英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

「山口百恵」考 その1

2013-01-08 22:29:10 | 芸能
流行のドレス着ているマネキン人形
動かない大きな目が泣いてるみたい
ショウウィンドウを鏡にあなたはいつでも気取って
自分の姿だけ見つめているのよ ん~…悲しいわ


 さて、この一節を見て、「ああっ、あの歌か!」とピンときた方は、私と気が合いそうです(笑)




 山口百恵さんの『美・サイレント』(作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童)の2番の歌詞の出だしの部分です。
 1番も素敵なのですが、ネタが割れてしまいやすいと思ったのと、「流行のドレス着ているマネキン人形 動かない大きな目が泣いてるみたい」…この詩、感性にしびれ、こちらを引用しました。

 私にとって百恵さんは、少女の面影を残しつつ色気が馨しい大人の女性、そして、やや翳りがあり芯の強さを感じました。


 山口百恵は当時、森昌子、桜田淳子と共に「中三トリオ」として、人気を博していたが、デビュー曲の『としごろ』はパッとしなかった。歌唱力は森昌子に遠く及ばず、アイドル性は太陽のように明るく輝く桜田淳子に比べると、月のような静かな光だった。声もやや低く、雰囲気も翳りがあり、アイドルには向いていないんじゃないかと感じさせるほど。純真な乙女というイメージだった。
 それが2曲目『青い果実』で、いきなり「あなたが望むなら私何をされてもいいわ~♪」と来たものだから、腰が砕けそうになった。
 いや、私もまだ子供で、その歌詞が示す内容はおぼろげにしかわからなかったが、なんとなく大変な歌詞をうたっているのではないかと怖れに似たようなものを感じた。
 イメージチェンジが功を奏したのか、人気が上がり、この後も『禁じられた遊び』『春風のいたずら』『ひと夏の経験』『ちっぽけな感傷』と危険な歌を次々にヒットさせた。私はそんな彼女に嫌悪に似たものを感じ距離を置いた(って、全く一方的な話ですね)。
 しかし、その中でも『ひと夏の経験』は内容はきわどくても「あなたに女の子の一番大切な~ものをあげるわ」というフレーズが胸に響いた。それにメロディが素晴らしかった。
 
 距離を置いた理由は、そういう危険な感覚を抱いていたということが大きかったが、もう一つ理由がある。それは、彼女の楽曲にはテーマ(アピール点)があって、強烈なフレーズやメロディをサビや出だしに持ってくることが多い。
 たとえば、『禁じられた遊び』では出だしが「怖くない あ、あん、あん 怖くない あなたとだったら 何でもできる~」と、当時、いや今でも「あ、あん、あん」が許せない。
 その他、『横須賀ストーリー』も出だしで「これっきり、これっきり、これっきりぃ~ですか~」、『プレイバック Part2』では、サビで「バカにしないでよっ! そっちのせいよ」、『絶体絶命』では「はっきり片を付けてよ! はっきり片を付けてよ! はっきり片を付けてよ!……やってられないわ」など、強烈過ぎてのめり込めないものを感じた。(山口百恵のファンになったのは彼女の引退後だった)

 さて、ようやく冒頭の『美・サイレント』に辿り着いた。この『美・サイレント』も企画性が際立った楽曲で、サビの部分の4文字伏字は注目度を上げるための小細工に思え、その前の「美・サイレント、美・サイレント、美・サイレント、美・サイレント」のリフレインの音感も字面も受け入れ難い感じがして、彼女のファンになった後でも、この曲だけは遠ざけていた。
 しかし、恥ずかしながら、最近になってようやくこの曲の素晴らしさに気が付いた。半年ほど前に、『GOLDEN☆BEST 山口百恵 コンプリート・シングルコレクション』を購入したが、その中に引退後に編集し直した『美・サイレント (リアレンジ)』を聞いたとき、心がしびれた。その時に初めてこの曲の歌詞に耳を傾けた。
 阿木さん、素晴らしい!(でも、原曲の方のサビの部分は今でも好きじゃないです)

 話は後戻りするが、私が彼女のファンになったのは、彼女の引退してかなり経ってから。それまでは、先述した乙女の純潔を売り物にする歌詞の内容や強烈なサビに加えて、彼女の歌唱力に大いに疑問を持っていた。
 ところが、ある時、彼女は歌が非常にうまいことに気が付いた……

『山口百恵 考』その2に続きます。(後日、本タイトルを『その1』に変更します)
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする