=1点とすれば反映できる。

★今年度の改正点
 前年度までタイトル失冠は0点でしたが、予選不参加による勝ち数獲得の機会減少救済措置点を設定しました。
 名人、竜王位を別格にして、他のタイトルは同等と考えた上で、数値のバランスを考え、タイトル失冠時のポイントを、名人、竜王が5点、他の5タイトルを3点としました。(経緯はここ

 ==================================


 【参照】
『放電日記的 2008年度棋士活躍度ランキング』(2009年3月31日)
『修正版 2008年度棋士活躍度ランキング』(2009年4月19日)
『放電日記的 2009年度棋士活躍度ランキング』(2010年4月2日)
『放電日記的 2010年度棋士活躍度ランキング』(訂正あり)(2011年4月4日)
『放電日記的 2011年度棋士活躍度ランキング』
『2012年度棋士活躍度ランキング 「渡辺竜王・棋王・王将vs羽生王位・王座・棋聖」編』


 例年はタイトル保持者、棋戦優勝者、A級棋士、順位戦昇級者など棋士の戦績を紹介し得点を集計したのですが、今年はランキング20位から発表していきます。
 まず、18位タイが3人。(本当は「まず20位、ばーん!と始めたかったが)

18位 33点 森内名人(昨年度25点)
 名人位防衛20点、年度成績13勝12敗。(達人戦準優勝(非公式戦))
18位 33点 深浦九段(昨年度48点、5位)
 A級残留5点、竜王1組6点(挑戦者決定準決勝に進出しているが、1組1位は除外)、王将リーグ2位0点、棋聖挑戦者決定戦敗退0点、年度成績22勝20敗。
18位 33点 村山六段(昨年度29点)
 BⅡに昇級4点、年度成績29勝14敗。
17位 35点 山崎七段(昨年度27点)
 竜王戦挑戦者決定戦敗退8点、竜王戦1組2位4点、年度成績23勝17敗。
16位 36点 郷田九段(昨年度54点、3位)
 棋王位失冠3点、A級残留5点、大和証券杯準優勝4点、NHK杯準決勝敗退0点、年度成績24勝19敗。
14位 37点 糸谷六段(昨年度41点、12位)
 年度成績37勝11敗。
14位 37点 澤田五段(昨年度24点)
 年度成績37勝11敗。
13位 38点 大石四段(昨年度32点、18位)
 竜王6組1位5点、年度成績33勝18敗。
12位 39点 行方八段(昨年度17点)
 A級昇級7点、年度成績32勝11敗。

10位 40点 久保九段(昨年度33点、16位)
 日本シリーズ優勝7点、A級昇級7点、年度成績26勝16敗。
 (今年度から設けた失冠点を考慮すると昨年度は39点、14位)
10位 40点 稲葉六段(昨年度33点、16位)
 BⅡに昇級4点、竜王4組1位5点、年度成績31勝11敗。
 8位 41点 中村太六段(昨年度44点、9位)
 棋聖位挑戦失敗10点、竜王5組2位3点、王座挑戦者決定戦敗退0点、年度成績28勝17敗。
 8位 41点 菅井五段(昨年度43点、10位)
 朝日杯準優勝6点、CⅠに昇級4点、竜王6組2位3点、年度成績28勝13敗。
 7位 43点 丸山九段(昨年度43点、10位)
 竜王位挑戦失敗15点、日本シリーズ準決勝敗退0点、年度成績28勝23敗。
 6位 45点 豊島七段(昨年度52点、4位)
 BⅠに昇級5点、竜王3組1位5点、大和証券杯準決勝敗退0点、年度成績35勝13敗。

 5位 46点 佐藤九段(昨年度47点、6位)
 王将位失冠3点、A級残留5点、大和証券杯優勝7点、銀河戦準決勝敗退0点、日本シリーズ準決勝敗退0点、年度成績31勝16敗。
 4位 49点 藤井九段(昨年度15点)
 王位挑戦失敗10点、BⅠに昇級5点、竜王2組2位3点、年度成績31勝17敗。
 3位 56点 永瀬五段(昨年度36点、14位)
 新人王優勝7点、竜王5組1位5点、加古川青流戦優勝0点、年度成績44勝12敗。
 2位 133点 渡辺竜王・棋王・王将(昨年度107点、2位)
 竜王位防衛20点、棋王位奪取20点、王将位奪取20点、王座失冠3点、NHK杯優勝10点、朝日杯優勝10点、A級残留5点、王位挑戦者決定戦敗退0点、年度成績45勝16敗。
 1位 136点 羽生王位・王座・棋聖(昨年度121点、1位)
 棋聖位防衛15点、王位防衛15点、王座奪取20点、第70期名人位挑戦失敗0点、第71期名人位挑戦権獲得15点、銀河戦優勝10点、NHK杯準優勝6点、日本シリーズ準優勝4点、棋王位挑戦者決定戦敗退0点、朝日杯準決勝敗退0点、年度成績51勝17敗。(達人戦優勝・非公式戦)


 こうして振り返ると、羽生三冠渡辺三冠の激烈な争いを再認識。これについては、2012年度棋士活躍度ランキング 「渡辺竜王・棋王・王将vs羽生王位・王座・棋聖」編をご覧いただくとして、年度成績44勝12敗、新人王の永瀬五段が3位と健闘した。44勝は年度勝数2位の渡辺竜王と1勝差である。
 4位の藤井九段の復活もうれしい。5位佐藤九段も王将を失冠したものの地力を発揮した。6位の豊島七段は2008年度の17位→5位→7位→4位→6位とこのランキングの上位安定勢力の一人となっている。
 昨年度ベスト20から転落したのは、広瀬七段(昨年度7位46点)、橋本八段(8位45点)、佐藤(天)七段(12位41点)、船江五段(14位36点)安部(健)五段(18位32点)、牧野四段(20位30点)。佐藤(天)七段は今年度32点で次点(21位)だが、広瀬七段と橋本八段はそれぞれ23点、10点と残念な成績だった。
 この他のA級棋士(昨年度)は、屋敷九段28点、三浦八段26点、谷川九段16点、高橋九段10点。


以下は、各棋戦ごとに、まとめたもの
 竜王戦
防衛20点・渡辺 挑戦失敗15点・丸山 挑決8点・山崎 準決4点・飯島(深浦は1組優勝なので除外)
1組1位6点・深浦 2位4点・山崎 2組1位5点・佐藤天七段 2位3点・藤井
3組1位5点・豊島 2位3点・片上 4組1位5点・稲葉六段  2位3点・高崎五段
5組1位5点・永瀬五段 2位3点・中村太五段 6組1位5点・大石四段 2位3点・菅井五段

 名人戦
防衛20点・森内 挑戦失敗0点・羽生 
A級1位15点・羽生 2位8点・三浦八段 残留5点・郷田、渡辺、屋敷、佐藤、深浦、谷川 降級・高橋、橋本
B1→A級7点・行方八段、久保九段  降級、井上九段、中田宏八段
BⅡ→BⅠ5点・藤井九段、豊島七段  降級 神谷七段
CⅠ→BⅡ4点・稲葉六段、村山六段  降級、森九段、内藤九段
CⅡ→CⅠ4点・菅井五段、阪口五段、斎藤五段  降級、川上六段、上野五段

 王位戦
防衛15点・羽生 挑戦失敗10点・藤井 挑戦者決定戦0点・渡辺
 王座戦
奪取20点・羽生 失冠3点・渡辺 挑戦者決定戦0点・中村太五段
 棋王戦
奪取20点・渡辺 失冠3点・郷田 挑戦者決定戦0点・羽生
 王将戦
奪取20点・渡辺 失冠3点・佐藤 挑戦者リーグ2位0点・深浦
 棋聖戦
防衛15点・羽生 挑戦失敗10点・中村太 挑戦者決定戦0点・深浦

NHK杯 優勝10点・渡辺 準優勝6点・羽生 3位0点・郷田、鈴木八段
朝日杯  優勝10点・渡辺 準優勝6点・菅井 3位0点・羽生、谷川
銀河戦  優勝10点・羽生 準優勝6点・阿久津七段 3位0点・佐藤、屋敷

大和証券杯  優勝7点・佐藤 準優勝4点・郷田 3位0点・羽生、豊島
日本シリーズ 優勝7点・久保 準優勝4点・羽生 3位0点・佐藤、丸山
新人王    優勝7点・永瀬五段 準優勝4点・藤森四段 3位0点・佐々木勇四段、宮本三段

【獲得点なし】
加古川青流戦 優勝・永瀬五段 準優勝・伊東真四段 3位・及川四段、宮本三段
【非公式戦】
達人戦   優勝・羽生 準優勝・森内 3位・加藤九段、谷川九段

2012年度 勝数ベスト20
1 羽生 善治 51  6 豊島 将之 35  9 稲葉 陽  31  13八代 弥  28
2 渡辺 明  45  7 大石 直嗣 33  12村山 慈明 29  18飯島 栄治 27
3 永瀬 拓矢 44  8 行方 尚史 32  13丸山 忠久 28  18佐藤 天彦 27
4 糸谷 哲郎 37  9 佐藤 康光 31  13佐々木 慎 28  18船江 恒平 27
4 澤田 真吾 37  9 藤井 猛  31  13中村 太地 28  18斎藤慎太郎 27
                        13菅井 竜也 28  18佐々木勇気 27

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7 コメント

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ありがとうございました。 (九鬼)
2013-05-07 00:19:31
英さん、こんばんは。

やっぱりこうやって数値化していただくと、いろいろ気付くことがあって面白いです。毎年、私の個人的な印象と英さんの集計結果にはズレがあるのですが、昨年度の場合、行方八段はもっと上の印象、中村太一六段と郷田九段は少し上、丸山九段、豊島七段、佐藤九段はそれぞれ少しずつ下の印象でした。私の印象にどういうパターンがあるのか考えてみたのですが、謎です。他の方はどうだったのだろう?

そうそう、前から思ってたんですが、冠位奪取の場合はさておいて、失冠と挑戦失敗の場合は、シリーズで何勝できたかが、かなり重要な気がします。せっかく救済点を付けるのでしたら、面倒くさすぎなければ、その点もご一考頂ければと。
返信する
活躍度を重視します ()
2013-05-07 10:31:30
九鬼さん、感想、ありがとうございます。とても参考になります。

 行方八段に関しては、抜群の成績でA級昇級(復帰)を決め、年度成績も32勝11敗、勝率.744と勝率6位、勝数8位と申し分のない成績でした。ただ、昇級(7点)以外、傑出した成績がなく、活躍点がなかったため12位にとどまりました。
 中村太地六段は棋聖挑戦(失敗・10点)、王座戦挑戦者決定戦進出(敗退・0点)と大活躍でしたが、年度成績が28勝17敗といまひとつで勝数ポイント28点にとどまったのが響きました。挑決敗退が0点という点については後述します。
 郷田九段は、各棋戦で強さを見せましたが、活躍ポイントと勝ち数(24勝19敗)が伸びなかったので、16位(36点)は致し方なしです。
 丸山九段は何と言っても竜王位挑戦の15点が大きいです。
 豊島七段は安定した成績(35勝13敗)の勝数ポイントと高勝率なので、何らかの成績を残す、今年度は順位戦、竜王のダブル昇級(計10点)と、地味にポイントを伸ばします。
 佐藤九段は31勝16敗と勝ち数ポイントに加え、大和杯優勝7点とA級残留5点が大きかったようです。

>失冠と挑戦失敗の場合は、シリーズで何勝できたかが、かなり重要な気がします。

 活躍度という観点からすると、タイトルを獲得できなければ7番勝負の場合3勝も0勝も結果は同じと考えました。(当初、相当悩みました)タイトル挑戦ポイントが10点(15点)あるので、これ以上得点を付加するのは偏りが大きすぎる。それに、3勝すれば、3点加算されますし。挑戦ポイントを少し下げて、タイトル戦での勝ち星を加算するという方法もありますが、活躍度という観点(タイトル獲得か失敗か)を重視したいのと、あまり、大きな変更は現在と過去を比較できなくなるということもあります。
 挑戦者決定戦敗退が0点は辛いようですが、やはり活躍度の観点を重視しています。それに、挑戦者決定戦に進出するまで勝ち数を稼いでいるので。

