英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

とても残念なのですが…… ~竜王位挑戦者トーナメント準決勝、羽生-森内戦~

2013-07-19 23:55:54 | 将棋
 今回はトーナメントの組み合わせが決まった時点で嫌な予感がしていた。
 こんなことを言っては「弱気すぎるぞ!」と叱られそうだが、豊島七段に期待していた。何を期待したのかというと、豊島七段が準々決勝で森内名人を破ることを。
 ところが、その豊島七段は、森内名人と当たる前に谷川九段に敗れてしまった。この時点で、私の嫌な予感が強まった……。

 それにしても、毎年思うのだが、この挑戦者トーナメント、左の山と右の山の進行が違い過ぎ。特に今年はひどい。右の山が羽生-森内戦が準決勝、本日、並行して行われていた金井-永瀬戦は、パラマス方式の二回戦。決勝進出者を決めるまで、あと3局も残している。
 羽生三冠が今後も王位戦、王座戦の防衛戦を控えているので、少しでも消化しておこうという意図があるのかもしれない。毎年のことであるが、この時期の羽生三冠は過密スケジュールである。
7月2日 竜王戦(東京)
7月6日 棋聖戦第3局(静岡)
7月10・11日 王位戦第1局(愛知)
7月17日 棋聖戦第4局(新潟)
7月19日 竜王戦(東京)
7月21日 達人戦(東京)
7月23・24日 王位戦第2局(兵庫)
7月26日 順位戦(東京)
7月29・30日 王位戦第3局(北海道)
 タイトルの番勝負は地方で行われるので、移動日を考慮すると、相当な過密度である。
 邪推であるが、竜王挑戦者トーナメントの進行具合は、森内名人の陰謀ではないのかと思ってしまう(冗談です。負けたので「八つ当たり」です)。森内名人は、これから左の山を勝ち上がってくる対局者を余裕で待ち受けることができる。(しかも、王座戦挑戦者決定トーナメントは、準決勝で中村太地六段に敗れている)

 まあ、負けてしまったのは仕方がない。ここは素直に森内名人の強さを認めよう。いやあ、棋聖位防衛が成って本当に良かった。もし第4局を落としていたら、落胆とビビりで相当辛い精神状態だったはず。
 今春、名人戦で羽生三冠を圧倒した森内名人。「羽生三冠の不調か、森内名人が無茶苦茶強いのか」どっちなんだ?という疑問に囚われていたが、棋聖戦の防衛ぶりを見ると、「棋聖戦を観る限り羽生三冠は恐ろしく強い」→「森内名人は名人戦で羽生三冠を叩きのめしている」→「羽生三冠を破った森内名人の強さは、尋常じゃない」という三段論法が成り立つ。
 「名人戦だけ強いのでは?」という疑惑を挟む余地はあるが、尋常じゃない強さの森内名人。羽生棋聖に敗れたとはいえ、昨年は竜王戦以降恐るべき強さを発揮した渡辺竜王。この両者の対決をタイトル戦で観てみたい。しかも、渡辺三冠の土俵というべき竜王戦である。

 最強者決定戦と言ってもよい決戦。
 正直に私の腹の中を明かすと……あの渡辺竜王が、一敗地にまみれる(再起不能になるほど大敗する)様を観るのも良し、憎き森内名人が渡辺竜王に叩きのめされるのを観るのも良しだ。この際、渡辺竜王の森内名人の対処法も学ぼう。



 この準決勝で、感じたことを簡単に。

 玉が1一に居ては上部から殺到されてしまうと2二に上がり羽生三冠の攻めをかわそうとした局面だ。
 森内名人の玉が1一の入った瞬間を捉えた羽生三冠の仕掛けが功を奏したみたいだが、森内名人が仕掛けを誘ったとも考えることもできるそうだ。
 実際、攻めきれるか同課の際どい将棋だったようだ。


 他の攻め筋もあったようだが、羽生三冠は強引に飛車を成り込む。
 しかし、図を見て感じるように羽生三冠の2、3筋の成銀と金の効率が悪すぎ。持ち駒も乏しい。対する森内名人の持ち駒は溢れんばかりだ。
 羽生名人が森内名人や渡辺竜王戦で時折見せる「余裕のなさ」を感じて、嫌な予感がさらに強くなった。



 後手・森内名人の△8六桂の歩頭桂の攻めに、▲同歩△同歩に▲8三歩(変化図1)と叩く手はなかったのだろうか?(実戦は▲8三歩ではなく、▲8六同銀△8七歩▲7七玉△8八銀と進んだ)
 解説では『筋は▲8三歩だが「8七に駒を打ち込まれて先手が勝てないね」と関六段』とあるが、▲8三歩に△8七銀▲同金△同歩成▲同玉に△6九角と打たれ、決まっているようだが、▲7八銀(変化図2)で先手有望に思える。

 と、ここまで書いた時、8七に打ち込む駒が銀ではなく金だと、変化図2で7八に銀を打てないので、やはり先手がダメなのかもしれない。
 ただ、実戦の進行で△8八銀が強烈で、以降は勝ち味がなくなってしまったので、何とか変化する手はなかったのだろうか?
 やはり、そもそも、切羽詰まったような攻め方(第2図)が良くなかったのかもしれない。
コメント (4)
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