 せっかく、ご意見をいただいたのに、退ける形になって申し訳ありません。でも、非常に参考になり、助かります。ありがとうございました。
返信する
ありがとうございます2 (九鬼)
2013-05-07 13:47:35
ごく気軽に思ったことを書いてみただけだったのに、すごく丁寧にご返答くださって、ありがとうございました。なんだか気を遣わせてしまって、すいません。

英さんの評価基準、とてもよく考えておられるので、多分あまり改良の余地はないんだろうと思います。私の提案はまあ単なる思い付きですので、どうぞ気になさらないでください。

プロ野球でも、「記録に残る選手」と「記憶に残る選手」は別だなんて言いますけど、将棋でも「活躍度」と「活躍した印象」は、確かに別のものと言えるのかもしれません。

むしろ私が不思議に思っているのは、私自身の「活躍した印象」のメカニズムでして…。自分ではあまりそう思っていなかったのですが、やっぱり順位戦は注目度が高いのかな。あと、期待とのギャップが大きいと、印象に残りやすい気がしてきました。行方八段には申し訳ないけれど、昨年度がはじまる時点では正直そこまで期待してなかったので、活躍した印象が強いのだと思います。郷田九段は、やっぱり最後に渡辺竜王を苦しめた印象があるからかな。いや、個人的なことをダラダラ書いて、すいません。

改めて集計お疲れ様でした。
返信する
本来なら、本文で記述しなければならない内容なので ()
2013-05-07 15:51:50
九鬼さん、再びのコメント、ありがとうございます。

>ごく気軽に思ったことを書いてみただけだったのに、すごく丁寧にご返答くださって、ありがとうございました。なんだか気を遣わせてしまって、すいません。

 いえいえ、本来なら、本文で記述しなければならない内容なので、気になさらないでください。

>英さんの評価基準、とてもよく考えておられるので、多分あまり改良の余地はないんだろうと思います。

 割と自信を持ってはいますが、本当は1000点満点ぐらいにして、準々決勝やリーグ戦の成績も反映させたいところなのです。
 基準を決めることは可能ですが、それを集計しようとすると、くたばりますね。あ、でも、毎日集計すれば、可能ですね。面白い気もします。

>むしろ私が不思議に思っているのは、私自身の「活躍した印象」のメカニズムでして…。自分ではあまりそう思っていなかったのですが、やっぱり順位戦は注目度が高いのかな。

 なるほど、鋭い考察です。
 順位戦は、約10カ月のロングランなので、順位戦の好調さのイメージは強くなります。行方八段は独走状態でしたし、B1は局数も多いですから。

>個人的なことをダラダラ書いて、すいません。

 いえ、こういう感想を頂けると、集計した甲斐もあるというものです。
返信する
将棋は知らないけど (せろり)
2013-05-10 00:14:31
来週木曜夜のBS朝日『コージ魂』が、渡辺明氏の再放送なので、是非とも見ようと思います。

ちょっとだけ予告のように出たところが、加藤浩次の驚きの声、「えぇー、中学生で年収500万?!」というのが、印象的でした。
ごめんなさい、お金のことなんかに反応してしまって。
返信する
テレビ局が違ってました (せろり)
2013-05-10 00:17:12
BS日テレでした。失礼しました。
返信する
渡辺竜王は中学卒業間際に四段 ()
2013-05-10 12:54:45
せろりさん、こんにちは。

>予告のように出たところが、加藤浩次の驚きの声、「えぇー、中学生で年収500万?!」

 この情報はどうなのでしょう?渡辺竜王は中学卒業間際に四段になったはずなので……
 それでも、中学生で四段昇段は凄いですし、小学4年生で小学生名人になったのもすごいです。あの時の竜王は優勝して当然というような顔をしていたように記憶しています。
 言うまでもないことですが、現在の竜王もすごいです。
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